採用解説: MM-8cb42c07f143-Q4 結論
(1) f(x)=e^{x}-1-x (x≧ 0) とおくと f(0)=0, f'(x)=e^{x}-1>0 (x>0) より f は x≧0 で単調増加。
よって x>0 のとき f(x)>f(0)=0, すなわち ex>1+x.
(2) k=1∑nk1>log(n+1) (n≧ 1).
(3) k=1∑nk21<2-n1 (n≧ 2).
(4) k=1∑∞k21 は正の無限大には発散しない(有界,実際は収束する)。 k=1∑∞k1 は正の無限大に発散する。
(1) x>0 を満たす実数 x に対して ex>1+x が成り立つことを示す。
x≧0 の範囲で f(x)=ex−1−x と定める。f は微分可能で f′(x)=ex−1. 指数関数 y=ex は単調増加であり e0=1 であるから,x>0 のとき ex>e0=1,よって f′(x)=ex−1>0(x>0). したがって f はx≧0 の範囲で単調増加である。f(0)=e0−1−0=0 であるから,x>0 のとき f(x)>f(0)=0, すなわち ex>1+x(x>0) が成り立つ。■
(2) n≧1 に対して k=1∑nk1>log(n+1) が成り立つことを示す。
各自然数 k に対して x=k1>0 は正の実数だから,(1) の不等式より e1/k>1+k1(k=1,2,…,n). 両辺はともに正であり,自然対数 log は単調増加関数であるから,この不等式の両辺の対数をとっても大小関係は保たれる。よって k1=log(e1/k)>log(1+k1)=log(kk+1)=log(k+1)−logk. この不等式を k=1,2,…,n について辺々加えると,右辺は k=1∑n(log(k+1)−logk)=(log2−log1)+(log3−log2)+⋯+(log(n+1)−logn)=log(n+1)−log1=log(n+1) と、隣り合う項が打ち消し合って簡単になる。したがって k=1∑nk1>log(n+1)(n≧1) が成り立つ。■
(3) k≧2 のとき成り立つ k21<(k−1)k1 を用いて,n≧2 のとき k=1∑nk21<2−n1 を示す。
部分分数分解により (k−1)k1=k−11−k1(k≧2) であるから,与えられた不等式は k21<k−11−k1(k≧2) と書き直せる。これを k=2,3,…,n について辺々加えると,右辺は隣り合う項が打ち消し合って k=2∑nk21<k=2∑n(k−11−k1)=(11−21)+(21−31)+⋯+(n−11−n1)=1−n1. 両辺に k=1 の項 121=1 を加えると k=1∑nk21=1+k=2∑nk21<1+(1−n1)=2−n1 となり,題意の不等式 k=1∑nk21<2−n1(n≧2) が成り立つ(k=2,…,n の各項で不等号が真に成り立つので,n≧2 すなわち和に少なくとも1項あるとき,全体でも真の不等号が成り立つ)。■
(4) k=1∑∞k21 は正の無限大には発散しないこと,およびk=1∑∞k1 は正の無限大に発散すること を示す。以下,Sn=k=1∑nk21,Tn=k=1∑nk1 とおく(いずれも正の項だけの和だから,n について単調増加である)。
k=1∑∞k21 が正の無限大に発散しないこと。
(3) より n≧2 のとき Sn<2−n1<2. また n=1 のときは S1=1<2 である。よってすべての自然数 n に対して Sn<2 が成り立つ。もし {Sn} が正の無限大に発散するとすれば,定義により「どんな正の数 M に対しても,ある番号から先で Sn>M」となるはずである。ところが M=2 ととると,上の評価によりすべての n で Sn<2 であり,これは矛盾である。したがって {Sn}(=k=1∑∞k21 の部分和の列)は正の無限大には発散しない(実際には,単調増加かつ上に有界な数列は収束するという数列の極限の基本性質により,{Sn} はある有限の値に収束する)。
k=1∑∞k1 が正の無限大に発散すること。
(2) より,すべての n≧1 について Tn>log(n+1). 対数関数 y=logx は x>0 で単調増加であり,かつ上に有界でない(x を大きくすればいくらでも大きな値をとる)。実際,任意の正の数 M に対して,自然数 m を m>log2M を満たすように選べば log(2m)=mlog2>M となる。n0=2m−1 とおくと n0+1=2m であり,log の単調増加性から n≧n0 を満たすすべての n について log(n+1)≧log(n0+1)=mlog2>M が成り立つ。ゆえに n≧n0 のとき Tn>log(n+1)>M. これは,任意の正の数 M に対してある番号 n0 が存在し,n≧n0 ならば Tn>M となることを示しており,これはまさに数列 {Tn} が正の無限大に発散することの定義である。よって k=1∑∞k1 は正の無限大に発散する。■