(1)
a を整数とし,a が3の倍数でないとする。a を3で割った余りは 0,1,2 のいずれかであるが,仮定よりこの余りは 1 または 2 である。
(a) a を3で割った余りが1の場合,すなわちある整数 k を用いて a=3k+1 と表せる場合。 a3=(3k+1)3=27k3+27k2+9k+1=3(9k3+9k2+3k)+1 であるから,a3 を3で割った余りも1である。よって a3+a={3(9k3+9k2+3k)+1}+(3k+1)=3(9k3+9k2+3k+k)+2 より,a3+a を3で割った余りは2であり,a3+a は3の倍数でない。
(b) a を3で割った余りが2の場合,すなわちある整数 k を用いて a=3k+2 と表せる場合。 a3=(3k+2)3=27k3+54k2+36k+8=3(9k3+18k2+12k+2)+2 であるから,a3 を3で割った余りも2である。よって a3+a={3(9k3+18k2+12k+2)+2}+(3k+2)=3(9k3+18k2+12k+2+k)+4 であり,4=3⋅1+1 だから a3+a を3で割った余りは1であり,a3+a は3の倍数でない。
以上,(a)(b) いずれの場合も a3+a は3の倍数でない。したがって,整数 a が3の倍数でないとき,a3+a は3の倍数でない。(証明終)
(2)(i)
α=2x+y,β=2x−y とおくと,α+β=x,α−β=y である。加法定理より sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβ=sinx,sin(α−β)=sinαcosβ−cosαsinβ=siny であるから,辺々を加えると sinx+siny=2sinαcosβ=2sin2x+ycos2x−y が成り立つ。(証明終)
(2)(ii)
(i)の結果を2で割ると 2sinx+siny=sin2x+ycos2x−y であるから,以下 S=sin2x+y とおき,S と Scos2x−y の大小を比較する。
0≦x<y≦π のとき,2x+y は x と y の間にあるから 0≦x<2x+y<y≦π より 0<2x+y<π である。0<θ<π のとき sinθ>0 であるから,S=sin2x+y>0 である。
一方,y−x>0 であり,かつ 0≦x,y≦π より y−x≦π(等号は x=0, y=π のときに限る)であるから 0<2y−x≦2π である。余弦関数は偶関数だから cos2x−y=cos2y−x であり,cosθ は 0≦θ≦2π の範囲で減少し,かつ 2y−x>0 より真に cos0=1 より小さいから 0≦cos2x−y<1 が成り立つ(等号は x=0, y=π のとき cos2π=0 で成立し得るが,1 未満であることには変わりない)。
S>0 と 0≦cos2x−y<1 より 2sinx+siny=Scos2x−y<S⋅1=S=sin2x+y となる。すなわち,0≦x<y≦π の範囲では常に sin2x+y>2sinx+siny が成り立つ(等号となることはない)。
[検算] 例えば x=0, y=2π とすると,左辺は sin4π=22≒0.707,右辺は 2sin0+sin2π=20+1=0.5 であり,0.707>0.5 で不等号の向きと一致する。また,これは y=sinθ のグラフが 0≦θ≦π の範囲で上に凸であることによる中点の不等式(弦の中点における関数値が弦自身の中点の値より真に大きい)とも整合する。
(3)(i)
P(1)=13+(a−4)⋅12+(3−b2)⋅1+b2−a=1+(a−4)+(3−b2)+(b2−a) であり,右辺の a の項は a−a=0,b2 の項は −b2+b2=0,定数項は 1−4+3=0 となるから,P(1)=0 である。よって x=1 は方程式 P(x)=0 の解である。(証明終)
(3)(ii)
(i)より P(x) は x−1 を因数にもつ。実際に P(x)=(x−1)(x2+(a−3)x+(a−b2)) と因数分解できることを確かめる。右辺を展開すると (x−1)(x2+(a−3)x+(a−b2))=x3+(a−3)x2+(a−b2)x−x2−(a−3)x−(a−b2) =x3+(a−4)x2+{(a−b2)−(a−3)}x−(a−b2)=x3+(a−4)x2+(3−b2)x+(b2−a) となり,たしかに P(x) に一致する。
そこで Q(x)=x2+(a−3)x+(a−b2) とおくと,P(x)=0 の解は x=1 と Q(x)=0 の解全体である。
「P(x)=0 が異なる2つの虚数解をもつ」とは,3次方程式 P(x)=0 の解のうち,実数でない解がちょうど2個あり,かつその2個が互いに異なることを意味する。x=1 は実数であるから,これは「Q(x)=0 が異なる2つの虚数解をもつ」ことと同値である。実際,実係数2次方程式が虚数解をもてば,それは互いに共役な異なる2つの虚数解であり(判別式が負のとき,2解は互いに共役で一致しない),これらは実数である x=1 とは一致しない。したがって,Q(x)=0 が虚数解をもつこと自体が,求める条件と同値である。
Q(x)=0 が虚数解をもつための条件は,Q の判別式を D として D<0 である。 D=(a−3)2−4(a−b2)=a2−6a+9−4a+4b2=a2−10a+9+4b2 ここで a2−10a+9=(a−5)2−25+9=(a−5)2−16 であるから D=(a−5)2−16+4b2 となる。D<0 は (a−5)2+4b2<16 と同値である。したがって,方程式 P(x)=0 が異なる2つの虚数解をもつための,実数 a,b が満たすべき必要十分条件は (a−5)2+4b2<16(すなわち 16(a−5)2+4b2<1) である。
[検算] a=5, b=0 のとき D=(a−5)2+4b2−16=−16<0 で条件を満たし,実際 Q(x)=x2+2x+5 の判別式は 4−20=−16<0 で一致する(解は x=−1±2i)。境界の a=9, b=0 では (a−5)2+4b2=16 で D=0 となり,実際 Q(x)=x2+6x+9=(x+3)2 は重解 x=−3(実数)をもち,境界を除くことと整合する。もう一方の境界 a=1, b=0 でも (a−5)2+4b2=16 で D=0 となるが,このとき Q(x)=x2−2x+1=(x−1)2 で重解は x=1 となり,これはもともとの実数解 x=1 と重なる退化した場合であって,「異なる2つの虚数解」には該当しない。これも境界(等号)を除外することと整合する。
図示すると,求める領域は ab 平面上で,中心 (5,0),a 軸方向の半径 4(a 軸との交点は a=1,9),b 軸方向の半径 2(b 軸との交点は b=±2)をもつ楕円 16(a−5)2+4b2=1 の内部(この楕円の周上は含まない)である。