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慶應義塾大学/2008年度

慶應義塾大学 2008年 数学 第II問解答・解説

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1問題

慶應義塾大学2008年度第II問

設問(1)から(4)では、文章の空欄に適切な数または式を入れて文章を完成させなさい。また、設問(5)に答えなさい。

n,mn,m を自然数とする。xyxy 平面上で xx 座標も yy 座標も整数である点全体の集合を UU で表す。いま点 (0,0)(0,0) 上に球を1個置き、次の操作 TT を nn 回繰り返し行うことにより球を UU 上で動かす。

操作 TT: 球が置かれている点を (a,b)(a,b) とするとき、球を (a+1,b+1)(a+1,b+1)、(a+1,b−1)(a+1,b-1)、(a−1,b+1)(a-1,b+1)、(a−1,b−1)(a-1,b-1) のどれかの点の上に確率 14\displaystyle \dfrac{1}{4} ずつで移す。

操作 TT を1回行った時点で球が置かれている点の座標を (a1,b1)(a_1,b_1) で表す。同様に、操作 TT を ii 回(i=1,2,3,…,ni=1,2,3,\ldots,n)繰り返し行った時点で球が置かれている点の座標を (ai,bi)(a_i,b_i) で表す。UU の部分集合 An={(a1,b1),(a2,b2),…,(an,bn)}A_n=\{(a_1,b_1),(a_2,b_2),\ldots,(a_n,b_n)\} を考える。

(1) xyxy 平面上で連立不等式 {∣x∣≦1,∣y∣≦1\left\{\begin{aligned}|x|&\leq 1,\\|y|&\leq 1\end{aligned}\right. の表す領域を AA とする。An⊂A∩UA_n\subset A\cap U となる確率を pnp_n とすると、p2m−1=あp_{2m-1}=\boxed{\text{あ}}、p2m=いp_{2m}=\boxed{\text{い}} である。

(2) xyxy 平面上で不等式 0≦x−y≦20\leq x-y\leq 2 の表す領域を BB とする。An⊂B∩UA_n\subset B\cap U となる確率を qnq_n とすると、qn=うq_n=\boxed{\text{う}} である。

(3) An⊂A∩UA_n\subset A\cap U または An⊂B∩UA_n\subset B\cap U となる確率を rnr_n とすると、r2m−1=えr_{2m-1}=\boxed{\text{え}}、r2m=おr_{2m}=\boxed{\text{お}} である。

(4) 集合 AnA_n の要素の個数が3となる確率を sns_n とすると、s1=s2=0s_1=s_2=0、s3=かs_3=\boxed{\text{か}}、s4=きs_4=\boxed{\text{き}} である。

(5) m≧2m\geq 2 のとき、s2ms_{2m} を mm の式で表しなさい。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2考え方

考え方を見る解き方の方針だけを確かめる

4種の等確率移動でできる格子歩道を、座標ごとの範囲制約・差座標・訪問点集合の形に分けて数える。テーマ:格子上反復試行、経路制約確率、3点訪問集合の計数。

3答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1)  p2m−1=4−(m−1), p2m=4−m(1)\;p_{2m-1}=4^{-(m-1)},\space{}p_{2m}=4^{-m}
    (2)  qn=(3/4)n(2)\;q_n=(3/4)^n
    (3)  r2m−1=4−(m−1)+(3/4)2m−1−3m/42m−1, r2m=4−m+(3/4)2m−3m/42m(3)\;r_{2m-1}=4^{-(m-1)}+(3/4)^{2m-1}-3^m/4^{2m-1},\space{}r_{2m}=4^{-m}+(3/4)^{2m}-3^m/4^{2m}
    (4)  s3=3/4, s4=3/8(4)\;s_3=3/4,\space{}s_4=3/8
    (5)  s2m=6(2m−1−1)/16m−1(5)\;s_{2m}=6(2^{m-1}-1)/16^{m-1}

4解答

解答を見る途中式つきの解答

以下,ii 回後の位置を (xi,yi)(x_i,y_i) とする。

(1) xx 座標の変化は各回独立に +1,−1+1,-1 がそれぞれ確率 1/21/2 で起こり,yy 座標も同様である。また,xx と yy の変化は独立である。xix_i がすべて −1,0,1-1,0,1 に留まるには,奇数時刻では xi=±1x_i=\pm1,偶数時刻では xi=0x_i=0 となる必要がある。各奇数時刻には2通りの選択があり,各偶数時刻の移動は直前の符号を戻すものに限られる。したがって,一方の座標が nn 回すべて範囲内に留まる確率は 2⌈n/2⌉/2n=2−⌊n/2⌋2^{\lceil n/2\rceil}/2^n=2^{-\lfloor n/2\rfloor} である。両座標の独立性から pn=2−2⌊n/2⌋,p2m−1=14m−1,p2m=14m.\displaystyle p_n=2^{-2\lfloor n/2\rfloor},\qquad p_{2m-1}=\frac1{4^{m-1}},\quad p_{2m}=\frac1{4^m}.

