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大阪大学/2010年度/前期

大阪大学 2010年 数学 第5問解答・解説

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1問題

大阪大学2010年度第5問

nn を0以上の整数とする。立方体 ABCD-EFGHABCD\text{-}EFGH の頂点を,以下のように移動する2つの動点 PP,QQ を考える。

立方体ABCD−EFGHの図で、前面の左上にA、右上にB、右下にF、左下にE、奥の左上にD、右上にC、右下にG、左下にHが記されている。辺DH・HG・HEは破線で、残りの九辺は実線で描かれている。

時刻0には PP は頂点 AA に位置し,QQ は頂点 CC に位置している。時刻 nn において,PP と QQ が異なる頂点に位置していれば,時刻 n+1n+1 には,PP は時刻 nn に位置していた頂点から,それに隣接する3頂点のいずれかに等しい確率で移り,QQ も時刻 nn に位置していた頂点から,それに隣接する3頂点のいずれかに等しい確率で移る。一方,時刻 nn において,PP と QQ が同じ頂点に位置していれば,時刻 n+1n+1 には PP も QQ も時刻 nn の位置からは移動しない。   (1) 時刻1において,PP と QQ が異なる頂点に位置するとき,PP と QQ はどの頂点にあるか。可能な組み合わせをすべて挙げよ。   (2) 時刻 nn において,PP と QQ が異なる頂点に位置する確率 rnr_n を求めよ。   (3) 時刻 nn において,PP と QQ がともに上面 ABCDABCD の異なる頂点に位置するか,またはともに下面 EFGHEFGH の異なる頂点に位置するかのいずれかである確率を pnp_n とする。また,時刻 nn において,PP と QQ のいずれか一方が上面 ABCDABCD,他方が下面 EFGHEFGH にある確率を qnq_n とする。pn+1p_{n+1} を,pnp_n と qnq_n を用いて表せ。   (4) lim⁡n→∞qnpn\displaystyle \lim\limits _{n\to\infty}\frac{q_n}{p_n} を求めよ。   (配点率20%)

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2考え方

考え方を見る解き方の方針だけを確かめる

独立選択を仮定した条件付き解答。立方体グラフの偶奇と距離2の共通近傍数から生存確率を求め、同一面・上下別面の状態遷移を数え、比の漸化式の収束を示す。

3答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (移動選択が独立との解釈)

    (1) \{(B,D),(B,G),(D,B),(D,G),(E,B),(E,D),(E,G)\};
    (2) rn=(79)n;\displaystyle (2)\space{}r_n=(\frac79)^n;
    (3) pn+1=13pn+29qn;\displaystyle (3)\space{}p_{n+1}=\frac13p_n+\frac29q_n;
    (4) lim⁡n→∞qnpn=2.\displaystyle (4)\space{}\lim\limits _{n\to\infty}\frac{q_n}{p_n}=2.

