準備 楕円 a2x2+b2y2=1(a>b>0)の焦点は x 軸上にあり,c=a2−b2 として F(c,0),F′(−c,0) とおいてよい。点 A(0,b) は短軸の頂点であり,楕円の定義(各焦点までの距離の和が 2a)と,A が y 軸上にあることによる F,F′ に関する対称性から AF=AF′=a である。実際,三角形 OAF は OA=b(y 軸上),OF=c(x 軸上)を2辺とし,∠AOF=2π の直角三角形であるから,三平方の定理より AF=OA2+OF2=b2+c2=b2+(a2−b2)=a と確かめられる。
(1) 直角三角形 OAF(直角は O)において,θ=∠FAO は頂点 A における角であり,その隣辺は AO,斜辺は AF である。したがって cosθ=AFAO=ab. (このとき 0<b<a より 0<θ<2π である。)
検算:sinθ=AFOF=ac=aa2−b2 であり,cos2θ+sin2θ=a2b2+a2a2−b2=1 で矛盾なく整合する。
(2) 三角形 AFF′ は AF=AF′=a の二等辺三角形で,A から底辺 FF′ に下ろした垂線の足は原点 O(FF′ の中点)であるから,∠OAF=∠OAF′=θ,すなわち頂角は ∠FAF′=2θ. また底辺は FF′=2c=2asinθ(∵c=asinθ)である。
円 C(A,F,F′ を通る円)の半径を R とすると,三角形 AFF′ に正弦定理を用いて sin∠FAF′FF′=2RしたがってR=2sin2θFF′=2sin2θ2asinθ=2sinθcosθasinθ=2cosθa.
次に,中心角 ∠AO′F を求める。二等辺三角形 AFF′ の底角は ∠AF′F=∠AFF′=2π−2θ=2π−θ. 弦 AF に対する円周角 ∠AF′F と,同じ弦 AF に対する中心角のうち F′ を含まない側の弧に対応するものとの間には,円周角の定理により ∠AO′F=2∠AF′F=2(2π−θ)=π−2θ の関係が成り立つ。0<θ<2π より 0<π−2θ<π であるから,これが題意の「中心角が π 未満のほう」である。
以上より,扇形 O′AF の面積は S=21R2(π−2θ)=21(2cosθa)2(π−2θ)=8cos2θa2(π−2θ).
検算:三角形 O′AF において O′A=O′F=R,AF=a,挟角 ∠AO′F=π−2θ であるから,余弦定理より AF2=2R2(1−cos(π−2θ))=2R2(1+cos2θ)=2R2⋅2cos2θ=4R2cos2θ. 右辺に R=2cosθa を代入すると 4⋅4cos2θa2⋅cos2θ=a2=AF2 となり,矛盾なく一致する。
(3) 円 x2+y2=b2 および楕円 a2x2+b2y2=1 は,いずれも x 軸・y 軸に関して対称であるから,それぞれの面積は第1象限部分の4倍として定積分で表せる。
楕円の第1象限部分(0≦x≦a)の y 座標は y=b1−a2x2 であるから,楕円の面積を E とすると E=4∫0ab1−a2x2dx. ここで x=at(0≦t≦1)と置換すると dx=adt であり, E=4∫01b1−t2adt=4ab∫011−t2dt.
一方,円の第1象限部分(0≦x≦b)の y 座標は y=b2−x2 であるから,円の面積を D とすると D=4∫0bb2−x2dx. ここでも同様に x=bt(0≦t≦1)と置換すると dx=bdt であり, D=4∫01b2−b2t2bdt=4∫01b1−t2⋅bdt=4b2∫011−t2dt.
そこで J=∫011−t2dt(0<J,実際には単位円の第1象限の面積として J=4π であるが,以下の議論に値そのものは不要)とおくと, D=4b2J,E=4abJ. J>0,a>0 であるから D:E=4b2J:4abJ=b2:ab=b:a. すなわち,円 x2+y2=b2 の面積と楕円の面積の比は,同一の定積分 J を共通因数として約分することにより b:a であることが定積分を用いて示された。■
(4) (3)により(円の面積):(楕円の面積)=b:a である。これが 1:2 となるのは b:a=1:2すなわちb=2a のときである(a>b>0 と矛盾しない)。
このとき,(1) の結果より cosθ=ab=21. 0≦θ<π の範囲でこれを満たす θ はただ一つで,θ=3π である。
これを (2) の結果 S=8cos2θa2(π−2θ) に代入すると,cos2θ=41,π−2θ=π−32π=3π であるから S=8⋅41a2⋅3π=23πa2=6πa2.
検算(具体例):a=2,b=1(b:a=1:2 を満たす)のとき,F(3,0),F′(−3,0),A(0,1) とし,垂直二等分線から直接円 C の中心を求めると O′(0,−1),半径 R=2 となり,(2) の式 R=2cosθa=2⋅212=2 と一致する。さらにベクトル O′A=(0,2),O′F=(3,1) のなす角の余弦は 2⋅22=21 より中心角は 3π となり,扇形の面積は 21⋅22⋅3π=32π。これは 6πa2=6π⋅4=32π と一致し,(2)(4) の一般式が数値例でも整合することを確認した。