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富山大学/2009年度

富山大学 2009年 数学 第III問解答・解説

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1問題

富山大学2009年度第III問

A=[[7/2,−3],[3/2,−1]], B=[[−7/3,16/3],[−8/3,17/3]]とする。このとき、次の問いに答えよ。

(1) A(x,1)^T=2(x,1)^T、A(y,1)^T=(1/2)(y,1)^Tを満たすx、yを求めよ。

(2) (1)で求めたx、yに対して、B(x,1)^T=a(x,1)^T+b(y,1)^T、B(y,1)^T=c(x,1)^T+d(y,1)^Tを満たすa、b、c、dを求めよ。

(3) AB=BAであることを示せ。

(4) 表の出る確率がp、裏の出る確率が1−pである硬貨を用意する。ただし、pは0<p<1を満たす定数である。X₀=(3,2)^Tとし、X₁、X₂、X₃、…を次のように決める。Xₙ₋₁が決まったとき、硬貨を投げて表が出ればXₙ=AXₙ₋₁、裏が出ればXₙ=BXₙ₋₁によってXₙを決める。Xₙ=(tₙ,sₙ)^Tとおくとき、tₙの期待値Tₙとsₙの期待値Sₙをそれぞれ求めよ。

(5) pが0<p<1を満たすどのような定数であっても、lim_{n→∞}(Tₙ²+Sₙ²)=∞であることを示せ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1)
    x=2,y=1x=2,y=1
  • (2)
    a=1/3,b=0,c=0,d=3a=1/3,b=0,c=0,d=3
  • (3)
    AB=BAAB=BA
  • (4)
    Tn=2((1+5p)/3)n+(3−5p/2)n;Sn=((1+5p)/3)n+(3−5p/2)nT_n=2((1+5p)/3)^n+(3−5p/2)^n; S_n=((1+5p)/3)^n+(3−5p/2)^n
  • (5)
    任意の 0<p<10<p<1 で
    lim⁡n→∞(Tn2+Sn2)=+∞.\displaystyle \lim\limits _{n\to\infty}\left(T_n^2+S_n^2\right)=+\infty.

3解答

解答を見る途中式つきの解答

(1) A(x1)=(2x,2)T\displaystyle A\binom{x}{1}=(2x,2)^T の第二成分から 32x−1=2\displaystyle \frac32x-1=2 より x=2x=2。第一成分も 72⋅2−3=4=2x\displaystyle \frac72\cdot2-3=4=2x と一致する。次に A(y1)=(y/2,1/2)T\displaystyle A\binom{y}{1}=(y/2,1/2)^T の第二成分から 32y−1=12\displaystyle \frac32y-1=\frac12 より y=1y=1。第一成分も 72−3=12=y/2\displaystyle \frac72-3=\frac12=y/2 と一致する。

(2) u=(21),v=(11)\displaystyle u=\binom21, v=\binom11 とする。実際に BB を掛けると Bu=(2/31/3)=13u,Bv=(33)=3v.\displaystyle Bu=\binom{2/3}{1/3}=\frac13u,\qquad Bv=\binom33=3v. したがって a=13,b=0,c=0,d=3\displaystyle a=\frac13,b=0,c=0,d=3。

(3) 行列を成分ごとに掛けると AB=(−1653−5673),BA=(−1653−5673).\displaystyle AB=\begin{pmatrix}-\frac16&\frac53\\-\frac56&\frac73\end{pmatrix},\qquad BA=\begin{pmatrix}-\frac16&\frac53\\-\frac56&\frac73\end{pmatrix}. よって AB=BAAB=BA。

(4) 各段階で Xn=αnu+βnvX_n=\alpha_nu+\beta_nv と書く。初期値 X0=(3,2)T=u+vX_0=(3,2)^T=u+v なので α0=β0=1\alpha_0=\beta_0=1。表が出たときは Au=2u,Av=12v\displaystyle Au=2u, Av=\frac12v、裏が出たときは Bu=13u,Bv=3v\displaystyle Bu=\frac13u, Bv=3v だから、係数 α\alpha は確率 pp で2倍、確率 1−p1-p で 13\displaystyle \frac13 倍となり、係数 β\beta はそれぞれ 12\displaystyle \frac12 倍、3倍となる。従って前段階の値を固定したときの平均倍率は λ=2p+1−p3=1+5p3,μ=p2+3(1−p)=3−5p2.\displaystyle \lambda=2p+\frac{1-p}{3}=\frac{1+5p}{3},\qquad \mu=\frac p2+3(1-p)=3-\frac{5p}{2}. 条件付き期待値を平均すると E(αn)=λE(αn−1),E(βn)=μE(βn−1).E(\alpha_n)=\lambda E(\alpha_{n-1}),\qquad E(\beta_n)=\mu E(\beta_{n-1}). 初期値がともに1なので、これを nn について順に適用して E(αn)=λn,E(βn)=μn.E(\alpha_n)=\lambda^n,\qquad E(\beta_n)=\mu^n. また Xn=αn(2,1)T+βn(1,1)T=(2αn+βn,αn+βn)TX_n=\alpha_n(2,1)^T+\beta_n(1,1)^T=(2\alpha_n+\beta_n,\alpha_n+\beta_n)^T であるから Tn=2λn+μn,Sn=λn+μn.T_n=2\lambda^n+\mu^n,\qquad S_n=\lambda^n+\mu^n.

(5) 0<p<10<p<1 より λ,μ\lambda,\mu は正であり、 λ+μ=20−5p6>156=52>2.\displaystyle \lambda+\mu=\frac{20-5p}{6}>\frac{15}{6}=\frac52>2. したがって λ,μ\lambda,\mu の少なくとも一方は1より大きい。もし λ>1\lambda>1 なら 2λn→∞2\lambda^n\to\infty、もし μ>1\mu>1 なら μn→∞\mu^n\to\infty。よって Tn=2λn+μn→∞T_n=2\lambda^n+\mu^n\to\infty、従って Tn2+Sn2→∞T_n^2+S_n^2\to\infty。

(1)(2)で実際に行列を掛けて係数を求め、(3)は積AB, BAを成分計算する。(4)ではXnX_nを二つの具体的な列ベクトルu=(2,1), v=(1,1)の係数α_n,β_nで表し、硬貨の結果ごとに各係数へ掛かる倍率から期待値の漸化式を立てる。(5)では平均倍率の和が2を超えることから少なくとも一方が1を超え、TnT_nが発散する。

この問題で使う考え方

  • 共通固有基底
  • 線形性による期待値再帰
  • 固有値の評価

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