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高知大学/2007年度/前期

高知大学 2007年 数学 第2問解答・解説

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1問題

高知大学2007年度第2問

すべての成分が1または素数である行列 A=(abcd)A=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix} が A2−8A+12E=OA^{2}-8A+12E=O をみたしているとする。ただし, E=(1001), O=(0000)E=\begin{pmatrix}1&0\\0&1\end{pmatrix},\ O=\begin{pmatrix}0&0\\0&0\end{pmatrix} である。このとき, 以下の各問に答えなさい。

(1) A2−(a+d)A+(ad−bc)E=OA^{2}-(a+d)A+(ad-bc)E=O が成り立つことを証明しなさい。

(2) 題意をみたす AA をすべて求めなさい。

(3) A(xy)=k(xy)A\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}=k\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix} をみたす実数 kk と列ベクトル (xy)\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix} が存在する。ただし, k≠0k\neq 0 かつ (xy)≠(00)\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}\neq\begin{pmatrix}0\\0\end{pmatrix} である。kk を求めなさい。

(4) 16nAn=(anbncndn)\displaystyle \frac{1}{6^{n}}A^{n}=\begin{pmatrix}a_n&b_n\\c_n&d_n\end{pmatrix} と表したとき,lim⁡n→∞an=lim⁡n→∞bn=14かつlim⁡n→∞cn=lim⁡n→∞dn=34\displaystyle \lim\limits _{n\to\infty}a_n=\lim\limits _{n\to\infty}b_n=\frac{1}{4}\quad\text{かつ}\quad\lim\limits _{n\to\infty}c_n=\lim\limits _{n\to\infty}d_n=\frac{3}{4}をみたしているとする。このとき, AA を求めなさい。

(70点)

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1)
    恒等式が成立する。
  • (2)
    [[3,1],[3,5]], [[3,3],[1,5]], [[5,1],[3,3]], [[5,3],[1,3]]
  • (3)
    k=2k=2 または 6(双方実現)
  • (4)
    A=[[3,1],[3,5]]A=[[3,1],[3,5]]

3解答

解答を見る途中式つきの解答

(1) A2A^2 を成分ごとに計算すると A2=(a2+bcb(a+d)c(a+d)d2+bc).A^2=\begin{pmatrix}a^2+bc&b(a+d)\\c(a+d)&d^2+bc\end{pmatrix}. したがって A2−(a+d)A+(ad−bc)E=OA^2-(a+d)A+(ad-bc)E=O である。

(2) s=a+d, p=ad−bcs=a+d,\ p=ad-bc とおく。(1)と条件式の差をとると (8−s)A+(p−12)E=O.(8-s)A+(p-12)E=O. その (1,2)(1,2) 成分は b(8−s)=0b(8-s)=0 である。bb は 11 または素数だから b≠0b\ne0 であり、s=8s=8。対角成分から p=12p=12 も従う。

a,da,d は 11 または素数なので、和が 88 となる組は (a,d)=(1,7),(3,5),(5,3),(7,1)(a,d)=(1,7),(3,5),(5,3),(7,1) である。最初と最後の場合は bc=ad−12=−5bc=ad-12=-5 となり不可能。残る二組では bc=3bc=3 であり、許される正の成分は (b,c)=(1,3),(3,1)(b,c)=(1,3),(3,1) である。よって A=(3135),(3315),(5133),(5313).A=\begin{pmatrix}3&1\\3&5\end{pmatrix},\quad \begin{pmatrix}3&3\\1&5\end{pmatrix},\quad \begin{pmatrix}5&1\\3&3\end{pmatrix},\quad \begin{pmatrix}5&3\\1&3\end{pmatrix}. いずれも a+d=8, ad−bc=12a+d=8,\ ad-bc=12 を満たすので、(1)より元の条件式を満たす。

(3) Av=kvAv=kv (v≠0v\ne0) を元の条件式に代入すると (k2−8k+12)v=0,(k^2-8k+12)v=0, したがって k=2k=2 または k=6k=6。前掲の A=(3135)A=\begin{pmatrix}3&1\\3&5\end{pmatrix} について A(1−1)=2(1−1),A(13)=6(13),A\begin{pmatrix}1\\-1\end{pmatrix}=2\begin{pmatrix}1\\-1\end{pmatrix},\qquad A\begin{pmatrix}1\\3\end{pmatrix}=6\begin{pmatrix}1\\3\end{pmatrix}, ゆえに両方が実現する。

(4) 指定極限行列を PP とする。恒等式 AAn6n=6An+16n+1\displaystyle A\frac{A^n}{6^n}=6\frac{A^{n+1}}{6^{n+1}} の極限から AP=6PAP=6P。PP の列は (1/4,3/4)T(1/4,3/4)^T なので A(1,3)T=6(1,3)TA(1,3)^T=6(1,3)^T となり、(2)の候補中では A=(3135)A=\begin{pmatrix}3&1\\3&5\end{pmatrix} だけが該当する。

この行列に対して P=(A−2E)/4P=(A-2E)/4 とおけば、直接計算で P2=PP^2=P。Q=E−PQ=E-P とすると Q2=Q, PQ=QP=O, A=6P+2QQ^2=Q,\ PQ=QP=O,\ A=6P+2Q であるから An6n=P+(13)nQ⟶P.\displaystyle \frac{A^n}{6^n}=P+\left(\frac13\right)^nQ\longrightarrow P. よって求める行列は (3135)\begin{pmatrix}3&1\\3&5\end{pmatrix} である。

(1)は成分計算で恒等式を示す。(2)では係数差を用い、0でない成分bからa+dとad−bcを定め、成分の許容集合を漏れなく列挙する。(3)は固有ベクトルに与式を作用させ、両候補値の実現例を示す。(4)は極限行列との積で唯一候補を絞り、射影分解で極限条件を十分性まで確かめる。

この問題で使う考え方

  • 行列の成分計算
  • 条件式の差による係数決定
  • 素数成分の有限列挙
  • 固有ベクトルへの式の代入
  • 極限行列の積
  • 射影分解による行列累乗

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