本文へ進む
メニュー
医学部数学 過去問DB問題を探す

愛媛大学/2015年度/前期

愛媛大学 2015年 数学 第10問解答・解説

このページには広告が含まれます。

1問題

愛媛大学2015年度第10問

nn を自然数,ii を虚数単位とする。集合 I1,I2,I3,I4I_1,I_2,I_3,I_4,および AA を I1={k∣k は n 以下の自然数},I2={−k∣k は n 以下の自然数},I3={ki∣k は n 以下の自然数},I4={−ki∣k は n 以下の自然数},A=I1∪I2∪I3∪I4∪{0}\begin{aligned} I_1&=\{k\mid k\text{ は }n\text{ 以下の自然数}\},\\ I_2&=\{-k\mid k\text{ は }n\text{ 以下の自然数}\},\\ I_3&=\{ki\mid k\text{ は }n\text{ 以下の自然数}\},\\ I_4&=\{-ki\mid k\text{ は }n\text{ 以下の自然数}\},\\ A&=I_1\cup I_2\cup I_3\cup I_4\cup\{0\} \end{aligned} とする。集合 AA の要素が1つずつ書かれたカードが 4n+14n+1 枚ある。ただし,それぞれのカードに書かれている要素は異なるものとする。これらのカードをよくまぜて,左から右に一列に並べる。左から kk 番目のカードに書かれた数を XkX_k とするとき,次の確率を求めよ。

(1) 積 X1X2X3X_1X_2X_3 が0となる。

(2) 積 X1X2X3X_1X_2X_3 が実数となる。

(3) 和 X1+X2X_1+X_2 が実数となる。

(4) X1(X2+X3)X_1(X_2+X_3) が0となる。

(5) X1(X2+X3)X_1(X_2+X_3) が実数となる。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1)3/(4n+1)/(2)2(n+1)/(4n+1)/(3)(n+1)/(4n+1)/(4)(8n−3)/((4n−1)(4n+1))/(5)(4n2+4n−1)/((4n−1)(4n+1))(1) 3/(4n+1) / (2) 2(n+1)/(4n+1) / (3) (n+1)/(4n+1) / (4) (8n-3)/((4n-1)(4n+1)) / (5) (4n^2+4n-1)/((4n-1)(4n+1))

3解答

解答を見る途中式つきの解答

カードの分類と基本方針

AA の 4n+14n+1 枚のカードを,値の種類で次の5つに分類する。 I1={1,2,…,n} (n枚,正の実数),I2={−1,−2,…,−n} (n枚,負の実数),I_1=\{1,2,\dots,n\}\ (n\text{枚,正の実数}),\quad I_2=\{-1,-2,\dots,-n\}\ (n\text{枚,負の実数}), I3={i,2i,…,ni} (n枚,正の純虚数),I4={−i,−2i,…,−ni} (n枚,負の純虚数),{0} (1枚).I_3=\{i,2i,\dots,ni\}\ (n\text{枚,正の純虚数}),\quad I_4=\{-i,-2i,\dots,-ni\}\ (n\text{枚,負の純虚数}),\quad \{0\}\ (1\text{枚}). これらは互いに共通部分を持たず,合計 4n+14n+1 枚である。以下 N=4n+1N=4n+1 とおく。

カードを一列に無作為に並べる操作は,AA の NN 枚を無作為に並べる N!N! 通りの並べ方がすべて同様に確からしい試行である。このとき,任意に固定した位置の組(例えば左から 1,2,31,2,3 番目)に置かれる値の組 (X1,X2,X3)(X_1,X_2,X_3) は,AA から相異なる 33 個を取り出して並べる N(N−1)(N−2)N(N-1)(N-2) 通りの組がすべて同様に確からしい。したがって,X1,X2,X3X_1,X_2,X_3 の値そのもの(順序に依らない対称な条件)だけで決まる事象を考えるときは,「{X1,X2,X3}\{X_1,X_2,X_3\} を AA から無作為に選んだ 33 元部分集合とみなしてよい」(22 個の場合も同様)。これを以下で繰り返し用いる。

(1) 積 X1X2X3X_1X_2X_3 が 00 となる確率

AA の要素で 00 でないものはすべて(実数でも純虚数でも)00 でない複素数だから,積 X1X2X3=0X_1X_2X_3=0 となるのは,X1,X2,X3X_1,X_2,X_3 のうち少なくとも 11 つが 00 のカードであるとき,かつそのときに限る。