4解答

解答を見る途中式つきの解答

以下の確率計算は、PとQの移動先の選択が互いに独立である通常の解釈に基づく。 より明確には、各時刻 nn において Pn≠QnP_n\ne Q_n の場合、時刻 nn までの全履歴と現在位置対 (Pn,Qn)(P_n,Q_n) を条件として、次の移動先 Pn+1,Qn+1P_{n+1},Q_{n+1} をそれぞれ現在位置の3つの隣接頂点から一様に選び、2つの選択はその条件の下で互いに独立とする。この選択則を各時刻で同じに適用する。Pn=QnP_n=Q_n となった後は、問題文の規則どおり同じ頂点にとどまる。 立方体の頂点を3ビットで表すと、辺で結ばれた頂点同士では偶奇が反転する。初期位置A,Cは同じ偶奇である。P,Qが異なる限り、両者は同時に隣接頂点へ移るため、時刻ごとに両者の偶奇は一致したままである。立方体で同じ偶奇をもつ異なる頂点間の距離は2であり、2頂点には共通の隣接頂点が2つある。 (1) P=AP=A の隣接頂点は B,D,EB,D,E、Q=CQ=C の隣接頂点は B,D,GB,D,G である。独立選択なら9通りの順序対は等確率で、衝突する (B,B),(D,D)(B,B),(D,D) を除くと (B,D),(B,G),(D,B),(D,G),(E,B),(E,D),(E,G)\boxed{(B,D),(B,G),(D,B),(D,G),(E,B),(E,D),(E,G)} の7通りである。 (2) 異なる位置からの次の一歩で衝突するのは、共通する2頂点のどちらかを両者が選ぶ場合なので、その確率は 2/92/9。衝突後は2点が同じ頂点にとどまる。従って r0=1,rn+1=79rn,rn=(79)n.\displaystyle r_0=1,\qquad r_{n+1}=\frac79r_n,\qquad \boxed{r_n=\left(\frac79\right)^n}. (3) pnp_n のとき、2点は同じ面の対角頂点にある。代表例 P=A,Q=CP=A,Q=C では N(A)={B,D,E},N(C)={B,D,G}N(A)=\{B,D,E\},N(C)=\{B,D,G\}。両方が上面内へ動く4通りのうち衝突2通りを除いた (B,D),(D,B)(B,D),(D,B) の2通りと、両方が垂直に動く (E,G)(E,G) の1通りが pn+1p_{n+1} に入るので、寄与は 3/9=1/33/9=1/3。 qnq_n のときの代表例 P=A,Q=FP=A,Q=F では N(A)={B,D,E},N(F)={B,E,G}N(A)=\{B,D,E\},N(F)=\{B,E,G\}。次に同じ面の異なる頂点になるのは、上面の (D,B)(D,B) と下面の (E,G)(E,G) の2通りである。立方体の対称性により、各 qnq_n 状態からの寄与は 2/92/9。同じ頂点にいる状態からは移動せず、その状態は pn+1p_{n+1} に数えられない。よって pn+1=13pn+29qn.\displaystyle \boxed{p_{n+1}=\frac13p_n+\frac29q_n}.

また rn=pn+qnr_n=p_n+q_n であり、(2)より rn+1=79(pn+qn)\displaystyle r_{n+1}=\frac79(p_n+q_n)。従って qn+1=49pn+59qn.\displaystyle q_{n+1}=\frac49p_n+\frac59q_n. (4) p0=1, q0=0p_0=1,\ q_0=0 なので pn>0p_n>0。zn=qn/pnz_n=q_n/p_n とおくと zn+1=4+5zn3+2zn,2−zn+1=2−zn3+2zn.\displaystyle z_{n+1}=\frac{4+5z_n}{3+2z_n},\qquad 2-z_{n+1}=\frac{2-z_n}{3+2z_n}. z0=0z_0=0 から 0≦zn<20\le z_n<2 であり、0≦2−zn+1≦(2−zn)/30\le2-z_{n+1}\le(2-z_n)/3。従って 2−zn→02-z_n\to0 となり、 lim⁡n→∞qnpn=2.\displaystyle \boxed{\lim\limits _{n\to\infty}\frac{q_n}{p_n}=2}. ただし、原文はP,Qの選択間の独立性を明記していない。独立性なしには全問の確率的な答えは一意でない。例えば初回に共通の一様な添字 1,2,31,2,3 を使い、Pの行先を (B,D,E)(B,D,E)、Qの行先を (B,D,G)(B,D,G) と同じ添字で対応させると、各行先は個別には一様でも衝突確率は 2/32/3、したがって r1=1/3r_1=1/3 となる。上記の r1=7/9r_1=7/9 は独立選択の場合である。

この問題で使う考え方

  • 離散グラフによる表現
  • 独立な試行
  • 確率の基本法則
  • 積の法則
  • 漸化式
  • 数列の極限

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