(1)
0<a<b より a>0 であるから,指数法則により a1−tbt=a(ab)t=aetlogab(0≦t≦1) と表せる(log は自然対数)。k=logab とおくと,a<b より k>0 であり, I=∫01aektdt=a[kekt]01=ka(ek−1)=logaba(ab−1)=logb−logab−a. よって I=logb−logab−a=logabb−a. (検算:a=1,b=4 のとき,本式は 3/log4≒2.164 となる。一方,直接 ∫014tdt=[log44t]01=log43 で一致し,計算が正しいことを確認できる。)
(2)
0≦t≦1 に対し u=a1−tbt>0, v=atb1−t>0 とおくと, uv=a(1−t)+tbt+(1−t)=ab である。正の数 u,v に対して恒等式 u+v−2uv=(u−v)2≧0 が成り立つから,u+v≧2uv=2ab,すなわち a1−tbt+atb1−t≧2ab(0≦t≦1)(∗) が成り立つ。等号は u=v すなわち (ab)t=(ab)1−t のときであるが,ab>1 より指数関数 y=(ab)s は異なる実数 s に対して異なる値をとるので,これは t=1−t,すなわち t=21 に限る。
次に I>ab を示す。f(t)=a1−tbt+atb1−t−2ab は連続関数で,(∗) より f(t)≧0 (0≦t≦1) である。さらに,a=b より f(0)=a+b−2ab=(b−a)2>0 であるから,f の連続性により,ある δ(0<δ≦1)が存在して 0≦t≦δ で常に f(t)≧2f(0)>0 とできる。0≦t≦1 全体で f(t)≧0 であることと合わせて ∫01f(t)dt≧∫0δf(t)dt≧δ⋅2f(0)>0. 一方,置換 s=1−t(dt=−ds)により ∫01atb1−tdt=∫10a1−sbs(−ds)=∫01a1−sbsds=I であるから, ∫01f(t)dt=∫01a1−tbtdt+∫01atb1−tdt−2ab=I+I−2ab=2I−2ab. よって 2I−2ab>0,すなわち I>ab.
(3)
x>0 のとき xt=etlogx であるから,x について微分すると dxdxt=t⋅x1⋅etlogx=txt−1. h(x)=1+t(x−1)−xt (x≧1) とおくと,h は x>0 で微分可能で h′(x)=t−txt−1=t(1−xt−1). 0<t<1 より t−1<0 であり,x>1 のとき 1−t>0 かつ底 x>1 だから x1−t>1,したがって xt−1=x1−t1<1。よって x>1 で h′(x)=t(1−xt−1)>0(t>0, 1−xt−1>0) が成り立ち,1≦x1<x2 なら h(x1)<h(x2) が成り立つ。h(1)=1+0−1=0 であるから,x>1 では h(x)>h(1)=0, すなわち xt<1+t(x−1). (検算:t=0.5,x=4 のとき左辺 =2,右辺 =1+0.5⋅3=2.5 であり 2<2.5 で一致する。)
(4)
a<b より x=ab>1 である。0<t<1 に対し (3) を x=ab に適用すると (ab)t<1+t(ab−1). 両辺に a>0 を掛けると a1−tbt<a+t(b−a)(0<t<1). t=0,1 のときは両辺がそれぞれ a,b に等しく等号が成り立つので, g(t)=[a+t(b−a)]−a1−tbt は連続関数で,0≦t≦1 で g(t)≧0,かつ 0<t<1 では g(t)>0(g(0)=g(1)=0)である。特に g(21)=2a+b−ab=2(b−a)2>0 だから,(2)と同様の連続性の議論により,t=21 のある近傍で g(t)≧21g(21)>0 とでき,0≦t≦1 の他の部分でも g(t)≧0 であるから ∫01g(t)dt>0. ここで ∫01g(t)dt=∫01[a+t(b−a)]dt−∫01a1−tbtdt=[a+2b−a]−I=2a+b−I であるから, 2a+b−I>0,すなわちI<2a+b.