(2) Di=xi−yiD_i=x_i-y_i とおく。条件 0≦Di≦20\le D_i\le2 と,DiD_i が偶数であることから,各 i=1,…,ni=1,\ldots,n で Di=0D_i=0 または Di=2D_i=2 となる。Di=0D_i=0 のとき,次の差の変化は 00 が2通り,+2+2 が1通り,−2-2 が1通りであり,条件を保つ選択は3通りである。Di=2D_i=2 のときも,変化 00 が2通り,−2-2 が1通り,+2+2 が1通りなので,条件を保つ選択は3通りである。各回の4通りの移動は等確率で独立だから qn=(34)n.\displaystyle q_n=\left(\frac34\right)^n.

(3) EAE_A を An⊂A∩UA_n\subset A\cap U,EBE_B を An⊂B∩UA_n\subset B\cap U とする。包除原理より rn=P(EA)+P(EB)−P(EA∩EB)r_n=P(E_A)+P(E_B)-P(E_A\cap E_B) である。両方を満たすとき,平方内に留まる条件から奇数時刻の座標は (±1,±1)(\pm1,\pm1),偶数時刻の座標は (0,0)(0,0) となる。奇数時刻の4隅のうち,さらに 0≦x−y≦20\le x-y\le2 を満たすのは (−1,−1),(1,−1),(1,1)(-1,-1),(1,-1),(1,1) の3つである。偶数時刻には原点へ戻る移動が1通りに定まる。よって P(EA∩EB)={3m42m−1(n=2m−1),3m42m(n=2m).\displaystyle P(E_A\cap E_B)=\begin{cases} \dfrac{3^m}{4^{2m-1}}& (n=2m-1),\\[4pt] \dfrac{3^m}{4^{2m}}& (n=2m). \end{cases} (1)(2)と合わせて r2m−1=14m−1+(34)2m−1−3m42m−1,r2m=14m+(34)2m−3m42m.\displaystyle r_{2m-1}=\frac1{4^{m-1}}+\left(\frac34\right)^{2m-1}-\frac{3^m}{4^{2m-1}},\qquad r_{2m}=\frac1{4^m}+\left(\frac34\right)^{2m}-\frac{3^m}{4^{2m}}.

(4)(5)の数え上げでは,u=(x+y)/2, v=(x−y)/2u=(x+y)/2,\ v=(x-y)/2 とおく。この変換で4通りの移動は格子上の上下左右への移動に対応し,どの移動も確率 1/41/4 である。3つの訪問点を頂点,移動可能な隣接関係を辺とする。実際に訪問した3点をつなぐ辺は連結でなければならず,格子には三角形がないので,その形は3頂点の道(中央1点と両端2点)である。

s3s_3 では,1回目の位置は4通り,2回目の移動も4通りある。3回目に1回目の位置へ戻る1通りを除くと,3つの位置がすべて異なる移動は各組合せにつき3通りである。したがって s3=4⋅4⋅3/43=3/4s_3=4\cdot4\cdot3/4^3=3/4。また s1=s2=0s_1=s_2=0 である。

s4s_4 では,最初の位置を固定する。これが3点の道の中央なら,両端の選び方は (42)=6\displaystyle \binom42=6 通りで,各道をすべて訪れる3歩の移動は2通りである。最初の位置が端なら,中央の選び方が4通り,もう一方の端の選び方が3通りで,各道をすべて訪れる3歩の移動は1通りである。最初の位置自体は4通りだから,有利な移動列は 4{6⋅2+12⋅1}=964\{6\cdot2+12\cdot1\}=96 通り。よって s4=9644=38.\displaystyle s_4=\frac{96}{4^4}=\frac38.

一般に n=2m (m≧2)n=2m\ (m\ge2) とする。最初の位置を固定し,その後の 2m−12m-1 歩で3点の道をすべて訪れる移動列を数える。最初の位置が中央のとき,全移動列は 2m2^m 通りであり,片方の端を訪れない列は端と中央を往復する1通りずつなので,すべて訪れる列は 2m−22^m-2 通りである。最初の位置が端のとき,全移動列は 2m−12^{m-1} 通りで,反対側の端を訪れない列が1通りあるから,すべて訪れる列は 2m−1−12^{m-1}-1 通りである。3点の道は中央を最初の位置に置くと (42)=6\displaystyle \binom42=6 通り,最初の位置を端に置くと 4⋅3=124\cdot3=12 通りである。したがって有利な移動列は 4{6(2m−2)+12(2m−1−1)}=96(2m−1−1)4\left\{6(2^m-2)+12(2^{m-1}-1)\right\}=96(2^{m-1}-1) 通りであり,全移動列 42m4^{2m} 通りに対する確率は s2m=96(2m−1−1)42m=6(2m−1−1)16m−1.\displaystyle \boxed{s_{2m}=\frac{96(2^{m-1}-1)}{4^{2m}}=\frac{6(2^{m-1}-1)}{16^{m-1}}}. m=2m=2 を代入すると s4=3/8s_4=3/8 となり,上の結果と一致する。

この問題で使う考え方

  • 和の法則
  • 積の法則
  • 独立な試行
  • 確率の基本法則

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