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熊本大学/2020年度/前期

熊本大学 2020年 数学 第4問解答・解説

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1問題

熊本大学2020年度第4問

xyxy 平面において,x,yx,y がともに整数であるとき,点 (x,y)(x,y) を格子点とよぶ。2以上の整数 nn に対し, 0<x<n,1<2y<(1+xn)n\displaystyle 0<x<n,\qquad 1<2^{y}<\left(1+\frac{x}{n}\right)^{n} を満たす格子点 (x,y)(x,y) の個数を P(n)P(n) で表す。以下の問いに答えよ。

(問1)不等式 ∑k=1n−1{nlog⁡2(1+kn)−1}≦P(n)<∑k=1n−1nlog⁡2(1+kn)\displaystyle \sum\limits _{k=1}^{n-1}\left\{n\log_{2}\left(1+\frac{k}{n}\right)-1\right\}\leq P(n)<\sum\limits _{k=1}^{n-1}n\log_{2}\left(1+\frac{k}{n}\right) を示せ。

(問2)極限値 lim⁡n→∞P(n)n2\displaystyle \lim\limits _{n\to\infty}\frac{P(n)}{n^{2}} を求めよ。

(問3)(問2)で求めた極限値を LL とする。不等式 L−P(n)n2>12n\displaystyle L-\frac{P(n)}{n^{2}}>\frac{1}{2n} を示せ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (問1)∑k=1n−1{nlog⁡2(1+kn)−1}≦P(n)<∑k=1n−1nlog⁡2(1+kn),(問2)L=2−1ln⁡2,(問3)L−P(n)n2>12n.\displaystyle \begin{aligned} \text{(問1)}\quad &\sum\limits _{k=1}^{n-1}\left\{n\log_2\left(1+\frac{k}{n}\right)-1\right\} \le P(n)<\sum\limits _{k=1}^{n-1}n\log_2\left(1+\frac{k}{n}\right),\\[4pt] \text{(問2)}\quad &L=2-\frac1{\ln2},\\[4pt] \text{(問3)}\quad &L-\frac{P(n)}{n^2}>\frac1{2n}. \end{aligned}

3解答

解答を見る途中式つきの解答

各小問について、f(x)=log⁡2(1+x)f(x)=\log_2(1+x) とおく。

問1 x=k (1≦k≦n−1)x=k\ (1\le k\le n-1) を固定し、Ak=nlog⁡2(1+k/n)A_k=n\log_2(1+k/n) とする。1<2y1<2^y かつ y は整数なので y≧1y\ge1。底2の指数関数は増加するから、上側の不等式は y<Aky<A_k と同値である。該当する正整数 y の個数を mkm_k とすると、Ak>0A_k>0 より Ak−1≦mk<Ak.A_k-1\le m_k<A_k. 実際、Ak≦1A_k\le1 なら mk=0m_k=0、Ak>1A_k>1 なら正整数を AkA_k 未満で数えた個数は mk=⌈Ak⌉−1m_k=\lceil A_k\rceil-1 であり、どちらもこの評価を満たす。各 k の点は異なるので P(n)=∑k=1n−1mk\displaystyle P(n)=\sum\limits _{k=1}^{n-1}m_k。よって ∑k=1n−1{nlog⁡2(1+kn)−1}≦P(n)<∑k=1n−1nlog⁡2(1+kn).\displaystyle \sum\limits _{k=1}^{n-1}\left\{n\log_2\left(1+\frac{k}{n}\right)-1\right\} \le P(n)<\sum\limits _{k=1}^{n-1}n\log_2\left(1+\frac{k}{n}\right).

問2 Sn=1n∑k=1n−1f(k/n)\displaystyle S_n=\frac1n\sum\limits _{k=1}^{n-1}f(k/n) とおく。問1を n2n^2 で割ると Sn−n−1n2≦P(n)n2<Sn.\displaystyle S_n-\frac{n-1}{n^2}\le\frac{P(n)}{n^2}<S_n. さらに f(0)=0,f(1)=1f(0)=0, f(1)=1 なので Sn=1n∑k=1nf(k/n)−1n\displaystyle S_n=\frac1n\sum\limits _{k=1}^{n}f(k/n)-\frac1n。連続関数 f の右端点リーマン和の極限から Sn→∫01f(x) dx\displaystyle S_n\to\int_0^1f(x)\,dx である。部分積分により ∫01f(x) dx=1ln⁡2∫01ln⁡(1+x) dx=1ln⁡2[(1+x)ln⁡(1+x)−(1+x)]01=2−1ln⁡2.\displaystyle \begin{aligned} \int_0^1f(x)\,dx &=\frac1{\ln2}\int_0^1\ln(1+x)\,dx\\ &=\frac1{\ln2}\left[(1+x)\ln(1+x)-(1+x)\right]_0^1\\ &=2-\frac1{\ln2}. \end{aligned} また (n−1)/n2→0(n-1)/n^2\to0。はさみうちにより L=lim⁡n→∞P(n)n2=2−1ln⁡2.\displaystyle L=\lim\limits _{n\to\infty}\frac{P(n)}{n^2}=2-\frac1{\ln2}.

問3 f′′(x)=−1(1+x)2ln⁡2<0 (0≦x≦1)\displaystyle f''(x)=-\frac1{(1+x)^2\ln2}<0\ (0\le x\le1) だから、各区間 [(k−1)/n,k/n][(k-1)/n,k/n] では f のグラフは両端を結ぶ線分より内部で厳密に上にある。したがって ∫(k−1)/nk/nf(x) dx>f((k−1)/n)+f(k/n)2n.\displaystyle \int_{(k-1)/n}^{k/n}f(x)\,dx> \frac{f((k-1)/n)+f(k/n)}{2n}. これを k=1,…,n について加えると、f(0)=0,f(1)=1f(0)=0, f(1)=1 より L=∫01f(x) dx>Sn+12n.\displaystyle L=\int_0^1 f(x)\,dx>S_n+\frac1{2n}. 問1から P(n)/n2<SnP(n)/n^2<S_n なので L−P(n)n2>12n.\displaystyle L-\frac{P(n)}{n^2}>\frac1{2n}.

この問題で使う考え方

  • 指数関数のグラフ・増減
  • 対数とその性質
  • 数列の極限
  • 指数・対数関数の微分
  • 第二次導関数
  • 凹凸と変曲点
  • 不定積分・定積分の性質
  • 部分積分法

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