(1) n=2のとき f(x)=a2x2+a1x+a0(a2=0)であり,f′(x)=2a2x+a1である。
α=βなる複素数α,βに対してβ2−α2=(β−α)(α+β)だから
f(β)−f(α)=a2(β2−α2)+a1(β−α)=(β−α){a2(α+β)+a1}.
β−α=0で両辺を割ると
β−αf(β)−f(α)=a2(α+β)+a1 ⋯(∗)
ここでγ=2α+βとおくと
f′(γ)=2a2⋅2α+β+a1=a2(α+β)+a1
となり(∗)の右辺と一致する。γ=2α+βは複素数平面上で2点α,βを結ぶ線分の中点であり,線分αβ上にある(t=21に対応する点)。
したがって,n=2のときはどのような a2,a1,a0 (a2=0) および相異なる複素数α,βに対しても,このγが常に条件式を満たすから,f(x)は必ず平均値の性質をもつ。 ■
(2) α=1−i,β=1+iなので
β−α=2i,α+β=2,αβ=(1−i)(1+i)=1−i2=2.
f(x)=x3+ax2+bx+c (a,b,cは実数)とする。β3−α3=(β−α)(β2+αβ+α2)であり,
β2=(1+i)2=2i,α2=(1−i)2=−2iより β2+αβ+α2=2i+2−2i=2.
また a(β2−α2)=a(β−α)(α+β)であり,cの項は消えるので
β−αf(β)−f(α)=2+2a+b ⋯(A) (実数)
線分αβは,2点の実部がともに1,虚部が-1から1まで動く縦の線分だから,その上の点は
γ=1+yi (−1≦y≦1 を満たす実数 y)
と表せる。γ2=(1+yi)2=(1−y2)+2yiであるから
f′(γ)=3γ2+2aγ+b=(3−3y2+2a+b)+(6y+2ay)i ⋯(B)
(A)=(B)の実部・虚部を比較すると
実部:3−3y2+2a+b=2+2a+bすなわちy2=31
虚部:6y+2ay=0すなわち2y(3+a)=0
y2=31より y=0であるから,虚部の式が成り立つためにはa=−3が必要である。
逆にa=−3のとき,虚部の式は任意の実数yについて成り立ち,y=±31 (−1≦y≦1 を満たす)をとれば実部の式y2=31も満たされ,
γ=1±3iは線分αβ上にあって条件を満たす。このときb,cの値にはよらない。
したがって,求める必要十分条件は
a=−3 (b,cは任意の実数) ■
(3) α=21−i=cos(−4π)+isin(−4π),β=21+i=cos4π+isin4π
より∣α∣=∣β∣=1で,αβ=2(1−i)(1+i)=1だからβ=α1 (=α)である。f(x)=x7に対して
β−αf(β)−f(α)=β−αβ7−α7=k=0∑6β6−kαk
α=β−1を用いるとβ6−kαk=β6−2kなので,和は k=0,…,6 に対応する β6,β4,β2,β0,β−2,β−4,β−6 の和である。
β=eiπ/4より(ド・モアブルの定理) β2=i,β4=−1,β6=−i,β−2=−i,β−4=−1,β−6=iであるから
k=0∑6β6−2k=(−i)+(−1)+i+1+(−i)+(−1)+i=−1.
したがって β−αf(β)−f(α)=−1である。
線分αβは,2点の実部がともに21,虚部が-21から21まで動く縦の線分だから,その上の点は
γ=21+wi,(−21≦w≦21 を満たす実数 w)
と表せる。もし平均値の性質をもつなら,このようなγのうちf′(γ)=7γ6=−1,すなわちγ6=−71を満たすものが存在するはずである。
z=2γ(=1+ti,t=2w,−1≦t≦1)とおくとγ6=8z6だから,この条件は z6=−78と同値である。
二項定理により(1+ti)3=1+3ti+3t2i2+t3i3=(1−3t2)+(3t−t3)iであるから,
A=1−3t2,B=3t−t3=t(3−t2)とおくと(1+ti)3=A+Biで
z6=(A+Bi)2=(A2−B2)+2ABi
z6が実数−78になるためには虚部が0,すなわち AB=0が必要で,A=0またはB=0である。
(i) B=0のとき:実部の条件は A2−B2=A2=−78となるが,A2≧0よりこれは不可能。
(ii) A=0のとき:1−3t2=0より t2=31で,B=t(3−31)=38tだから
B2=964t2=964⋅31=2764.
このとき実部の条件は−B2=−2764=−78を要求するが,2764=189448=189216=78だから成り立たない。
したがって,いかなる実数tに対しても z6=−78 とはならず(範囲を −21≦w≦21,すなわち−1≦t≦1に制限しても同じ結論),γ6=−71を満たすγは,線分αβ上(さらには直線Re(z)=21上のどこにも)存在しない。
よってβ−αf(β)−f(α)=f′(γ)を満たす線分αβ上の点γは存在せず,f(x)=x7はα,βに対して平均値の性質をもたない。 ■