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横浜市立大学/2010年度/前期

横浜市立大学 2010年 数学 第III問解答・解説

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1問題

横浜市立大学2010年度第III問

nn は自然数とする。1以上の実数 a,da,d と正の実数 b,cb,c を成分とする行列 A=(abcd)A=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix} に対し、nn 個の積 AnA^{n} を An=(anbncndn),A1=AA^{n}=\begin{pmatrix}a_{n}&b_{n}\\c_{n}&d_{n}\end{pmatrix},\qquad A^{1}=A とおく。また、0<v≦u0<v\leqq u を満たす実数 u,vu,v と正の実数 λ\lambda に対して、AA は等式 A(uv)=λ(uv)A\begin{pmatrix}u\\v\end{pmatrix}=\lambda\begin{pmatrix}u\\v\end{pmatrix} を満たすとする。以下の問いに答えよ。

(1) 不等式 (1+vu)λn≦an+bn+cn+dn≦(1+uv)λn\displaystyle \left(1+\frac{v}{u}\right)\lambda^{n}\leqq a_{n}+b_{n}+c_{n}+d_{n}\leqq\left(1+\frac{u}{v}\right)\lambda^{n} を示せ。

(2) MM を 1+1b\displaystyle 1+\frac{1}{b} と 1+1c\displaystyle 1+\frac{1}{c} の大きい方(b=cb=c の場合はどちらでも良い)とするとき、不等式 an+bn+cn+dn<M(an+1+dn+1)a_{n}+b_{n}+c_{n}+d_{n}<M(a_{n+1}+d_{n+1}) を示せ。

(3) 数列 {1nlog⁡(an+dn)}\displaystyle \left\{\frac{1}{n}\log(a_{n}+d_{n})\right\} の極限値を求めよ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2考え方

考え方を見る解き方の方針だけを確かめる

Aが与えられた正ベクトルをλ倍する関係をAnA^nへ反復し、重み付き成分和を使って全成分和を評価する。対角成分和についてはAn+1A^{n+1}の成分表示から全成分和との上下比較を作り、最後に対数不等式のはさみうちを用いる。

3答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1)(1+vu)λn≦an+bn+cn+dn≦(1+uv)λn/\displaystyle (1)\quad \left(1+\frac vu\right)\lambda^n\le a_n+b_n+c_n+d_n\le\left(1+\frac uv\right)\lambda^n\quad /
    (2)an+bn+cn+dn<M(an+1+dn+1)/(2)\quad a_n+b_n+c_n+d_n<M(a_{n+1}+d_{n+1})\quad /
    (3)log⁡λ(3)\quad \log\lambda

4解答

解答を見る途中式つきの解答

まず、AA の成分はすべて正であり、積の各成分は正の数の積の和だから、an,bn,cn,dna_n,b_n,c_n,d_n はすべて正である。また、与えられた関係を繰り返すと An(uv)=λn(uv)A^n\begin{pmatrix}u\\v\end{pmatrix}=\lambda^n\begin{pmatrix}u\\v\end{pmatrix} を得る。実際、n=1n=1 で成り立ち、これが成り立つとき An+1(uv)=An(A(uv))=λAn(uv)=λn+1(uv)A^{n+1}\begin{pmatrix}u\\v\end{pmatrix} =A^n\left(A\begin{pmatrix}u\\v\end{pmatrix}\right) =\lambda A^n\begin{pmatrix}u\\v\end{pmatrix} =\lambda^{n+1}\begin{pmatrix}u\\v\end{pmatrix} である。

(1) この等式の成分を足すと λn(u+v)=u(an+cn)+v(bn+dn).\lambda^n(u+v)=u(a_n+c_n)+v(b_n+d_n). 各成分が正で、v≦uv\le u だから v(an+bn+cn+dn)≦λn(u+v)≦u(an+bn+cn+dn).v(a_n+b_n+c_n+d_n)\le \lambda^n(u+v)\le u(a_n+b_n+c_n+d_n). ここで u,v>0u,v>0 より、それぞれ uu、vv で割ると (1+vu)λn≦an+bn+cn+dn≦(1+uv)λn\displaystyle \left(1+\frac vu\right)\lambda^n\le a_n+b_n+c_n+d_n\le\left(1+\frac uv\right)\lambda^n となる。

(2) An+1=AnAA^{n+1}=A^nA より an+1=aan+cbn,dn+1=bcn+ddn.a_{n+1}=aa_n+cb_n,\qquad d_{n+1}=bc_n+dd_n. したがって、a,d≧1a,d\ge1 を用いると an+1+dn+1≧an+dn+cbn+bcn.a_{n+1}+d_{n+1}\ge a_n+d_n+cb_n+bc_n. r=max⁡{1/b,1/c}\displaystyle r=\max\{1/b,1/c\}、m=max⁡{1,r}\displaystyle m=\max\{1,r\} とおく。m≧1m\ge1、mc≧1mc\ge1、mb≧1mb\ge1 だから an+bn+cn+dn≦m(an+dn+cbn+bcn)≦m(an+1+dn+1).a_n+b_n+c_n+d_n\le m(a_n+d_n+cb_n+bc_n)\le m(a_{n+1}+d_{n+1}). 一方、問題の MM は 1+r1+r であり、m=max⁡{1,r}<1+r=M\displaystyle m=\max\{1,r\}<1+r=M である。また an+1+dn+1>0a_{n+1}+d_{n+1}>0 だから、 an+bn+cn+dn<M(an+1+dn+1)a_n+b_n+c_n+d_n<M(a_{n+1}+d_{n+1}) を得る。

(3) K=1+u/vK=1+u/v、C=(1+v/u)/MC=(1+v/u)/M とおくと、いずれも正である。(1)より an+dn≦an+bn+cn+dn≦Kλna_n+d_n\le a_n+b_n+c_n+d_n\le K\lambda^n。また、(2)を n−1n-1 に適用し、(1)の下側の評価も用いると、n≧2n\ge2 について Cλn−1≦an−1+bn−1+cn−1+dn−1M<an+dn≦Kλn.\displaystyle C\lambda^{n-1}\le\frac{a_{n-1}+b_{n-1}+c_{n-1}+d_{n-1}}{M}<a_n+d_n\le K\lambda^n. すべて正なので対数を取り、nn で割ると log⁡C+(n−1)log⁡λn<1nlog⁡(an+dn)≦log⁡K+nlog⁡λn.\displaystyle \frac{\log C+(n-1)\log\lambda}{n}<\frac1n\log(a_n+d_n)\le\frac{\log K+n\log\lambda}{n}. 左辺、右辺はいずれも n→∞n\to\infty で log⁡λ\log\lambda に収束する。よって、はさみうちにより求める極限値は log⁡λ\log\lambda である。

この問題で使う考え方

  • 対数とその性質
  • 数列の極限
  • 数学的帰納法
  • 行列を用いた表現

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