00 のカードはちょうど 11 枚であり,並べ方の対称性より,この特定の 11 枚が左から kk 番目(k=1,…,Nk=1,\dots,N)に来る確率はどの kk についても等しく 1N\displaystyle \dfrac{1}{N} である。「左から 1,2,31,2,3 番目のいずれかに来る」という事象は,これらの互いに排反な 33 つの事象の和だから, P(1)=3N=34n+1.\displaystyle P_{(1)}=\frac{3}{N}=\frac{3}{4n+1}.

(2) 積 X1X2X3X_1X_2X_3 が実数となる確率

00 でない実数を rr,00 でない純虚数を s,ts,t とすると, r⋅r⋅r は実数,r⋅r⋅s は0でない純虚数,r⋅s⋅t=r⋅(st) は0でない実数(st は0でない実数),s⋅s⋅(純虚数) は0でない純虚数.\begin{aligned} r\cdot r\cdot r&\text{ は実数},\qquad r\cdot r\cdot s\text{ は0でない純虚数},\\ r\cdot s\cdot t&=r\cdot(st)\text{ は0でない実数} &&(st\text{ は0でない実数}),\\ s\cdot s\cdot(\text{純虚数})&\text{ は0でない純虚数}. \end{aligned} であることから,X1,X2,X3X_1,X_2,X_3 に 00 のカードが含まれない場合,積が実数となるのは,33 枚のうち純虚数のカードの枚数が 00 枚または 22 枚のとき(かつそのときに限る)である。また 00 のカードが含まれれば積は 00 で実数である。

00 でない実数のカードは I1∪I2I_1\cup I_2 の 2n2n 枚,純虚数のカードは I3∪I4I_3\cup I_4 の 2n2n 枚である。33 枚を選ぶ場合の数の内訳は次のとおり。

・ 00 を含む:残り 22 枚を 00 以外の 4n4n 枚から選ぶ:(4n2)\displaystyle \dbinom{4n}{2} 通り。

・ 00 を含まず,実数 33 枚:(2n3)\displaystyle \dbinom{2n}{3} 通り。

・ 00 を含まず,実数 11 枚・純虚数 22 枚:(2n1)(2n2)\displaystyle \dbinom{2n}{1}\dbinom{2n}{2} 通り。

これらを合計すると (4n2)+(2n3)+(2n1)(2n2)=2n(4n−1)+2n(n−1)(2n−1)3+2n2(2n−1)=2n(4n−1)(1+2n−13)=4n(n+1)(4n−1)3.\displaystyle \begin{aligned} \binom{4n}{2}+\binom{2n}{3}+\binom{2n}{1}\binom{2n}{2} &=2n(4n-1)+\frac{2n(n-1)(2n-1)}{3}+2n^2(2n-1)\\ &=2n(4n-1)\left(1+\frac{2n-1}{3}\right)\\ &=\frac{4n(n+1)(4n-1)}{3}. \end{aligned} 一方,全体の場合の数は (4n+13)=(4n+1)(4n)(4n−1)6=2n(4n+1)(4n−1)3\displaystyle \binom{4n+1}{3}=\frac{(4n+1)(4n)(4n-1)}{6}=\frac{2n(4n+1)(4n-1)}{3} であるから, P(2)=4n(n+1)(4n−1)32n(4n+1)(4n−1)3=2(n+1)4n+1.\displaystyle P_{(2)}=\frac{\dfrac{4n(n+1)(4n-1)}{3}}{\dfrac{2n(4n+1)(4n-1)}{3}}=\frac{2(n+1)}{4n+1}.

