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慶應義塾大学 2000年 数学 第IV問解答・解説

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1問題

慶應義塾大学2000年度第IV問

実数 xx に対し f(x)={x1−xx<12 のとき,2x−1xx≧12 のとき\displaystyle f(x)=\begin{cases} \dfrac{x}{1-x} & x<\dfrac{1}{2}\text{ のとき},\\[4pt] \dfrac{2x-1}{x} & x\geqq\dfrac{1}{2}\text{ のとき} \end{cases} と定義し、また f1(x)=f(x)f^{1}(x)=f(x)、自然数 kk に対し fk+1(x)=fk(f(x))f^{k+1}(x)=f^{k}(f(x)) と定義する。

(1) f2(x)=xf^{2}(x)=x を満たす実数 xx をすべて決定しなさい。

(2) fk(x)=0f^{k}(x)=0 となる自然数 kk が存在すれば xx は有理数であることを証明しなさい。

(3) p,q,np,q,n が自然数で、0<p<q≦n0<p<q\leqq n を満たしていれば fk(pq)=0\displaystyle f^{k}\left(\frac{p}{q}\right)=0 となる自然数 kk が存在することを、nn に関する数学的帰納法により証明しなさい。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1)
    0,3−52,5−12,1\displaystyle 0,\quad \frac{3-\sqrt5}{2},\quad \frac{\sqrt5-1}{2},\quad 1
  • (2)
    fk(x)=0f^k(x)=0となるならxは有理数
  • (3)
    qより小さい分母の有理数へ写ることによる帰納法

3解答

解答を見る途中式つきの解答

(1) 区分の切替点は x=13,12,23\displaystyle x=\frac13,\frac12,\frac23 である。

x<13\displaystyle x<\frac13 では f2(x)=x1−2x\displaystyle f^2(x)=\frac{x}{1-2x}。これが xx に等しいのは x=0x=0。

13≦x<12\displaystyle \frac13\le x<\frac12 では f2(x)=3−1x\displaystyle f^2(x)=3-\frac1x。よって x2−3x+1=0x^2-3x+1=0 となり、この区間に入る根は 3−52\displaystyle \frac{3-\sqrt5}{2}。

12≦x<23\displaystyle \frac12\le x<\frac23 では f2(x)=2x−11−x\displaystyle f^2(x)=\frac{2x-1}{1-x}。したがって x2+x−1=0x^2+x-1=0 となり、この区間に入る根は 5−12\displaystyle \frac{\sqrt5-1}{2}。

x≧23\displaystyle x\ge\frac23 では f2(x)=3x−22x−1\displaystyle f^2(x)=\frac{3x-2}{2x-1}。方程式は (x−1)2=0(x-1)^2=0 となるので x=1x=1。以上から解は 0,3−52,5−12,1.\displaystyle 0,\quad \frac{3-\sqrt5}{2},\quad \frac{\sqrt5-1}{2},\quad 1.

(2) f(x)=rf(x)=r が有理数であるとする。x<12\displaystyle x<\frac12 の枝では r=x1−x\displaystyle r=\frac{x}{1-x} より x=r1+r\displaystyle x=\frac{r}{1+r}。x≧12\displaystyle x\ge\frac12 の枝では r=2x−1x\displaystyle r=\frac{2x-1}{x} より x=12−r\displaystyle x=\frac{1}{2-r}。各枝で r=−1r=-1 または r=2r=2 は起きないから、いずれも rr が有理数なら xx も有理数である。fk(x)=0f^k(x)=0 なら fk−1(x)f^{k-1}(x) は有理数から始まり、この逆向きの議論を kk 回繰り返して xx が有理数であることを得る。

(3) P(n)P(n) を「0<p<q≦n0<p<q\le n なら、ある自然数 kk について fk(p/q)=0f^k(p/q)=0」とする。n=1n=1 は該当する p,qp,q がなく成立する。P(n−1)P(n-1) を仮定する。

2p=q2p=q なら f(p/q)=0f(p/q)=0。2p<q2p<q なら f(pq)=pq−p,0<p<q−p<q≦n,\displaystyle f\left(\frac pq\right)=\frac{p}{q-p},\qquad 0<p<q-p<q\le n, だから分母 q−p≦n−1q-p\le n-1 となり、帰納法の仮定を適用できる。2p>q2p>q なら f(pq)=2p−qp,0<2p−q<p<q≦n,\displaystyle f\left(\frac pq\right)=\frac{2p-q}{p},\qquad 0<2p-q<p<q\le n, なので、こちらも分母 p≦n−1p\le n-1 に帰納法の仮定を適用できる。いずれも最初の1回を加えれば p/qp/q から有限回で 00 に至る。よって P(n)P(n) が成り立ち、数学的帰納法により結論を得る。

(1) 区分の切替は x=1/2 のほか、x<1/2 のとき f(x)=1/2 となる x=1/3、x≧1/2 のとき f(x)=1/2 となる x=2/3 で起きる。x<1/3 では f²(x)=x/(1−2x) なので解は x=0。1/3≦x<1/2 では f²(x)=3−1/x となり x²−3x+1=0、範囲に入る根は (3−√5)/2。1/2≦x<2/3 では f²(x)=(2x−1)/(1−x) となり x²+x−1=0、範囲に入る根は (√5−1)/2。x≧2/3 では f²(x)=(3x−2)/(2x−1) となり (x−1)²=0、解は1。境界値も各区間に含めてあり、解はこれら4つ。 (2) f(x)=r が有理数なら、x<1/2の枝では x=r/(1+r)、x≧1/2の枝では x=1/(2−r)。それぞれの分母は実際の枝の値域上で0にならないため、有理なrから有理なxが得られる。fk(x)=0f^k(x)=0から逆にたどり、k回この事実を用いるとxは有理数。 (3) P(n): 0<p<q≦nならp/qの反復で0に到達する、とする。n=1は対象がなく成立。P(n−1)を仮定する。2p=qなら f(p/q)=0。2p<qなら f(p/q)=p/(q−p) で、0<p<q−p<q≦nだから分母q−pはn−1以下。帰納法の仮定からこの値は有限回で0となる。2p>qなら f(p/q)=(2p−q)/p で、0<2p−q<p<q≦nだから分母pはn−1以下であり、やはり帰納法の仮定を適用できる。いずれも最初の1回を加えれば元のp/qも有限回で0に達する。よってP(n)が成り立つ。

この問題で使う考え方

  • 区分関数
  • 合成関数
  • 数学的帰納法

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