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慶應義塾大学/2005年度/一般

慶應義塾大学 2005年 数学 第IV問解答・解説

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1問題

慶應義塾大学2005年度第IV問

設問(1)から(3)に答えなさい。

関数f(x)=ex22\displaystyle f(x)=e^{\frac{x^2}{2}}が等式

f(x)=1+∫0xtf(t) dt\displaystyle f(x)=1+\int_0^x t f(t)\,dt

を満たすことに着目して、自然対数の底eeの平方根e\sqrt{e}の近似値を求めることを考える。そこで、f(x)f(x)を近似する関数fn(x)f_n(x)(n=0,1,…n=0,1,\ldots)を

f0(x)=1f_0(x)=1

fn(x)=1+∫0xtfn−1(t) dt(n=1,2,…)\displaystyle f_n(x)=1+\int_0^x t f_{n-1}(t)\,dt\qquad(n=1,2,\ldots)

により順に定める。

(1) 0≦x≦10\leq x\leq1のとき

f(x)−f0(x)≦e−1f(x)-f_0(x)\leq\sqrt{e}-1

を示しなさい。

(2) 0≦x≦10\leq x\leq1のとき、任意のnn(n=1,2,…n=1,2,\ldots)に対し

0≦f(x)−fn(x)≦12nn!(e−1)x2n\displaystyle 0\leq f(x)-f_n(x)\leq\frac{1}{2^n n!}(\sqrt{e}-1)x^{2n}

を示しなさい。

(3) f5(1)f_5(1)とe\sqrt{e}が小数第3位まで一致することを示しなさい。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1)0≦f(x)−f0(x)≦e−1.(1)\quad 0\le f(x)-f_0(x)\le\sqrt e-1.
    (2)0≦f(x)−fn(x)≦e−12nn!x2n(n≧1).\displaystyle (2)\quad 0\le f(x)-f_n(x)\le\frac{\sqrt e-1}{2^n n!}x^{2n}\quad(n\ge1).
    (3)f5(1)=63313840=1.6486979…,63313840≦e≦63323840=1.6489583…,f5(1),e\displaystyle (3)\quad f_5(1)=\frac{6331}{3840}=1.6486979\ldots,\quad \frac{6331}{3840}\le\sqrt e\le\frac{6332}{3840}=1.6489583\ldots,\quad f_5(1),\sqrt e はともに小数第3位まで 1.649.

3解答

解答を見る途中式つきの解答

(1) 0≦x≦10\le x\le1 では 0≦x2/2≦1/20\le x^2/2\le1/2 であり、指数関数は増加するから f(x)−f0(x)=ex2/2−1≦e1/2−1=e−1.f(x)-f_0(x)=e^{x^2/2}-1\le e^{1/2}-1=\sqrt e-1. また f(x)≧1=f0(x)f(x)\ge1=f_0(x) なので、差は非負である。

(2) 与えられた積分表示と fnf_n の定義を引くと f(x)−fn(x)=∫0xt{f(t)−fn−1(t)} dt.\displaystyle f(x)-f_n(x)=\int_0^x t\{f(t)-f_{n-1}(t)\}\,dt. まず n=1n=1 では、(1)より被積分関数は非負であり 0≦f(x)−f1(x)≦(e−1)∫0xt dt=e−12x2.\displaystyle 0\le f(x)-f_1(x)\le(\sqrt e-1)\int_0^x t\,dt=\frac{\sqrt e-1}{2}x^2. n−1n-1 で主張が成り立つとする。0≦t≦x≦10\le t\le x\le1 に対してその不等式を用いると 0≦f(x)−fn(x)≦e−12n−1(n−1)!∫0xt t2n−2 dt=e−12n−1(n−1)!⋅x2n2n=e−12nn!x2n.\displaystyle \begin{aligned} 0\le f(x)-f_n(x) &\le\frac{\sqrt e-1}{2^{n-1}(n-1)!}\int_0^x t\,t^{2n-2}\,dt\\ &=\frac{\sqrt e-1}{2^{n-1}(n-1)!}\cdot\frac{x^{2n}}{2n} =\frac{\sqrt e-1}{2^n n!}x^{2n}. \end{aligned} よって数学的帰納法により、すべての n≧1n\ge1 について成立する。

(3) 漸化式から帰納的に fn(x)=∑k=0nx2k2kk!\displaystyle f_n(x)=\sum\limits _{k=0}^{n}\frac{x^{2k}}{2^k k!} を得る。実際、fn−1f_{n-1} の各項を tt 倍して積分すれば、定数項 11 のほかに x2k/(2kk!)x^{2k}/(2^k k!) が順に得られる。従って f5(1)=1+12+18+148+1384+13840=63313840=1.6486979….\displaystyle f_5(1)=1+\frac12+\frac18+\frac1{48}+\frac1{384}+\frac1{3840}=\frac{6331}{3840}=1.6486979\ldots. 誤差評価に n=5,x=1n=5,x=1 を入れると 0≦e−f5(1)≦e−13840.\displaystyle 0\le\sqrt e-f_5(1)\le\frac{\sqrt e-1}{3840}. ここで ff は 0≦x≦10\leq x\leq1 の範囲で増加するので、与えられた積分表示から e−1=f(1)−1=∫01tf(t) dt≦f(1)∫01t dt=e2,\displaystyle \sqrt e-1=f(1)-1=\int_0^1t f(t)\,dt\le f(1)\int_0^1t\,dt=\frac{\sqrt e}{2}, 従って e≦2\sqrt e\le2、すなわち e−1≦1\sqrt e-1\le1 である。したがって 63313840≦e≦63323840=1.6489583….\displaystyle \frac{6331}{3840}\le\sqrt e\le\frac{6332}{3840}=1.6489583\ldots. 上の評価から 1.6485≦e<1.64951.6485\leq\sqrt e<1.6495 であり、f5(1)=1.6486979…f_5(1)=1.6486979\ldots もこの範囲にある。従って両者は小数第3位まで 1.6491.649 で一致する。

この問題で使う考え方

  • 指数関数のグラフ・増減
  • 定積分
  • 漸化式
  • 数学的帰納法
  • 不定積分・定積分の性質
  • 総和記号と数列の和

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