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九州大学/2002年度/前期

九州大学 2002年 数学 第2問解答・解説

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1問題

九州大学2002年度第2問配点 50点

この問題の解答は,解答紙13の定められた場所に記入しなさい。

正の整数 aa に対し,aa の正の約数全体の和を f(a)f(a) で表す。ただし,11 および aa 自身も約数とする。たとえば f(1)=1f(1)=1 であり,a=15a=15 ならば 1515 の正の約数は 1,3,5,151,3,5,15 なので,f(15)=24f(15)=24 となる。次の問いに答えよ。

(1) aa が正の奇数 bb と正の整数 mm を用いて a=2mba=2^m b と表されるとする。このとき f(a)=(2m+1−1)f(b)f(a)=(2^{m+1}-1)f(b) が成り立つことを示せ。

(2) aa が 22 以上の整数 pp と正の整数 qq を用いて a=pqa=pq と表されるとする。このとき f(a)≧(p+1)qf(a)\geq(p+1)q が成り立つことを示せ。また,等号が成り立つのは,q=1q=1 かつ pp が素数であるときに限ることを示せ。

(3) 正の偶数 a,ba,b は,ある整数 m,nm,n とある奇数 r,sr,s を用いて a=2mra=2^m r,b=2nsb=2^n s のように表すことができる。このとき a,ba,b が {f(a)=2b,f(b)=2a\begin{cases}f(a)=2b,\\ f(b)=2a\end{cases} をみたせば,r,sr,s は素数であり,かつ r=2n+1−1r=2^{n+1}-1,s=2m+1−1s=2^{m+1}-1 となることを示せ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2考え方

考え方を見る解き方の方針だけを確かめる

約数の和f(a)(sigma関数)の性質を扱う整数問題。(1)は約数を奇数部分と2のべき部分に分けると重複なくすべて表せることを示し等比数列の和で計算する。(2)は「aの約数のうち p の約数に q を掛けたものの集合」というaの約数の部分集合を作り、その和による下からの評価と、部分集合が全体に一致する条件・1の存在から等号条件を特定する。(3)は(1)で与えられた式変形と、互いに素な整数に関する整除性の性質(M=2m+1−1M=2^{m+1}-1が奇数でN+1=2n+1N+1=2^{n+1}が2のべきであることを利用したgcd=1からの整除の遡及)でr,sをそれぞれM,Nの倍数と表し、(2)の不等式とその等号条件を2回(対称的に)適用することでr=N, s=Mかつ両者が素数であることを一挙に導く。全体として大学の乗法的整数論の定理をブラックボックスとして使わず、約数の集合の直接構成・比較のみで完結させた。

3答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1) f(a)=(2m+1−1)f(b).f(a)=(2^{m+1}-1)f(b).
    (2) f(a)≧(p+1)q (f(a)\geqq (p+1)q\space{}(等号は q=1q=1 かつ p が素数のときに限る).
    (3) r,s は素数であり,r=2n+1−1, s=2m+1−1.r=2^{n+1}-1,\space{}s=2^{m+1}-1.

4解答

解答を見る途中式つきの解答

準備(補題) 2以上の整数 pp に対して f(p)≧p+1f(p)\geqq p+1 が成り立ち,等号が成り立つのは pp が素数のときに限る。

実際,11 と pp はともに pp の正の約数であり,p≧2p\geqq 2 より 1≠p1\neq p であるから,これらは相異なる2つの約数である。ゆえに f(p)=∑d∣pd≧1+p.\displaystyle f(p)=\sum\limits _{d\mid p} d \geqq 1+p. 等号が成り立つのは,pp の正の約数が 1,p1,p の2個だけのとき,すなわち pp が素数のときに限る。なぜなら,pp が素数でなければ 1<d<p1<d<p をみたす約数 dd が存在し,f(p)≧1+d+p>p+1f(p)\geqq 1+d+p>p+1 となるからである。以下この事実を「補題」とよぶ。

(1)の証明

bb は正の奇数,mm は正の整数とし,a=2mba=2^m b とする。0≦i≦m0\leqq i\leqq m の整数 ii と,bb の正の約数 dd の組 (i,d)(i,d) 全体から,aa の正の約数全体への対応 (i,d)↦2id(i,d)\mapsto 2^i d を考える。

