以下,c=2π とおき, In=∫0π/2xnsinxdx,Jn=∫0π/2xncosxdx とする(n は自然数).定義より an=(π2)nIn=c−nIn, bn=c−nJn である.
(1) a1, b1 を求める.
部分積分により I1=∫0π/2xsinxdx=[−xcosx]0π/2+∫0π/2cosxdx=0+[sinx]0π/2=1. よって a1=π2⋅I1=π2.
また J1=∫0π/2xcosxdx=[xsinx]0π/2−∫0π/2sinxdx=2π−[−cosx]0π/2=2π−1. よって b1=π2(2π−1)=1−π2=ππ−2.
(検算:a1=2/π≈0.6366>0,b1≈0.3634>0 で,いずれも 0<a1,b1<1 を満たし,被積分関数が 0≦x≦π/2 で非負であることと整合する.)
(2) n≧2 のとき an, bn を求める.
In を部分積分する.u=xn, dv=sinxdx とおくと du=nxn−1dx, v=−cosx であるから In=[−xncosx]0π/2+n∫0π/2xn−1cosxdx=−(2π)ncos2π+0+nJn−1=nJn−1 (境界項は cos(π/2)=0 と x=0 での消滅により 0).ゆえに an=c−nIn=c−nnJn−1=nc−1c−(n−1)Jn−1=cnbn−1=π2nbn−1.
同様に Jn を部分積分する.u=xn, dv=cosxdx とおくと v=sinx であるから Jn=[xnsinx]0π/2−n∫0π/2xn−1sinxdx=(2π)n⋅1−0−nIn−1=cn−nIn−1. ゆえに bn=c−nJn=1−nc−nIn−1=1−cn(c−(n−1)In−1)=1−cnan−1=1−π2nan−1.
以上より,n≧2 のとき an=π2nbn−1,bn=1−π2nan−1.
(検算:n=2 で直接積分すると I2=π−2 より a2=π24(π−2)≈0.4626.一方 π2⋅2b1=π4(1−π2)≈0.4626 と一致.また J2=4π2−2 より b2=1−π28≈0.1894,一方 1−π4a1=1−π28 と一致し,漸化式が検証できる.)
(3) n→∞limnan および n→∞limn2bn を求める.
準備(初等的な三角不等式). t≧0 に対して次の3つの不等式が成り立つ. (I) sint≦t,(II) cost≧1−2t2,(III) sint≧t−6t3. 証明:f(t)=t−sint とおくと f(0)=0, f′(t)=1−cost≧0 (t≧0) より f は単調増加,よって f(t)≧f(0)=0,すなわち(I)が成り立つ. 次に g(t)=cost−1+2t2 とおくと g(0)=0, g′(t)=−sint+t=f(t)≧0 (上の(I)による)ので g は単調増加,よって g(t)≧0,すなわち(II)が成り立つ. 最後に h(t)=sint−t+6t3 とおくと h(0)=0, h′(t)=cost−1+2t2=g(t)≧0 (上の(II)による)ので h は単調増加,よって h(t)≧0,すなわち(III)が成り立つ.
補助積分. k=0,1,2,3 に対し Q(n,k):=∫0c(c−t)ntkdt を計算する.k≧1 のとき u=tk, dv=(c−t)ndt として部分積分すると(t=0,c での境界項はいずれも 0) Q(n,k)=n+1kQ(n+1,k−1), これを繰り返し用い,Q(n,0)=n+1cn+1 から出発すると Q(n,k)=(n+1)(n+2)⋯(n+k+1)k!cn+k+1. 特に Q(n,0)=n+1cn+1,Q(n,1)=(n+1)(n+2)cn+2,Q(n,2)=(n+1)(n+2)(n+3)2cn+3,Q(n,3)=(n+1)(n+2)(n+3)(n+4)6cn+4.
In の評価と limnan. t=c−x (c=π/2) と置換すると,x=c−t のとき sinx=sin(c−t)=cost であるから In=∫0π/2xnsinxdx=∫0c(c−t)ncostdt. (II)と余弦の値域から成り立つ不等式 cost≦1 を用いると Q(n,0)−21Q(n,2)≦In≦Q(n,0), すなわち n+1cn+1−(n+1)(n+2)(n+3)cn+3 ≦ In ≦ n+1cn+1. 両辺を cn で割って an=c−nIn とし,さらに n 倍すると n+1nc−(n+1)(n+2)(n+3)nc3 ≦ nan ≦ n+1nc. n→∞ のとき右辺 →c,左辺の第1項も →c,第2項は分母が3次・分子が1次なので →0.ゆえに左辺全体も c に収束し,はさみうちの原理により n→∞limnan=c=2π.
Jn の評価と limn2bn. 同じ置換で cosx=cos(c−t)=sint であるから Jn=∫0π/2xncosxdx=∫0c(c−t)nsintdt. (I)と(III)を用いると Q(n,1)−61Q(n,3) ≦ Jn ≦ Q(n,1), すなわち (n+1)(n+2)cn+2−(n+1)(n+2)(n+3)(n+4)cn+4 ≦ Jn ≦ (n+1)(n+2)cn+2. 両辺を cn で割って bn=c−nJn とし,さらに n2 倍すると (n+1)(n+2)n2c2−(n+1)(n+2)(n+3)(n+4)n2c4 ≦ n2bn ≦ (n+1)(n+2)n2c2. n→∞ のとき右辺 →c2.左辺の第1項も →c2(分母・分子とも2次),第2項は分母が4次・分子が2次なので →0.ゆえに左辺全体も c2 に収束し,はさみうちの原理により n→∞limn2bn=c2=4π2.
(検算:数値的に n=2,3,4 について漸化式から得られる値 nan=0.925,1.085,1.186,… は単調に π/2≈1.571 に近づき,n2bn=0.758,1.048,1.259,… は単調に π2/4≈2.467 に近づく.収束は遅い(O(1/n))ものの,上記の不等式による上下からの評価とも整合する.また an,bn の定義上 0<an,bn<1 が成り立ち続けることも矛盾しない.)
結論 a1=π2,b1=1−π2;an=π2nbn−1,bn=1−π2nan−1 (n≧2);n→∞limnan=2π,n→∞limn2bn=4π2.