(3) 和 X1+X2X_1+X_2 が実数となる確率

00 を含む実数値のカード全体(I1∪I2∪{0}I_1\cup I_2\cup\{0\},2n+12n+1 枚)から 22 枚を選べば,和は実数どうしの和だから常に実数である。

X1,X2X_1,X_2 の一方が純虚数でもう一方が実数(00 を含む)であれば,和は虚部が 00 でない(純虚数側が 00 でないため)から実数にならない。

X1,X2X_1,X_2 がともに純虚数 ki, k′iki,\ k'i(k,k′k,k' は互いに異なる 00 でない整数で ∣k∣,∣k′∣≦n|k|,|k'|\le n)のとき,和は (k+k′)i(k+k')i であり,これが実数(=0=0)となるのは k′=−kk'=-k のとき,かつそのときに限る。I3∪I4I_3\cup I_4 の中でこのような対 {ki,−ki}\{ki,-ki\} は k=1,…,nk=1,\dots,n の nn 通りある。

よって好都合な場合の数は (2n+12)+n=n(2n+1)+n=2n(n+1)\displaystyle \binom{2n+1}{2}+n=n(2n+1)+n=2n(n+1) であり,全体は (4n+12)=(4n+1)(4n)2=2n(4n+1)\displaystyle \dbinom{4n+1}{2}=\dfrac{(4n+1)(4n)}{2}=2n(4n+1) 通りだから, P(3)=2n(n+1)2n(4n+1)=n+14n+1.\displaystyle P_{(3)}=\frac{2n(n+1)}{2n(4n+1)}=\frac{n+1}{4n+1}.

(4) X1(X2+X3)X_1(X_2+X_3) が 00 となる確率

AA の要素はすべて有限な複素数で,積が 00 になるのは因数のどちらかが 00 のときに限るから, X1(X2+X3)=0、すなわち X1=0 または X2+X3=0.X_1(X_2+X_3)=0 \text{、すなわち } X_1=0 \ \text{または}\ X_2+X_3=0. X2+X3=0X_2+X_3=0 となるのは,(3) と同様の議論により,{X2,X3}\{X_2,X_3\} が実数の対 {k,−k}\{k,-k\}(k=1,…,nk=1,\dots,n)または純虚数の対 {ki,−ki}\{ki,-ki\}(k=1,…,nk=1,\dots,n)である場合であり,このような対は合わせて 2n2n 通りある(00 はこの種の対を作れない:カードは 11 枚しかないため)。

事象 E: X1=0E:\ X_1=0,事象 F: X2+X3=0F:\ X_2+X_3=0 とおく。並べ方の対称性より P(E)=1N,P(F)=2n(N2)=2nN(N−1)2=4nN(N−1)=1N(∵N=4n+1).\displaystyle P(E)=\frac{1}{N},\qquad P(F)=\frac{2n}{\binom{N}{2}}=\frac{2n}{\frac{N(N-1)}{2}}=\frac{4n}{N(N-1)}=\frac{1}{N}\quad(\because N=4n+1). E∩FE\cap F(X1=0X_1=0 かつ X2+X3=0X_2+X_3=0)については,X1=0X_1=0 を固定したとき,{X2,X3}\{X_2,X_3\} は残り 4n4n 枚(すべて 00 でない)から選ぶ一様な 22 元部分集合であり,好都合な対(実数対 nn 通り+純虚数対 nn 通り)は 2n2n 通りだから, P(F∣E)=2n(4n2)=2n4n(4n−1)2=14n−1,P(E∩F)=P(E)P(F∣E)=1N(4n−1).\displaystyle P(F\mid E)=\frac{2n}{\binom{4n}{2}}=\frac{2n}{\frac{4n(4n-1)}{2}}=\frac{1}{4n-1},\qquad P(E\cap F)=P(E)P(F\mid E)=\frac{1}{N(4n-1)}. 確率の加法定理により P(4)=P(E)+P(F)−P(E∩F)=2N−1N(4n−1)=2(4n−1)−1N(4n−1)=8n−3(4n+1)(4n−1).\displaystyle P_{(4)}=P(E)+P(F)-P(E\cap F)=\frac{2}{N}-\frac{1}{N(4n-1)}=\frac{2(4n-1)-1}{N(4n-1)}=\frac{8n-3}{(4n+1)(4n-1)}.