(ア) 2id2^i d は aa の約数である:d∣bd\mid b より b=dd′b=d d'(d′d' は正の整数)とおくと a=2mb=(2id)(2m−id′),a=2^m b=(2^i d)(2^{m-i}d'), かつ 0≦i≦m0\leqq i\leqq m より 2m−id′2^{m-i}d' は正の整数であるから,2id∣a2^i d\mid a。

(イ) 異なる組は異なる約数に対応する:(i,d)≠(i′,d′)(i,d)\neq (i',d')(ともに 0≦i,i′≦m0\leqq i,i'\leqq m,d,d′∣bd,d'\mid b,bb が奇数だから d,d′d,d' も奇数)で 2id=2i′d′2^i d=2^{i'}d' が成り立つとする。i≠i′i\neq i' とすると,一般性を失わず i<i′i<i' として d=2 i′−id′d=2^{\,i'-i}d' となるが,右辺は偶数(i′−i≧1i'-i\geqq 1)で左辺 dd は奇数だから矛盾。よって i=i′i=i',このとき 2id=2id′2^i d=2^i d' より d=d′d=d' となり,(i,d)=(i′,d′)(i,d)=(i',d') に反する。ゆえに異なる組から同じ約数は生じない。

(ウ) すべての約数がこの形で表される:cc を aa の任意の正の約数とし,a=cta=ct(tt は正の整数)とおく。cc を割り切る 22 の最大べきを 2i2^i とし,d=c/2id=c/2^i(奇数)とおく。また tt を割り切る 22 の最大べきを 2j2^{j} とし t=2jt′t=2^{j}t'(t′t' は奇数)とおく。a=2mba=2^m b で bb は奇数だから,aa を割り切る 22 の最大べきはちょうど 2m2^m である。一方 a=ct=2id⋅2jt′=2i+j(dt′)a=ct=2^i d\cdot 2^j t'=2^{i+j}(dt') で dt′dt' は奇数だから,aa を割り切る 22 の最大べきは 2i+j2^{i+j} でもある。ゆえに i+j=mi+j=m,特に i≦mi\leqq m。さらに 2mb=a=2i+jdt′=2m(dt′)2^m b=a=2^{i+j}dt'=2^m (dt') より b=dt′b=dt'。よって d∣bd\mid b(商は正の整数 t′t')。以上より c=2idc=2^i d(0≦i≦m0\leqq i\leqq m,d∣bd\mid b)と表される。

(ア)〜(ウ)より,i=0,1,…,mi=0,1,\ldots,m と bb の正の約数 dd のすべての組に対する 2id2^i d は、aa の正の約数全体を重複なく表す。ゆえに f(a)=∑c∣ac=∑i=0m∑d∣b2id=(∑i=0m2i)(∑d∣bd)=(2m+1−1)f(b).\displaystyle f(a)=\sum\limits _{c\mid a}c=\sum\limits _{i=0}^{m}\sum\limits _{d\mid b}2^i d=\Bigl(\sum\limits _{i=0}^{m}2^i\Bigr)\Bigl(\sum\limits _{d\mid b}d\Bigr)=(2^{m+1}-1)f(b). (等比数列の和 1+2+⋯+2m=2m+1−11+2+\cdots+2^m=2^{m+1}-1 を用いた。)■\blacksquare

(2)の証明

pp を2以上の整数,qq を正の整数とし,a=pqa=pq とする。pp の正の約数全体を d1,…,dkd_1,\dots,d_k(相異なる)とすると,各 dj∣pd_j\mid p に対して adjq=pqdjq=pdj\displaystyle \frac{a}{d_j q}=\frac{pq}{d_j q}=\frac{p}{d_j} は正の整数であるから,djqd_j q はいずれも aa の正の約数である。また q>0q>0 は固定されているので,d1,…,dkd_1,\dots,d_k が相異なれば d1q,…,dkqd_1 q,\dots,d_k q も相異なる。よって S={d1q,…,dkq}S=\{d_1q,\dots,d_kq\} は aa の正の約数全体のなす集合の部分集合であり,その要素数は pp の正の約数の個数に等しい。aa の正の約数はすべて正であるから,部分集合の和は全体の和以下であり, f(a)=∑c∣ac  ≧  ∑j=1kdjq=q∑d∣pd=q f(p)  ≧  q(p+1)\displaystyle f(a)=\sum\limits _{c\mid a}c \;\geqq\; \sum\limits _{j=1}^{k} d_j q = q\sum\limits _{d\mid p}d = q\,f(p) \;\geqq\; q(p+1) (最後は補題)。これで f(a)≧(p+1)qf(a)\geqq (p+1)q が示された。

