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東京慈恵会医科大学/2007年度/1次

東京慈恵会医科大学 2007年 数学 第2問解答・解説

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1問題

東京慈恵会医科大学2007年度第2問

以下の設問(1), (2)に答えよ。   (1) 次の文章を読んで、最後にある下線部の設問に答えよ。   AA を 2×22\times2 行列、f(x)f(x) を nn 次の多項式とする。xx に AA を代入し、11 を単位行列 EE におきかえて得られる行列を f(A)f(A) と表す。すなわち f(x)=xn+a1xn−1+⋯+an−1x+an(n≧1)f(x)=x^{n}+a_{1}x^{n-1}+\cdots+a_{n-1}x+a_{n}\qquad(n\geq1) のとき f(A)=An+a1An−1+⋯+an−1A+anEf(A)=A^{n}+a_{1}A^{n-1}+\cdots+a_{n-1}A+a_{n}E である。   また、A=(abcd)A=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix} に対して、2次の多項式 g(x)=x2−(a+d)x+(ad−bc)g(x)=x^{2}-(a+d)x+(ad-bc) を行列 AA の固有多項式ということにする。   さて、次の定理を証明したい。   定理:A=(abcd)A=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix} は単位行列の定数倍ではないとし、f(x)f(x) を xx の2次以上の多項式とする。このとき、f(x)f(x) が AA の固有多項式 g(x)g(x) で割り切れるための必要十分条件は f(A)=Of(A)=O(OO は零行列)となることである。   証明:まず、 g(A)=A2−(a+d)A+(ad−bc)E=Og(A)=A^{2}-(a+d)A+(ad-bc)E=O が成り立つことがわかる。さて、f(x)f(x) が g(x)g(x) で割り切れれば、f(x)=g(x)h(x)f(x)=g(x)h(x) となる整式 h(x)h(x) があるから、xx に AA を代入し、11 を EE におきかえれば、上式により f(A)=Of(A)=O である。逆に、f(A)=Of(A)=O とする。f(x)f(x) を x2−(a+d)x+(ad−bc)x^{2}-(a+d)x+(ad-bc) で割った商を q(x)q(x)、剰余を αx+β\alpha x+\beta とし、この後を解答用紙に記述して定理の証明を完成せよ。   (2) s,ts,t は実数で、t≠0t\neq0 とする。行列 A=(2t−1t−2−2(t−1)−t+3)A=\begin{pmatrix}2t-1&t-2\\-2(t-1)&-t+3\end{pmatrix} が A5−(s−1)A3+4sA2−8E=OA^{5}-(s-1)A^{3}+4sA^{2}-8E=O をみたすとき、s,ts,t の値およびそのときの行列 AA を求めよ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2解答

解答を見る答えはこの解答の中にあります

解答

(1) A=(abcd)A=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix} とする。定義に従って成分を計算すると A2=(a2+bcb(a+d)c(a+d)bc+d2),A^2=\begin{pmatrix}a^2+bc&b(a+d)\\c(a+d)&bc+d^2\end{pmatrix}, したがって A2−(a+d)A+(ad−bc)E=OA^2-(a+d)A+(ad-bc)E=O,すなわち g(A)=Og(A)=O である。 f(x)f(x) が g(x)g(x) で割り切れれば f(x)=g(x)h(x)f(x)=g(x)h(x) と書ける。多項式を同じ行列 AA に代入した積は行列の積に対応するので,f(A)=g(A)h(A)=Of(A)=g(A)h(A)=O となる。

逆に f(A)=Of(A)=O とする。多項式の割り算により f(x)=q(x)g(x)+αx+βf(x)=q(x)g(x)+\alpha x+\beta と書ける。xx に AA を代入すると O=f(A)=q(A)g(A)+αA+βE=αA+βE.O=f(A)=q(A)g(A)+\alpha A+\beta E=\alpha A+\beta E. もし α≠0\alpha\ne0 なら A=−βαE\displaystyle A=-\frac{\beta}{\alpha}E となり,仮定に反する。よって α=0\alpha=0 であり,βE=O\beta E=O から β=0\beta=0 である。したがって余りは0で,f(x)f(x) は g(x)g(x) で割り切れる。以上で必要十分性が示された。

(2) 条件の行列を AA とし, ps(x)=x5−(s−1)x3+4sx2−8p_s(x)=x^5-(s-1)x^3+4sx^2-8 とおくと,条件は ps(A)=Op_s(A)=O である。非対角成分は t−2t-2 と −2(t−1)-2(t-1) であり,両方が同時に0にはならないから,AA は単位行列の定数倍ではない。よって (1) より g(x)g(x) は ps(x)p_s(x) を割り切る。

この AA の対角成分の和は t+2t+2,固有多項式の定数項は (2t−1)(3−t)−(t−2)(−2t+2)=t+1(2t-1)(3-t)-(t-2)(-2t+2)=t+1 であるから, g(x)=x2−(t+2)x+(t+1)=(x−1)(x−(t+1)).g(x)=x^2-(t+2)x+(t+1)=(x-1)(x-(t+1)). 従って ps(1)=0p_s(1)=0 であり, 0=ps(1)=1−(s−1)+4s−8=3(s−2)0=p_s(1)=1-(s-1)+4s-8=3(s-2) から s=2s=2 を得る。このとき p2(x)=x5−x3+8x2−8=(x−1)(x+1)(x+2)(x2−2x+4).p_2(x)=x^5-x^3+8x^2-8=(x-1)(x+1)(x+2)(x^2-2x+4). t+1t+1 は実数で p2(t+1)=0p_2(t+1)=0 を満たす。また x2−2x+4=(x−1)2+3>0x^2-2x+4=(x-1)^2+3>0 だから,t+1t+1 は 1,−1,−21,-1,-2 のいずれかである。t≠0t\ne0 より t+1≠1t+1\ne1 なので,t=−2t=-2 または t=−3t=-3 である。対応する行列は tA−2(−5−465)−3(−7−586)\begin{array}{c|c} t&A\\ \hline -2&\begin{pmatrix}-5&-4\\6&5\end{pmatrix}\\[4pt] -3&\begin{pmatrix}-7&-5\\8&6\end{pmatrix} \end{array} である。実際,それぞれの g(x)g(x) は p2(x)p_2(x) の因数なので,(1) によりどちらも所定の行列方程式を満たす。

この問題で使う考え方

  • 多項式の除法
  • 剰余・因数定理
  • 行列を用いた表現

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