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九州大学/2002年度/前期

九州大学 2002年 数学 第3問解答・解説

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1問題

九州大学2002年度第3問配点 50点

この問題の解答は,解答紙14の定められた場所に記入しなさい。  次の問いに答えよ。

(1) すべての正の実数 x,yx,y に対して,不等式 xlog⁡x−xlog⁡y−x+y≧0x\log x-x\log y-x+y\geq 0 が成り立つことを示せ。ここで log⁡\log は自然対数を表す。

(2) a,ba,b は実数で a<ba<b とする。関数 f(x)f(x) と g(x)g(x) は閉区間 [a,b][a,b] で正の値をとる連続関数で ∫abf(x) dx=∫abg(x) dx\displaystyle \int_a^b f(x)\,dx=\int_a^b g(x)\,dx をみたす。このとき,不等式 ∫abf(x)log⁡f(x) dx≧∫abf(x)log⁡g(x) dx\displaystyle \int_a^b f(x)\log f(x)\,dx\geq\int_a^b f(x)\log g(x)\,dx が成り立つことを示せ。

(3) a,ba,b は実数で a<ba<b とする。閉区間 [a,b][a,b] で正の値をとる連続関数 f(x)f(x) に対し正の実数 MM を M=1b−a∫abf(x) dx\displaystyle M=\frac{1}{b-a}\int_a^b f(x)\,dx とする。不等式 1b−a∫abf(x)log⁡f(x) dx≧Mlog⁡M\displaystyle \frac{1}{b-a}\int_a^b f(x)\log f(x)\,dx\geq M\log M が成り立つことを示せ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2考え方

考え方を見る解き方の方針だけを確かめる

(1) は y を固定して x の1変数関数 φ(x)=x log x - x log y - x + y を考え、φ'(x)=log(x/y) の符号変化から x=y で最小値0をとることを示す。(2) は (1) の不等式に各点で x=f(t), y=g(t) を代入して得られる非負連続関数を a≦t≦b の範囲で積分し、線形性と仮定 ∫f=∫g により余分な項を消去して不等式を導く。(3) は (2) において g(x) を M の定数関数とみなし、M の定義から (2) の仮定(積分が等しいこと)が成り立つことを確認したうえで (2) を適用し、両辺を b-a で割って結論を得る。

3答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1) xlog⁡x−xlog⁡y−x+y≧0 (1)\space{}x\log x-x\log y-x+y\geq0\space{} がすべての正の実数x,yで成り立つ(等号はx=yx=yのときに限る)。証明終了。
    (2) ∫abf(x)log⁡f(x) dx≧∫abf(x)log⁡g(x) dx \displaystyle (2)\space{}\int_a^b f(x)\log f(x)\,dx\geq\int_a^b f(x)\log g(x)\,dx\space{} が成り立つ。証明終了。
    (3) 1b−a∫abf(x)log⁡f(x) dx≧Mlog⁡M \displaystyle (3)\space{}\frac{1}{b-a}\int_a^b f(x)\log f(x)\,dx\geq M\log M\space{} が成り立つ。証明終了。

4解答

解答を見る途中式つきの解答

(1)  y>0y>0 を任意に固定し,x>0x>0 の関数 φ(x)=xlog⁡x−xlog⁡y−x+y\varphi(x)=x\log x-x\log y-x+y を考える。φ\varphi は x>0x>0 で微分可能で φ′(x)=(log⁡x+1)−log⁡y−1=log⁡x−log⁡y=log⁡xy\displaystyle \varphi'(x)=(\log x+1)-\log y-1=\log x-\log y=\log\frac{x}{y} である。自然対数関数は正の実数の範囲で単調増加であるから,φ′(x)\varphi'(x) の符号は x−yx-y の符号と一致する。すなわち 0<x<y のとき φ′(x)<0,x=y のとき φ′(x)=0,x>y のとき φ′(x)>00<x<y\ \text{のとき}\ \varphi'(x)<0,\qquad x=y\ \text{のとき}\ \varphi'(x)=0,\qquad x>y\ \text{のとき}\ \varphi'(x)>0 であるから,φ\varphi は 0<x≦y0<x\leq y で減少,x≧yx\geq y で増加し,x=yx=y で最小値をとる。ゆえに任意の x>0x>0 に対して φ(x)≧φ(y)=ylog⁡y−ylog⁡y−y+y=0\varphi(x)\geq\varphi(y)=y\log y-y\log y-y+y=0 が成り立つ。すなわち,すべての正の実数 x,yx,y に対して xlog⁡x−xlog⁡y−x+y≧0x\log x-x\log y-x+y\geq0 が成り立つ。等号は φ′(x)=0\varphi'(x)=0 となる x=yx=y のとき,かつそのときに限る。 ■\blacksquare