(5) X1(X2+X3)X_1(X_2+X_3) が実数となる確率

複素数 z=X1, w=X2+X3z=X_1,\ w=X_2+X_3 の積 zwzw が実数となる条件を,zz の型で場合分けする。

・ z=0z=0 のとき:積は 00 で常に実数。

・ zz が 00 でない実数のとき:zw は実数、すなわち w は実数zw\text{ は実数}\text{、すなわち } w\text{ は実数}(w=0w=0 を含む)。

・ zz が 00 でない純虚数のとき:z=ciz=ci(c≠0c\neq0)とすると zw=ci⋅wzw=ci\cdot w であり,これが実数となるのは ww の実部が 00(ww が純虚数または 00)のとき,かつそのときに限る。

(i)X1=0X_1=0(確率 1N\displaystyle \dfrac1N):このとき常に好都合。

(ii)X1X_1 が 00 でない実数(確率 2nN\displaystyle \dfrac{2n}{N})で固定されているとき,残り 4n4n 枚は「00 のカード 11 枚」「他の 00 でない実数 2n−12n-1 枚」「純虚数 2n2n 枚」からなる。好都合な {X2,X3}\{X_2,X_3\}(X2+X3X_2+X_3 が実数)は

・ 両方とも実数値カード(00 を含めて 2n2n 枚):和は常に実数:(2n2)\displaystyle \dbinom{2n}{2} 通り。

・ 両方とも純虚数で絶対値が等しく符号が逆(和が 00):純虚数は 2n2n 枚すべて残っているので nn 通り。

(他の組合せは和の虚部が 00 でなく不適。)よって好都合な場合の数は (2n2)+n=n(2n−1)+n=2n2\displaystyle \binom{2n}{2}+n=n(2n-1)+n=2n^2 であり,全体は (4n2)=2n(4n−1)\displaystyle \dbinom{4n}{2}=2n(4n-1) 通りだから,条件付き確率は 2n22n(4n−1)=n4n−1\displaystyle \dfrac{2n^2}{2n(4n-1)}=\dfrac{n}{4n-1}。

(iii)X1X_1 が 00 でない純虚数(確率 2nN\displaystyle \dfrac{2n}{N})で固定されているとき,残り 4n4n 枚は「00 のカード 11 枚」「実数 2n2n 枚」「他の純虚数 2n−12n-1 枚」からなる。好都合な {X2,X3}\{X_2,X_3\}(X2+X3X_2+X_3 の実部が 00)は

・ 両方とも純虚数(残り 2n−12n-1 枚から 22 枚):和は常に純虚数(実部 00):(2n−12)\displaystyle \dbinom{2n-1}{2} 通り。

・ 一方が 00,他方が純虚数の残り:和は純虚数:2n−12n-1 通り。

・ 両方とも実数で絶対値が等しく符号が逆(和が 00):nn 通り。

(他の組合せは和の実部が 00 でなく不適。)合計すると (2n−12)+(2n−1)+n=(2n−1)(n−1)+(2n−1)+n=n(2n−1)+n=2n2\displaystyle \binom{2n-1}{2}+(2n-1)+n=(2n-1)(n-1)+(2n-1)+n=n(2n-1)+n=2n^2 であり,(ii) と同じ値になる。条件付き確率も同様に n4n−1\displaystyle \dfrac{n}{4n-1}。

以上より P(5)=1N+2nN⋅n4n−1+2nN⋅n4n−1=1N+4n2N(4n−1)=(4n−1)+4n2N(4n−1)=4n2+4n−1(4n+1)(4n−1).\displaystyle P_{(5)}=\frac{1}{N}+\frac{2n}{N}\cdot\frac{n}{4n-1}+\frac{2n}{N}\cdot\frac{n}{4n-1} =\frac{1}{N}+\frac{4n^2}{N(4n-1)} =\frac{(4n-1)+4n^2}{N(4n-1)} =\frac{4n^2+4n-1}{(4n+1)(4n-1)}.

検算

n=1n=1(A={0,1,−1,i,−i}A=\{0,1,-1,i,-i\},N=5N=5)のとき,公式は P(1)=35,P(2)=45,P(3)=25,P(4)=13,P(5)=715\displaystyle P_{(1)}=\frac35,\quad P_{(2)}=\frac45,\quad P_{(3)}=\frac25,\quad P_{(4)}=\frac13,\quad P_{(5)}=\frac{7}{15} を与える。実際に 55 枚から 33 枚((1)(2)),22 枚((3)),あるいは位置を区別した 33 枚の並べ方((4)(5))を全て書き出して数え上げても同じ値が得られる(例えば (2) では,00 を含む組合せ (42)=6\displaystyle \dbinom{4}{2}=6 通りに加え,00 を含まない組合せ {1,−1,i},{1,−1,−i},{1,i,−i},{−1,i,−i}\{1,-1,i\},\{1,-1,-i\},\{1,i,-i\},\{-1,i,-i\} のうち後者 22 つ(純虚数がちょうど 22 枚)が実数となり,合計 88 通り/全体 (53)=10\displaystyle \dbinom{5}{3}=10 通りで 810=45\displaystyle \frac{8}{10}=\frac45 と一致する)。また n=2,3n=2,3 でも同様の数え上げで各式が一致することを確認した。次元・符号についても,n→n\to 大のとき各確率は0より大きく1より小さい範囲に収まり,(1)<(2)(積が 00 になる事象は実数になる事象の特殊な場合)や (4)<(5) といった包含関係とも整合する。

