(1) 方程式 x2−4x+y2−6y+a=0 を平方完成すると (x−2)2+(y−3)2=13−a となる。これは中心 (2,3),半径 13−a(13−a>0 のとき)の円を表す方程式である。
これを満たす実数の組 (x,y) が存在するのは,右辺が非負であり,かつそのときに限り,円周上の点として実現できるからである。すなわち 13−a≧0すなわちa≦13 のとき実数解 (x,y) が存在し(a=13 のときは唯一の点 (2,3)),13−a<0 のときは左辺が非負であるのに対し右辺が負となり,実数解は存在しない。
よって,実数の組 (x,y) が存在しないような a の値の範囲は a>13
(2) ∣x∣, ∣y∣ を含む式なので,x,y の符号によって場合分けする。座標平面は x 軸・y 軸によって4つの部分(各象限,境界含む)に分けられる。
(i) x≧0, y≧0 のとき(第1象限) ∣x∣=x, ∣y∣=y であるから,不等式は x2−4x+y2−6y−23≦0 と書ける。平方完成すると (x−2)2+(y−3)2≦36 となり,これは中心 (2,3),半径 6 の円の内部および周(円板)を表す。したがって、対応する部分 D1 は x≧0,y≧0,(x−2)2+(y−3)2≦36 をすべて満たす点(x,y)全体である。
(ii)〜(iv) 他の象限 同様に, x≦0, y≧0: ∣x∣=−x, ∣y∣=y より (x+2)2+(y−3)2≦36 (=D2) x≦0, y≦0: ∣x∣=−x, ∣y∣=−y より (x+2)2+(y+3)2≦36 (=D3) x≧0, y≦0: ∣x∣=x, ∣y∣=−y より (x−2)2+(y+3)2≦36 (=D4) がそれぞれ対応する範囲である。D は D1,D2,D3,D4 を合わせた領域であり,もとの式が ∣x∣,∣y∣ のみで決まることから,D は x 軸・y 軸(したがって原点)に関して対称である。
境界の形状(第1象限での詳細) 円 C1:(x−2)2+(y−3)2=36 を x=2+6cosθ, y=3+6sinθ とパラメータ表示すると, x≧0すなわちcosθ≧−31,y≧0すなわちsinθ≧−21 であり,この2条件を同時に満たす θ の範囲は −30∘≦θ≦arccos(−31) (≈109.47∘) である。両端の値は θ=−30∘: (x,y)=(2+33,0),θ=arccos(−31): (x,y)=(0,3+42) であり(前者は y=0 における C1 との交点,後者は x=0 における交点),この範囲の θ に対応する弧が第1象限内での D の境界である。この弧は θ=0∘ で最も右((8,3))に,θ=90∘ で最も上((2,9))に達する。
対称性より,第2象限の境界は円 (x+2)2+(y−3)2=36 の対応する弧(点 (0,3+42) から (−2,9),(−8,3) を通り (−2−33,0) まで),第3・第4象限も同様に円 (x+2)2+(y+3)2=36, (x−2)2+(y+3)2=36 の対応する弧となる。
図示 以上より,領域 D は次のような閉じた図形である:
・ x 軸上の点 (2+33,0) (≈(7.20,0)) と (−2−33,0),および y 軸上の点 (0,3+42) (≈(0,8.66)) と (0,−3−42) の4点で,隣り合う2つの円弧が滑らかにつながらない「角」を作る(D の境界はこの4点でわずかに内側にへこむ)。
・ その間を,半径 6 の円弧が外側にふくらんで結び,各弧は (±8,±3)(x 座標の絶対値が最大の点)および (±2,±9)(y 座標の絶対値が最大の点)を通る。
・ 全体として原点・x 軸・y 軸に関して対称な,角の丸い十字(花びら状)の図形になる。境界を含む(≦ なので)。
(原本の解答用紙には,この境界曲線と内部を塗った図を描けばよい。上記の4つの円の方程式と象限の制限,交点座標・通過点座標が図の根拠である。)
(3) 点 (5−35, 45) の符号を調べる。5=2.236… より 35=6.708…>5 であるから x=5−35<0,y=45>0 である。よってこの点は第2象限(x≦0, y≧0)に属するので,(2)の場合分け (ii) の式,すなわち (x+2)2+(y−3)2≦36 を用いて判定すればよい。
x+2=7−35 より (x+2)2=(7−35)2=49−425+45=94−425 y−3=45−3 より (y−3)2=(45−3)2=80−245+9=89−245 であるから (x+2)2+(y−3)2=(94−425)+(89−245)=183−665
これと 36 の大小を比較する。183−665≦36すなわち147≦665 であり,両辺とも正なので2乗して比較できる: 1472=21609,(665)2=662×5=4356×5=21780 21609<21780 より 147<665 が成り立つ。したがって 183−665<36 すなわち (x+2)2+(y−3)2<36 が成り立つ。
さらに x<0, y>0 であることは既に確認した。以上より,点 (5−35,45) は x≦0, y≧0 の範囲で (x+2)2+(y−3)2≦36(実際には等号を含まない不等号で)を満たすので,(2)の領域 D に属する(境界ではなく内部の点である)。
領域 D の図示
各象限の条件付き円板から得られる領域 D。赤点は座標軸上の境界点,青点は各円弧の極値を表す。