(2)  a≦t≦ba\le t\le b を満たす各 tt に対して f(t)>0, g(t)>0f(t)>0,\ g(t)>0 であるから,(1) の不等式において x=f(t), y=g(t)x=f(t),\ y=g(t) とおくことができ, f(t)log⁡f(t)−f(t)log⁡g(t)−f(t)+g(t)≧0(a≦t≦b)f(t)\log f(t)-f(t)\log g(t)-f(t)+g(t)\geq0\qquad(a\leq t\leq b) が成り立つ。左辺を H(t)=f(t)log⁡f(t)−f(t)log⁡g(t)−f(t)+g(t)H(t)=f(t)\log f(t)-f(t)\log g(t)-f(t)+g(t) とおくと,f,gf,g が a≦t≦ba\le t\le b の範囲で連続かつ正であることと log⁡\log が正の実数上で連続であることから,H(t)H(t) も a≦t≦ba\le t\le b の範囲で連続であり,上で示したように H(t)≧0 (a≦t≦b)H(t)\geq0\ (a\leq t\leq b) である。連続関数の定積分の性質(区間で常に 00 以上の連続関数の定積分は 00 以上であること,および定積分の線形性)と a<ba<b より ∫abH(t) dt≧0,\displaystyle \int_a^b H(t)\,dt\geq0, すなわち ∫abf(t)log⁡f(t) dt−∫abf(t)log⁡g(t) dt−∫abf(t) dt+∫abg(t) dt≧0\displaystyle \int_a^b f(t)\log f(t)\,dt-\int_a^b f(t)\log g(t)\,dt-\int_a^b f(t)\,dt+\int_a^b g(t)\,dt\geq0 が成り立つ。仮定より ∫abf(t) dt=∫abg(t) dt\displaystyle\int_a^b f(t)\,dt=\int_a^b g(t)\,dt であるから,上式左辺の後半2項は打ち消し合って 00 となり, ∫abf(t)log⁡f(t) dt≧∫abf(t)log⁡g(t) dt\displaystyle \int_a^b f(t)\log f(t)\,dt\geq\int_a^b f(t)\log g(t)\,dt が得られる。これが示すべき不等式である。 ■\blacksquare

(3)  f(x)f(x) は a≦x≦ba\le x\le b の範囲で正の値をとる連続関数であるから ∫abf(x) dx>0\displaystyle\int_a^b f(x)\,dx>0 であり,よって M=1b−a∫abf(x) dx>0.\displaystyle M=\frac{1}{b-a}\int_a^b f(x)\,dx>0. a≦x≦ba\le x\le b の範囲で常に値 MM をとる定数関数 g(x)=Mg(x)=M を考えると,gg は a≦x≦ba\le x\le b の範囲で正の値をとる連続関数であり, ∫abg(x) dx=∫abM dx=M(b−a)=∫abf(x) dx\displaystyle \int_a^b g(x)\,dx=\int_a^b M\,dx=M(b-a)=\int_a^b f(x)\,dx が成り立つ(最後の等号は MM の定義による)。したがって,f(x)f(x) とこの g(x)=Mg(x)=M は (2) の仮定(a≦x≦ba\le x\le b の範囲で正の連続関数であり,かつ a≦x≦ba\le x\le b の範囲の定積分が等しいこと)をみたす。よって (2) より ∫abf(x)log⁡f(x) dx≧∫abf(x)log⁡M dx=log⁡M∫abf(x) dx=(log⁡M)⋅M(b−a)=M(b−a)log⁡M\displaystyle \int_a^b f(x)\log f(x)\,dx\geq\int_a^b f(x)\log M\,dx=\log M\int_a^b f(x)\,dx=(\log M)\cdot M(b-a)=M(b-a)\log M が成り立つ。b−a>0b-a>0 であるから両辺を b−ab-a で割ると 1b−a∫abf(x)log⁡f(x) dx≧Mlog⁡M\displaystyle \frac{1}{b-a}\int_a^b f(x)\log f(x)\,dx\geq M\log M が得られる。 ■\blacksquare

この問題で使う考え方

  • 指数・対数関数の微分
  • 導関数と増減
  • 不定積分・定積分の性質
  • 対数とその性質
  • 対数関数のグラフ・増減

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