カードの分類と基本方針

AA の 4n+14n+1 枚のカードを,値の種類で次の5つに分類する。 I1={1,2,…,n} (n枚,正の実数),I2={−1,−2,…,−n} (n枚,負の実数),I_1=\{1,2,\dots,n\}\ (n\text{枚,正の実数}),\quad I_2=\{-1,-2,\dots,-n\}\ (n\text{枚,負の実数}), I3={i,2i,…,ni} (n枚,正の純虚数),I4={−i,−2i,…,−ni} (n枚,負の純虚数),{0} (1枚).I_3=\{i,2i,\dots,ni\}\ (n\text{枚,正の純虚数}),\quad I_4=\{-i,-2i,\dots,-ni\}\ (n\text{枚,負の純虚数}),\quad \{0\}\ (1\text{枚}). これらは互いに共通部分を持たず,合計 4n+14n+1 枚である。以下 N=4n+1N=4n+1 とおく。

カードを一列に無作為に並べる操作は,AA の NN 枚を無作為に並べる N!N! 通りの並べ方がすべて同様に確からしい試行である。このとき,任意に固定した位置の組(例えば左から 1,2,31,2,3 番目)に置かれる値の組 (X1,X2,X3)(X_1,X_2,X_3) は,AA から相異なる 33 個を取り出して並べる N(N−1)(N−2)N(N-1)(N-2) 通りの組がすべて同様に確からしい。したがって,X1,X2,X3X_1,X_2,X_3 の値そのもの(順序に依らない対称な条件)だけで決まる事象を考えるときは,「{X1,X2,X3}\{X_1,X_2,X_3\} を AA から無作為に選んだ 33 元部分集合とみなしてよい」(22 個の場合も同様)。これを以下で繰り返し用いる。

(1) 積 X1X2X3X_1X_2X_3 が 00 となる確率

AA の要素で 00 でないものはすべて(実数でも純虚数でも)00 でない複素数だから,積 X1X2X3=0X_1X_2X_3=0 となるのは,X1,X2,X3X_1,X_2,X_3 のうち少なくとも 11 つが 00 のカードであるとき,かつそのときに限る。

00 のカードはちょうど 11 枚であり,並べ方の対称性より,この特定の 11 枚が左から kk 番目(k=1,…,Nk=1,\dots,N)に来る確率はどの kk についても等しく 1N\displaystyle \dfrac{1}{N} である。「左から 1,2,31,2,3 番目のいずれかに来る」という事象は,これらの互いに排反な 33 つの事象の和だから, P(1)=3N=34n+1.\displaystyle P_{(1)}=\frac{3}{N}=\frac{3}{4n+1}.

(2) 積 X1X2X3X_1X_2X_3 が実数となる確率

00 でない実数を rr,00 でない純虚数を s,ts,t とすると, r⋅r⋅r は実数,r⋅r⋅s は0でない純虚数,r⋅s⋅t=r⋅(st) は0でない実数 (∵st は0でない実数),s⋅s⋅(純虚数) は0でない純虚数r\cdot r\cdot r\text{ は実数},\qquad r\cdot r\cdot s\text{ は0でない純虚数},\qquad r\cdot s\cdot t=r\cdot(st)\text{ は0でない実数}\ (\because st\text{ は0でない実数}),\qquad s\cdot s\cdot(\text{純虚数})\text{ は0でない純虚数} であることから,X1,X2,X3X_1,X_2,X_3 に 00 のカードが含まれない場合,積が実数となるのは,33 枚のうち純虚数のカードの枚数が 00 枚または 22 枚のとき(かつそのときに限る)である。また 00 のカードが含まれれば積は 00 で実数である。

