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三重大学/2009年度

三重大学 2009年 数学 第4問解答・解説

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1問題

三重大学2009年度第4問

行列 X を X = [(−3)/(2), (−1)/(2), 0; 4, 0, −1; −6, 0, (3)/(2)] とおく。このとき次の問に答えよ。

(1) A = [2, 2, 1; −4, −4, −2; 6, 6, 3], B = [−1, 1, 1; 4, −4, −4; −6, 6, 6] とおく。このとき A², B², AB, BA を求めよ。

(2) (1) の A, B に対して X = aA + bB を満たす定数 a, b を求めよ。

(3) 正の整数 n に対し、Xⁿ を求めよ。

(4) X + X² + X³ + ⋯ を求めよ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2考え方

考え方を見る解き方の方針だけを確かめる

行列積は各成分の行・列の積で計算する。得られた積の関係を数学的帰納法で累乗に広げ、最後は成分ごとの等比級数として和を求める。

3答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1)A2=A,B2=B,AB=BA=O.(2)a=−12,b=12.(3)Xn=(−12)nA+(12)nB=(−1)nA+B2n(n≧1).(4)X+X2+⋯=B−13A=(−531323163−83−103−845).\displaystyle \begin{aligned} \text{(1)}\quad&A^2=A,\quad B^2=B,\quad AB=BA=O.\\ \text{(2)}\quad&a=-\frac12,\quad b=\frac12.\\ \text{(3)}\quad&X^n=\left(-\frac12\right)^nA+\left(\frac12\right)^nB=\frac{(-1)^nA+B}{2^n}\quad(n\ge1).\\ \text{(4)}\quad&X+X^2+\cdots=B-\frac13A =\begin{pmatrix}-\frac53&\frac13&\frac23\\\frac{16}{3}&-\frac83&-\frac{10}{3}\\-8&4&5\end{pmatrix}. \end{aligned}

4解答

解答を見る途中式つきの解答

(1) 各成分を行と列の積で計算するため、 u=(1−23),v=(1−46),p=(221),q=(−111)u=\begin{pmatrix}1\\-2\\3\end{pmatrix},\quad v=\begin{pmatrix}1\\-4\\6\end{pmatrix},\quad p=\begin{pmatrix}2\\2\\1\end{pmatrix},\quad q=\begin{pmatrix}-1\\1\\1\end{pmatrix} とおくと、与えられた行列は A=upTA=up^{\mathsf T}、B=vqTB=vq^{\mathsf T} と成分ごとに書ける。列ベクトル r,sr,s と行ベクトル wT,zTw^{\mathsf T},z^{\mathsf T} に対し、積 (rwT)(szT)(rw^{\mathsf T})(sz^{\mathsf T}) の (i,j)(i,j) 成分は ∑m=13riwmsmzj=ri(wTs)zj\displaystyle \sum\limits _{m=1}^3 r_iw_ms_mz_j=r_i(w^{\mathsf T}s)z_j である。ここで pTu=2−4+3=1,qTv=−1−4+6=1,pTv=2−8+6=0,qTu=−1−2+3=0.p^{\mathsf T}u=2-4+3=1,\quad q^{\mathsf T}v=-1-4+6=1, \quad p^{\mathsf T}v=2-8+6=0,\quad q^{\mathsf T}u=-1-2+3=0. したがって、成分計算の結果は A2=A,B2=B,AB=BA=O\boxed{A^2=A,\qquad B^2=B,\qquad AB=BA=O} である。

(2) X=aA+bBX=aA+bB の第 (1,3)(1,3) 成分は a+ba+b、第 (1,1)(1,1) 成分は 2a−b2a-b だから、 a+b=0,2a−b=−32.\displaystyle a+b=0,\qquad 2a-b=-\frac32. これを解くと a=−1/2, b=1/2a=-1/2,\ b=1/2 であり、実際 −12A+12B=(−32−12040−1−6032)=X.\displaystyle -\frac12A+\frac12B =\begin{pmatrix} -\frac32&-\frac12&0\\ 4&0&-1\\ -6&0&\frac32 \end{pmatrix}=X.

(3) (1)、(2) の結果から Xn=(−12)nA+(12)nB(n=1)\displaystyle X^n=\left(-\frac12\right)^nA+\left(\frac12\right)^nB\qquad(n=1) が成り立つ。これが nn で成り立つとすると、積を分配して Xn+1={(−12)nA+(12)nB}(−12A+12B)=(−12)n+1A2+12(−12)nAB−12(12)nBA+(12)n+1B2=(−12)n+1A+(12)n+1B.\displaystyle \begin{aligned} X^{n+1} &=\left\{\left(-\frac12\right)^nA+\left(\frac12\right)^nB\right\} \left(-\frac12A+\frac12B\right)\\ &=\left(-\frac12\right)^{n+1}A^2 +\frac12\left(-\frac12\right)^nAB -\frac12\left(\frac12\right)^nBA +\left(\frac12\right)^{n+1}B^2\\ &=\left(-\frac12\right)^{n+1}A+\left(\frac12\right)^{n+1}B. \end{aligned} よって数学的帰納法により、すべての正の整数 nn について Xn=(−1)nA+B2n\displaystyle \boxed{X^n=\frac{(-1)^nA+B}{2^n}} である。

(4) (3) の式の各成分は、公比 −1/2-1/2 または 1/21/2 の等比級数となる。両方の公比の絶対値は1より小さいから成分ごとに収束し、 X+X2+X3+⋯={∑n=1∞(−12)n}A+{∑n=1∞(12)n}B=−13A+B=(−531323163−83−103−845).\displaystyle \begin{aligned} X+X^2+X^3+\cdots &=\left\{\sum\limits _{n=1}^{\infty}\left(-\frac12\right)^n\right\}A +\left\{\sum\limits _{n=1}^{\infty}\left(\frac12\right)^n\right\}B\\ &=-\frac13A+B\\ &=\boxed{\begin{pmatrix} -\frac53&\frac13&\frac23\\ \frac{16}{3}&-\frac83&-\frac{10}{3}\\ -8&4&5 \end{pmatrix}}. \end{aligned}

この問題で使う考え方

  • 数学的帰納法
  • 等比数列の一般項と和
  • 行列を用いた表現
  • 無限等比級数

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