以下,z=αβ とおく。α=0 なので,この置き換えは常に可能である。
(1)
条件 ∣α∣=1, ∣β∣=2 より ∣z∣=αβ=∣α∣∣β∣=2. また ∣α∣=1 であるから ∣α−β∣=∣α∣1−αβ=∣1−z∣ となり,∣α−β∣=1 より ∣1−z∣=1. z=x+yi(x,y は実数)とおくと,∣z∣=2 より x2+y2=2(i) ∣1−z∣=1 より (1−x)2+y2=1(ii) (i)−(ii) を計算すると x2−(1−x)2=1,x2−(1−2x+x2)=1,2x−1=1,x=1. これを(i)に代入すると 1+y2=2 より y2=1,すなわち y=±1 である。αβ の虚部は正であるという条件から y=1 を採る。したがって z=αβ=1+i. (検算:∣1+i∣=2,∣1−(1+i)∣=∣−i∣=1 で条件を満たす。)
z=1+i を極形式で表すと z=2(cos4π+isin4π) であるから,ド・モアブルの定理により z8=(2)8(cos2π+isin2π)=16⋅1=16. したがって (αβ)8=16.
(2)
β=zα であるから α+β=α(1+z)=α{1+(1+i)}=α(2+i). ∣α∣=1 より ∣α+β∣=∣α∣∣2+i∣=1⋅22+12=5.
(3)
n を8で割ると1余る整数とすると,ある整数 k を用いて n=8k+1 と表せる。β=zα より βn=znαn であるから αn+βn=αn(1+zn). ∣α∣=1 より ∣αn∣=∣α∣n=1 であるから ∣αn+βn∣=∣1+zn∣.(iii) ここで,(1)で得た z8=16 を用いると,指数法則より zn=z8k+1=(z8)k⋅z=16k(1+i). そこで t=16k(t>0 の実数)とおくと 1+zn=1+16k(1+i)=(1+t)+ti であるから,(iii)より ∣αn+βn∣=(1+t)2+t2=1+2t+2t2. 最後に t=16k を n の式に書き直す。n=8k+1 より k=8n−1 であるから t=16k=168n−1=(24)8n−1=22n−1. これより 2t2=2⋅(22n−1)2=2⋅2n−1=2n,2t=2⋅22n−1=22n+1 であるから ∣αn+βn∣=2n+22n+1+1. n=8k+1(k は整数)は奇数であるから,指数 2n+1 は常に整数となり,この表示は意味を持つ。
(検算)n=1(k=0)のとき,右辺は 21+21+1=5 となり,これは n=1 のとき α1+β1=α+β であることから(2)の結果 5 と一致する。また n=9(k=1)のとき,直接 z9=z8z=16(1+i)=16+16i より 1+z9=17+16i,∣1+z9∣=172+162=289+256=545 であり,公式の右辺も 29+25+1=512+32+1=545 となって一致し,導出の正しさが確認できる。