00 でない実数のカードは I1∪I2I_1\cup I_2 の 2n2n 枚,純虚数のカードは I3∪I4I_3\cup I_4 の 2n2n 枚である。33 枚を選ぶ場合の数の内訳は次のとおり。

・ 00 を含む:残り 22 枚を 00 以外の 4n4n 枚から選ぶ:(4n2)\displaystyle \dbinom{4n}{2} 通り。

・ 00 を含まず,実数 33 枚:(2n3)\displaystyle \dbinom{2n}{3} 通り。

・ 00 を含まず,実数 11 枚・純虚数 22 枚:(2n1)(2n2)\displaystyle \dbinom{2n}{1}\dbinom{2n}{2} 通り。

これらを合計すると (4n2)+(2n3)+(2n1)(2n2)=2n(4n−1)+2n(n−1)(2n−1)3+2n2(2n−1)=2n(4n−1)(1+2n−13)=4n(n+1)(4n−1)3.\displaystyle \binom{4n}{2}+\binom{2n}{3}+\binom{2n}{1}\binom{2n}{2} =2n(4n-1)+\frac{2n(n-1)(2n-1)}{3}+2n^2(2n-1) =2n(4n-1)\left(1+\frac{2n-1}{3}\right) =\frac{4n(n+1)(4n-1)}{3}. 一方,全体の場合の数は (4n+13)=(4n+1)(4n)(4n−1)6=2n(4n+1)(4n−1)3\displaystyle \binom{4n+1}{3}=\frac{(4n+1)(4n)(4n-1)}{6}=\frac{2n(4n+1)(4n-1)}{3} であるから, P(2)=4n(n+1)(4n−1)32n(4n+1)(4n−1)3=2(n+1)4n+1.\displaystyle P_{(2)}=\frac{\dfrac{4n(n+1)(4n-1)}{3}}{\dfrac{2n(4n+1)(4n-1)}{3}}=\frac{2(n+1)}{4n+1}.

(3) 和 X1+X2X_1+X_2 が実数となる確率

00 を含む実数値のカード全体(I1∪I2∪{0}I_1\cup I_2\cup\{0\},2n+12n+1 枚)から 22 枚を選べば,和は実数どうしの和だから常に実数である。

X1,X2X_1,X_2 の一方が純虚数でもう一方が実数(00 を含む)であれば,和は虚部が 00 でない(純虚数側が 00 でないため)から実数にならない。

X1,X2X_1,X_2 がともに純虚数 ki, k′iki,\ k'i(k,k′k,k' は互いに異なる 00 でない整数で ∣k∣,∣k′∣≦n|k|,|k'|\le n)のとき,和は (k+k′)i(k+k')i であり,これが実数(=0=0)となるのは k′=−kk'=-k のとき,かつそのときに限る。I3∪I4I_3\cup I_4 の中でこのような対 {ki,−ki}\{ki,-ki\} は k=1,…,nk=1,\dots,n の nn 通りある。

よって好都合な場合の数は (2n+12)+n=n(2n+1)+n=2n(n+1)\displaystyle \binom{2n+1}{2}+n=n(2n+1)+n=2n(n+1) であり,全体は (4n+12)=(4n+1)(4n)2=2n(4n+1)\displaystyle \dbinom{4n+1}{2}=\dfrac{(4n+1)(4n)}{2}=2n(4n+1) 通りだから, P(3)=2n(n+1)2n(4n+1)=n+14n+1.\displaystyle P_{(3)}=\frac{2n(n+1)}{2n(4n+1)}=\frac{n+1}{4n+1}.

(4) X1(X2+X3)X_1(X_2+X_3) が 00 となる確率

AA の要素はすべて有限な複素数で,積が 00 になるのは因数のどちらかが 00 のときに限るから, X1(X2+X3)=0、すなわち X1=0 または X2+X3=0.X_1(X_2+X_3)=0 \text{、すなわち } X_1=0 \ \text{または}\ X_2+X_3=0. X2+X3=0X_2+X_3=0 となるのは,(3) と同様の議論により,{X2,X3}\{X_2,X_3\} が実数の対 {k,−k}\{k,-k\}(k=1,…,nk=1,\dots,n)または純虚数の対 {ki,−ki}\{ki,-ki\}(k=1,…,nk=1,\dots,n)である場合であり,このような対は合わせて 2n2n 通りある(00 はこの種の対を作れない:カードは 11 枚しかないため)。