次に等号成立条件を調べる。まず q=1q=1 かつ pp が素数のとき:このとき a=pa=p であり,pp の正の約数は 1,p1,p の2個だけであるから aa の正の約数も 1,p1,p の2個だけで,f(a)=f(p)=p+1=(p+1)⋅1=(p+1)qf(a)=f(p)=p+1=(p+1)\cdot 1=(p+1)q となり,等号が成り立つ。

逆に f(a)=(p+1)qf(a)=(p+1)q が成り立つとする。上の不等式の列 f(a)≧qf(p)≧q(p+1)f(a)\geqq q f(p)\geqq q(p+1) の両端が等しいので,途中の qf(p)q f(p) もこれらに等しい。qf(p)=q(p+1)q f(p)=q(p+1) かつ q>0q>0 より f(p)=p+1f(p)=p+1,補題により pp は素数である。また f(a)=qf(p)=∑c∈Sc\displaystyle f(a)=qf(p)=\sum\limits _{c\in S}c となるが,これは「aa の正の約数全体の和」と「その部分集合 SS の和」が等しいことを意味する。もし aa の正の約数の中に SS に属さないもの c0c_0 があれば,f(a)≧∑c∈Sc+c0>∑c∈Sc\displaystyle f(a)\geqq \sum\limits _{c\in S}c+c_0>\sum\limits _{c\in S}c となって矛盾するから,aa の正の約数全体は SS に一致する。

ここで q≧2q\geqq 2 と仮定すると,11 は常に aa の正の約数であるが,SS の元はすべて djq≧q≧2d_jq\geqq q\geqq 2 の形であるから 1∉S1\notin S となり,aa の正の約数全体が SS に一致することに反する。ゆえに q=1q=1 でなければならない。

以上より,等号 f(a)=(p+1)qf(a)=(p+1)q が成り立つのは q=1q=1 かつ pp が素数のときに限る。■\blacksquare

(3)の証明

a,ba,b を正の偶数とし,a=2mra=2^m r,b=2nsb=2^n s(r,sr,s は正の奇数)と表す。r,sr,s が奇数であることと a,ba,b が偶数であることから,m,nm,n はともに正の整数でなければならない(もし m≦0m\leqq 0 なら a=2mra=2^m r は奇数となり矛盾するから m≧1m\geqq 1,nn も同様)。

以下 M=2m+1−1M=2^{m+1}-1,N=2n+1−1N=2^{n+1}-1 とおく。m,n≧1m,n\geqq 1 より M,NM,N はともに 33 以上の奇数である。

(1)より f(a)=Mf(r),f(b)=Nf(s).f(a)=Mf(r),\qquad f(b)=Nf(s). 仮定 f(a)=2bf(a)=2b,f(b)=2af(b)=2a より Mf(r)=2b=2⋅2ns=2n+1s=(N+1)s⋯(I)Mf(r)=2b=2\cdot 2^n s=2^{n+1}s=(N+1)s \quad\cdots\text{(I)} Nf(s)=2a=2⋅2mr=2m+1r=(M+1)r⋯(II)Nf(s)=2a=2\cdot 2^m r=2^{m+1}r=(M+1)r \quad\cdots\text{(II)}

MM は奇数,N+1=2n+1N+1=2^{n+1} は 22 のべきであるから gcd⁡(M,N+1)=1\gcd(M,N+1)=1。(I)より M∣(N+1)sM\mid (N+1)s であり,MM と N+1N+1 が互いに素であることから(互いに素な整数の性質)M∣sM\mid s。そこで s=Mks=Mk(kk は正の整数)とおくと,(I)は Mf(r)=(N+1)Mk両辺を同じ正の整数で割るとf(r)=(N+1)k.Mf(r)=(N+1)Mk \quad\text{両辺を同じ正の整数で割ると}\quad f(r)=(N+1)k. 同様に NN は奇数,M+1=2m+1M+1=2^{m+1} は 22 のべきなので gcd⁡(N,M+1)=1\gcd(N,M+1)=1。(II)より N∣(M+1)rN\mid (M+1)r で,gcd⁡(N,M+1)=1\gcd(N,M+1)=1 より N∣rN\mid r。そこで r=Nlr=Nl(ll は正の整数)とおくと,(II)は Nf(s)=(M+1)Nl両辺を同じ正の整数で割るとf(s)=(M+1)l.Nf(s)=(M+1)Nl \quad\text{両辺を同じ正の整数で割ると}\quad f(s)=(M+1)l.

