準備(共通の道具立て)
まず,非負整数 m に対して ∫−11xmdx=⎩⎨⎧0m+12(m が奇数のとき)(m が偶数のとき) が成り立つ。実際,m が奇数のとき被積分関数 xm は奇関数だから−1≦x≦1 の範囲の定積分は 0 であり,m が偶数のときは ∫−11xmdx=[m+1xm+1]−11=m+12 である。
多項式 f(x)=i=0∑kcixi(ci は係数,k は次数で ck=0)に対して an=∫−11xn−1f(x)dx=i=0∑kci∫−11xn−1+idx であるから,上の公式より,指数 n−1+i が偶数となる i(すなわち i と n+1 が同じ偶奇であり,同じことだが n が奇数のときは i が偶数,n が偶数のときは i が奇数)だけが寄与し, an=0≦i≦kn−1+i: 偶数∑n+i2ci(∗) を得る。以下ではこの (∗) を繰り返し用いる。
(1)
f(x) は 2 次式だから,f(x)=px2+qx+r(p=0)とおける。(∗)(あるいは直接計算)により a1=∫−11f(x)dx=∫−11(px2+qx+r)dx=2r+32p, a3=∫−11x2f(x)dx=∫−11(px4+qx3+rx2)dx=52p+32r である(q を含む項は奇関数の積分だから消える)。
仮定 a1=0 より 2r+32p=0すなわちr=−3p. これを a3 の式に代入すると a3=52p+32(−3p)=52p−92p=(4518−10)p=458p. f(x) は 2 次式であるから p=0 である。したがって a3=458p=0 となり,a3=0 が示された。■
(2)
再び f(x)=px2+qx+r(p=0)とおく。(1) と同様に a1=2r+32p,a2=∫−11xf(x)dx=∫−11(px3+qx2+rx)dx=32q,a3=52p+32r である(a2 では p,r を含む項が奇関数の積分になって消える)。条件 a1=1, a2=0, a3=53 より 2r+32p=1,32q=0,52p+32r=53. 第2式より q=0。第1式より r=21−3p。これを第3式に代入すると 52p+32(21−3p)=53すなわち52p−92p+31=53すなわち458p=154すなわちp=23. よって r=21−21=0。したがって f(x)=23x2 であり,これは p=23=0 より確かに 2 次式であって,条件をすべて満たす(検算:a1=2⋅0+32⋅23=1,a2=0,a3=52⋅23+0=53)。
このとき,一般項は an=∫−11xn−1⋅23x2dx=23∫−11xn+1dx であり,冒頭の公式より n+1 が奇数のとき(すなわち n が偶数のとき)はこれが 0,n+1 が偶数のとき(すなわち n が奇数のとき)は an=23⋅n+22=n+23 となる。まとめて an=⎩⎨⎧n+230(n が奇数のとき)(n が偶数のとき)(一つの式で書けば an=2(n+2)3{1−(−1)n}). (検算:a1=3/3=1,a2=0,a3=3/5 で条件と一致する。)■
(3)
f(x)=i=0∑kcixi とし,M=0≦i≦kmax∣ci∣ とおく。n を任意の自然数とし,N=2n(偶数)に (∗) を適用する。N−1+i(=2n−1+i)が偶数となるのは i が奇数のときであるから, a2n=i: 奇数1≦i≦k∑2n+i2ci. (右辺の和は,1≦i≦k を満たす奇数 i 全体を渡る。奇数 i が 1 以上 k 以下に存在しない場合,すなわち k=0 の場合は和は空で a2n=0 となり,左辺が0で右辺が0以上なので、主張が成り立つ。以下 k≧1 として和が空でない場合を考える。)
この和に含まれる添字の個数を L とすると,1 から k までの奇数の個数であるから L=⌊2k+1⌋,ゆえに2L≦k+1. (⌊x⌋≦x より 2⌊2k+1⌋≦k+1 が常に成り立つ。)
三角不等式と ∣ci∣≦M より ∣a2n∣≦i: 奇数1≦i≦k∑2n+i2∣ci∣≦i: 奇数1≦i≦k∑2n+i2M. ここで,和に現れる i はすべて i≧1 を満たすから 2n+i≧2n+1>0,したがって 2n+i1≦2n+11 である。よって ∣a2n∣≦i: 奇数1≦i≦k∑2n+12M=L⋅2n+12M=2n+12LM. 先に示した 2L≦k+1 を用いれば ∣a2n∣≦2n+12LM≦2n+1(k+1)M が得られる。以上より,任意の自然数 n に対して ∣a2n∣≦2n+1(k+1)M が成り立つことが示された。■
(4)
f(x)=i=0∑kcixi,M=0≦i≦kmax∣ci∣ とする(f が定数のときは k=0 とする)。任意の自然数 N に対して (∗) より aN は,ある添字集合 I⊂{0,1,…,k}(N の偶奇で定まる)を用いて aN=i∈I∑N+i2ci と表せる。三角不等式と ∣ci∣≦M,および N+i≧N(i≧0)より,各項について N+i2ci≦N+i2M≦N2M であるから,和の項数が高々 k+1 個であることを合わせて 0≦∣aN∣≦i∈I∑N2M≦N2(k+1)M を得る。f(x)(したがって k,M)は N(=n)に依存しない定数であるから,N→∞ のとき N2(k+1)M⟶0 である。ゆえにはさみうちの原理により N→∞lim∣aN∣=0,すなわちn→∞liman=0 が成り立つ。これは任意の多項式 f(x) について成り立つので,主張が示された。■
(注:(3)の不等式はこの一般論の N=2n の場合をより精密に評価したものになっている。)