事象 E: X1=0E:\ X_1=0,事象 F: X2+X3=0F:\ X_2+X_3=0 とおく。並べ方の対称性より P(E)=1N,P(F)=2n(N2)=2nN(N−1)2=4nN(N−1)=1N(∵N=4n+1).\displaystyle P(E)=\frac{1}{N},\qquad P(F)=\frac{2n}{\binom{N}{2}}=\frac{2n}{\frac{N(N-1)}{2}}=\frac{4n}{N(N-1)}=\frac{1}{N}\quad(\because N=4n+1). E∩FE\cap F(X1=0X_1=0 かつ X2+X3=0X_2+X_3=0)については,X1=0X_1=0 を固定したとき,{X2,X3}\{X_2,X_3\} は残り 4n4n 枚(すべて 00 でない)から選ぶ一様な 22 元部分集合であり,好都合な対(実数対 nn 通り+純虚数対 nn 通り)は 2n2n 通りだから, P(F∣E)=2n(4n2)=2n4n(4n−1)2=14n−1,P(E∩F)=P(E)P(F∣E)=1N(4n−1).\displaystyle P(F\mid E)=\frac{2n}{\binom{4n}{2}}=\frac{2n}{\frac{4n(4n-1)}{2}}=\frac{1}{4n-1},\qquad P(E\cap F)=P(E)P(F\mid E)=\frac{1}{N(4n-1)}. 確率の加法定理により P(4)=P(E)+P(F)−P(E∩F)=2N−1N(4n−1)=2(4n−1)−1N(4n−1)=8n−3(4n+1)(4n−1).\displaystyle P_{(4)}=P(E)+P(F)-P(E\cap F)=\frac{2}{N}-\frac{1}{N(4n-1)}=\frac{2(4n-1)-1}{N(4n-1)}=\frac{8n-3}{(4n+1)(4n-1)}.

(5) X1(X2+X3)X_1(X_2+X_3) が実数となる確率

複素数 z=X1, w=X2+X3z=X_1,\ w=X_2+X_3 の積 zwzw が実数となる条件を,zz の型で場合分けする。

・ z=0z=0 のとき:積は 00 で常に実数。

・ zz が 00 でない実数のとき:zw は実数、すなわち w は実数zw\text{ は実数}\text{、すなわち } w\text{ は実数}(w=0w=0 を含む)。

・ zz が 00 でない純虚数のとき:z=ciz=ci(c≠0c\neq0)とすると zw=ci⋅wzw=ci\cdot w であり,これが実数となるのは ww の実部が 00(ww が純虚数または 00)のとき,かつそのときに限る。

(i)X1=0X_1=0(確率 1N\displaystyle \dfrac1N):このとき常に好都合。

(ii)X1X_1 が 00 でない実数(確率 2nN\displaystyle \dfrac{2n}{N})で固定されているとき,残り 4n4n 枚は「00 のカード 11 枚」「他の 00 でない実数 2n−12n-1 枚」「純虚数 2n2n 枚」からなる。好都合な {X2,X3}\{X_2,X_3\}(X2+X3X_2+X_3 が実数)は

・ 両方とも実数値カード(00 を含めて 2n2n 枚):和は常に実数:(2n2)\displaystyle \dbinom{2n}{2} 通り。

・ 両方とも純虚数で絶対値が等しく符号が逆(和が 00):純虚数は 2n2n 枚すべて残っているので nn 通り。

(他の組合せは和の虚部が 00 でなく不適。)よって好都合な場合の数は (2n2)+n=n(2n−1)+n=2n2\displaystyle \binom{2n}{2}+n=n(2n-1)+n=2n^2 であり,全体は (4n2)=2n(4n−1)\displaystyle \dbinom{4n}{2}=2n(4n-1) 通りだから,条件付き確率は 2n22n(4n−1)=n4n−1\displaystyle \dfrac{2n^2}{2n(4n-1)}=\dfrac{n}{4n-1}。