ここで N≧3N\geqq 3 は 22 以上の整数だから,(2)を r=N⋅lr=N\cdot l(p=Np=N,q=lq=l)に適用すると f(r)≧(N+1)l.f(r)\geqq (N+1)l. 一方 f(r)=(N+1)kf(r)=(N+1)k であったから,(N+1)k≧(N+1)l(N+1)k\geqq (N+1)l より k≧lk\geqq l。

同様に M≧3M\geqq 3 に対し,(2)を s=M⋅ks=M\cdot k(p=Mp=M,q=kq=k)に適用すると f(s)≧(M+1)k.f(s)\geqq (M+1)k. 一方 f(s)=(M+1)lf(s)=(M+1)l であったから,(M+1)l≧(M+1)k(M+1)l\geqq (M+1)k より l≧kl\geqq k。

k≧lk\geqq l かつ l≧kl\geqq k より k=lk=l。

このとき r=Nl=Nkr=Nl=Nk であり,f(r)=(N+1)kf(r)=(N+1)k は,(2) を r=N⋅kr=N\cdot k(p=Np=N,q=kq=k)に適用したときの下界 (N+1)k(N+1)k にちょうど一致している。(2)の等号成立条件(q=1q=1 かつ pp が素数のときに限る)より,k=1k=1 であり,かつ NN は素数である。

k=1k=1 より l=k=1l=k=1 であるから,r=N⋅1=N=2n+1−1r=N\cdot 1=N=2^{n+1}-1 であり,NN(すなわち rr)は素数である。

また s=Mk=M⋅1=M=2m+1−1s=Mk=M\cdot 1=M=2^{m+1}-1 であり,f(s)=(M+1)l=(M+1)⋅1f(s)=(M+1)l=(M+1)\cdot 1 は,(2)を s=M⋅ls=M\cdot l(p=Mp=M,q=l=1q=l=1)に適用したときの下界にちょうど一致しているから,同じく等号成立条件より MM(すなわち ss)は素数である。

以上より,r,sr,s はともに素数であり,かつ r=2n+1−1,s=2m+1−1r=2^{n+1}-1,\qquad s=2^{m+1}-1 であることが示された。■\blacksquare

検算 (1) a=12=22⋅3a=12=2^2\cdot 3(m=2, b=3m=2,\,b=3):f(12)=1+2+3+4+6+12=28f(12)=1+2+3+4+6+12=28,(23−1)f(3)=7⋅4=28(2^{3}-1)f(3)=7\cdot 4=28 で一致。 (2) a=7a=7(素数,p=7,q=1p=7,q=1):f(7)=8=(7+1)⋅1f(7)=8=(7+1)\cdot 1 で等号成立。a=12a=12(p=4,q=3p=4,q=3,pp合成数):f(12)=28≧(4+1)⋅3=15f(12)=28\geqq (4+1)\cdot 3=15 で真の不等号。 (3) m=n=1m=n=1:M=N=3M=N=3(素数)。r=s=3r=s=3,a=b=2⋅3=6a=b=2\cdot 3=6。f(6)=1+2+3+6=12=2⋅6f(6)=1+2+3+6=12=2\cdot 6 で条件をみたし,66 は(対称形の)完全数の場合に一致する。m=1,n=2m=1,n=2:M=3,N=7M=3,N=7(ともに素数)。r=N=7, s=M=3r=N=7,\,s=M=3,a=2⋅7=14, b=4⋅3=12a=2\cdot7=14,\,b=4\cdot3=12。f(14)=1+2+7+14=24=2⋅12f(14)=1+2+7+14=24=2\cdot 12,f(12)=1+2+3+4+6+12=28=2⋅14f(12)=1+2+3+4+6+12=28=2\cdot14 で条件をみたす。以上により結論の整合性を確認した。

この問題で使う考え方

  • 約数・倍数
  • ユークリッドの互除法

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