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長崎大学/2022年度/前期

長崎大学 2022年 数学 第8問解答・解説

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1問題

長崎大学2022年度第8問

自然数 nn に対して、In=∫1e(log⁡x)n dx\displaystyle I_{n}=\int_{1}^{e}(\log x)^{n}\,dx とする。ただし、ee は自然対数の底であり、無理数である。以下の問いに答えよ。

(1) I1,I2I_{1},I_{2} の値を、それぞれ求めよ。また、In+1I_{n+1} を InI_{n} を用いて表せ。

(2) aa および bb を有理数とする。a+be=0a+be=0 ならば a=0a=0 かつ b=0b=0 であることを、背理法を用いて証明せよ。

(3) すべての nn に対して、In=An+BneI_{n}=A_{n}+B_{n}e(An,BnA_{n},B_{n} は有理数)と表すことができる。このことを数学的帰納法を用いて証明せよ。

(4) (3)における AnA_{n} に対して、Cn=An(−1)n+1n!\displaystyle C_{n}=\frac{A_{n}}{(-1)^{n+1}n!} とする。このとき、CnC_{n} および AnA_{n} を、それぞれ nn を用いて表せ。

(5) (3)における BnB_{n} は、Bn=1+∑i=1n(−1)i nPi\displaystyle B_{n}=1+\sum\limits _{i=1}^{n}(-1)^{i}\,{}_{n}P_{i} であることを数学的帰納法を用いて証明し、I5I_{5} の値を求めよ。ただし、nPr=n!(n−r)!\displaystyle {}_{n}P_{r}=\frac{n!}{(n-r)!}(rr は r≦nr\leq n の自然数)であり、0!=10!=1 とする。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2考え方

考え方を見る解き方の方針だけを確かめる

積分の部分積分から得る一次漸化式を用い、係数の有理数表示・明示式・順列和を順に帰納法で示す。

3答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1) I1=1,I2=e−2,In+1=e−(n+1)In (n≧1)/(1)\space{}I_1=1,\quad I_2=e-2,\quad I_{n+1}=e-(n+1)I_n\space{}(n\geq1)\quad /
    (2) a=b=0/(2)\space{}a=b=0\quad /
    (3) In=An+Bne (An,Bn∈Q)/(3)\space{}I_n=A_n+B_ne\space{}(A_n,B_n\in\mathbb{Q})\quad /
    (4) Cn=1,An=(−1)n+1n!/(4)\space{}C_n=1,\quad A_n=(-1)^{n+1}n!\quad /
    (5) Bn=1+∑i=1n(−1)inPi,I5=120−44e\displaystyle (5)\space{}B_n=1+\sum\limits _{i=1}^{n}(-1)^i{}_nP_i,\quad I_5=120-44e

4解答

解答を見る途中式つきの解答

(1) 部分積分により I1=∫1elog⁡x dx=[xlog⁡x−x]1e=1.\displaystyle I_1=\int_1^e\log x\,dx=[x\log x-x]_1^e=1. また、任意の自然数 nn に対して In+1=∫1e(log⁡x)n+1 dx=[x(log⁡x)n+1]1e−(n+1)∫1e(log⁡x)n dx=e−(n+1)In.\displaystyle I_{n+1}=\int_1^e(\log x)^{n+1}\,dx=[x(\log x)^{n+1}]_1^e-(n+1)\int_1^e(\log x)^n\,dx=e-(n+1)I_n. ここで端点では log⁡e=1, log⁡1=0\log e=1,\ \log1=0 を用いた。したがって I2=e−2I1=e−2I_2=e-2I_1=e-2 である。

(2) 背理法で示す。a,ba,b が同時に0ではないと仮定する。もし b=0b=0 ならば a+be=0a+be=0 より a=0a=0 となり、仮定に反するので、b≠0b\ne0 である。よって e=−ab は有理数\displaystyle e=-\frac{a}{b}\text{ は有理数} となるが、これは ee が無理数であることに反する。したがって a=0a=0 かつ b=0b=0 である。

(3) 数学的帰納法で示す。n=1n=1 では I1=1=1+0⋅eI_1=1=1+0\cdot e であり、係数は有理数である。ある自然数 nn で In=An+BneI_n=A_n+B_ne(An,Bn は有理数A_n,B_n\text{ は有理数})と表せると仮定すると、(1)の漸化式から In+1=e−(n+1)In=−(n+1)An+{1−(n+1)Bn}e.I_{n+1}=e-(n+1)I_n=-(n+1)A_n+\{1-(n+1)B_n\}e. 右辺の二つの係数は有理数である。よって帰納法により、すべての自然数 nn で所定の形に表せる。

(4) (2)より、有理数係数による In=An+BneI_n=A_n+B_ne の表し方は一意である。したがって (1) の漸化式から A1=1A_1=1、An+1=−(n+1)AnA_{n+1}=-(n+1)A_n を得る。これより帰納的に An=(−1)n+1n!A_n=(-1)^{n+1}n! である。ゆえに Cn=An(−1)n+1n!=1.\displaystyle C_n=\frac{A_n}{(-1)^{n+1}n!}=1.

(5) (3)の係数について B1=0B_1=0、Bn+1=1−(n+1)BnB_{n+1}=1-(n+1)B_n である。まず n=1n=1 では 1+∑i=11(−1)i1Pi=1−1=0=B1\displaystyle 1+\sum\limits _{i=1}^{1}(-1)^i{}_1P_i=1-1=0=B_1 となる。ある自然数 nn で Bn=1+∑i=1n(−1)inPi\displaystyle B_n=1+\sum\limits _{i=1}^{n}(-1)^i{}_nP_i と仮定する。このとき、(n+1)nPi=n+1Pi+1(n+1){}_nP_i={}_{n+1}P_{i+1} および n+1P1=n+1{}_{n+1}P_1=n+1 より Bn+1=1−(n+1)Bn=−n+∑i=1n(−1)i+1(n+1)nPi=1−n+1P1+∑i=1n(−1)i+1n+1Pi+1=1+∑j=1n+1(−1)jn+1Pj.\displaystyle \begin{aligned} B_{n+1}&=1-(n+1)B_n\\ &=-n+\sum\limits _{i=1}^{n}(-1)^{i+1}(n+1){}_nP_i\\ &=1-{}_{n+1}P_1+\sum\limits _{i=1}^{n}(-1)^{i+1}{}_{n+1}P_{i+1}\\ &=1+\sum\limits _{j=1}^{n+1}(-1)^j{}_{n+1}P_j. \end{aligned} よって帰納法により、すべての自然数 nn で示された。特に B5=1−5+20−60+120−120=−44.B_5=1-5+20-60+120-120=-44. また A5=(−1)65!=120A_5=(-1)^6 5!=120 だから、I5=120−44eI_5=120-44e である。これは漸化式に I4=−24+9eI_4=-24+9e を代入しても I5=e−5I4=120−44eI_5=e-5I_4=120-44e と一致する。

この問題で使う考え方

  • 対偶・背理法による証明
  • 定積分
  • 対数とその性質
  • 指数・対数関数の微分
  • 部分積分法
  • 数学的帰納法
  • 漸化式
  • 順列

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