(iii)X1X_1 が 00 でない純虚数(確率 2nN\displaystyle \dfrac{2n}{N})で固定されているとき,残り 4n4n 枚は「00 のカード 11 枚」「実数 2n2n 枚」「他の純虚数 2n−12n-1 枚」からなる。好都合な {X2,X3}\{X_2,X_3\}(X2+X3X_2+X_3 の実部が 00)は

・ 両方とも純虚数(残り 2n−12n-1 枚から 22 枚):和は常に純虚数(実部 00):(2n−12)\displaystyle \dbinom{2n-1}{2} 通り。

・ 一方が 00,他方が純虚数の残り:和は純虚数:2n−12n-1 通り。

・ 両方とも実数で絶対値が等しく符号が逆(和が 00):nn 通り。

(他の組合せは和の実部が 00 でなく不適。)合計すると (2n−12)+(2n−1)+n=(2n−1)(n−1)+(2n−1)+n=n(2n−1)+n=2n2\displaystyle \binom{2n-1}{2}+(2n-1)+n=(2n-1)(n-1)+(2n-1)+n=n(2n-1)+n=2n^2 であり,(ii) と同じ値になる。条件付き確率も同様に n4n−1\displaystyle \dfrac{n}{4n-1}。

以上より P(5)=1N+2nN⋅n4n−1+2nN⋅n4n−1=1N+4n2N(4n−1)=(4n−1)+4n2N(4n−1)=4n2+4n−1(4n+1)(4n−1).\displaystyle P_{(5)}=\frac{1}{N}+\frac{2n}{N}\cdot\frac{n}{4n-1}+\frac{2n}{N}\cdot\frac{n}{4n-1} =\frac{1}{N}+\frac{4n^2}{N(4n-1)} =\frac{(4n-1)+4n^2}{N(4n-1)} =\frac{4n^2+4n-1}{(4n+1)(4n-1)}.

検算

n=1n=1(A={0,1,−1,i,−i}A=\{0,1,-1,i,-i\},N=5N=5)のとき,公式は P(1)=35,P(2)=45,P(3)=25,P(4)=13,P(5)=715\displaystyle P_{(1)}=\frac35,\quad P_{(2)}=\frac45,\quad P_{(3)}=\frac25,\quad P_{(4)}=\frac13,\quad P_{(5)}=\frac{7}{15} を与える。実際に 55 枚から 33 枚((1)(2)),22 枚((3)),あるいは位置を区別した 33 枚の並べ方((4)(5))を全て書き出して数え上げても同じ値が得られる(例えば (2) では,00 を含む組合せ (42)=6\displaystyle \dbinom{4}{2}=6 通りに加え,00 を含まない組合せ {1,−1,i},{1,−1,−i},{1,i,−i},{−1,i,−i}\{1,-1,i\},\{1,-1,-i\},\{1,i,-i\},\{-1,i,-i\} のうち後者 22 つ(純虚数がちょうど 22 枚)が実数となり,合計 88 通り/全体 (53)=10\displaystyle \dbinom{5}{3}=10 通りで 810=45\displaystyle \frac{8}{10}=\frac45 と一致する)。また n=2,3n=2,3 でも同様の数え上げで各式が一致することを確認した。次元・符号についても,n→n\to 大のとき各確率は0より大きく1より小さい範囲に収まり,(1)<(2)(積が 00 になる事象は実数になる事象の特殊な場合)や (4)<(5) といった包含関係とも整合する。

この問題で使う考え方

  • 無作為順列の対称性
  • 組合せによる場合の数
  • 複素数の実部・虚部と積の型
  • 加法定理・条件付き確率
  • 型別の場合分け

PR

数学を1対1で教わるオンライン塾「数強塾」

数強塾は、中学生・高校生のための数学専門のオンライン個別指導塾です。プロ講師がマンツーマンで教え、大学受験の数学にも対応しています。入塾の前に、今の学習状況と目標を確かめる診断授業(体験・3,000円、税込)を受けられます。

「数強塾」オンライン数学克服塾〈プロ講師〉

東大生と1対1で学べるオンライン個別指導「トウコベ」

トウコベは、東大生を中心に難関大学の学生が講師を務める、完全マンツーマンのオンライン個別指導です。はじめに、オンラインの説明会・勉強相談(無料)をWebで予約でき、その後にお試し授業を受けられます。

トウコベ公式サイト

似た問題を、ほかの大学で

答えや解説の誤りに気づいたら、お問い合わせから教えてください。