問題の確認
三角形 ABC の辺長を BC=a, CA=b, AB=c、内接円の半径を r、半周長を s=(a+b+c)/2 とする。接点 P,Q,R はそれぞれ辺 BC,CA,AB 上にあり、S=[ABC]、T=[PQR] である。三角形は非退化なので a,b,c>0 かつ三角不等式を満たす。
(1) T/S
同じ点から円に引いた接線の長さは等しい。各頂点から接点までの長さを xA,xB,xC とすると
xA=s−a=2b+c−a,xB=s−b=2c+a−b,xC=s−c=2a+b−c.
たとえば xA+xB=c、xB+xC=a、xC+xA=b である。
接点 Q,R における半径は接線に垂直である。四角形 AQIR(I は内心)の内角の和から
∠QIR=180∘−A.
同様に、接点 R,P に対する中心角は 180∘−B、接点 P,Q に対する中心角は 180∘−C である。円周角は同じ弧に対する中心角の半分なので
∠QPR=90∘−2A,∠PRQ=90∘−2C,∠PQR=90∘−2B.
三角形 PQR の外接円半径は r である。正弦定理より、外接円半径を r とすると各辺は 2rsin(対角) と表せる。よって三角形の面積公式から
T=2r2sin∠QPRsin∠PRQsin∠PQR=2r2cos2Acos2Bcos2C.
また S=rs である。余弦定理から得られる半角公式
cos2A=bcs(s−a),cos2B=cas(s−b),cos2C=abs(s−c)
を掛け合わせると
cos2Acos2Bcos2C=abcs3/2(s−a)(s−b)(s−c).
面積について S2=s(s−a)(s−b)(s−c)(ヘロンの公式)かつ S=rs なので
(s−a)(s−b)(s−c)=r2s,cos2Acos2Bcos2C=abcrs2.
したがって
ST=rs2r2⋅abcrs2=abc2r2s=abc2(s−a)(s−b)(s−c)=4abc(b+c−a)(c+a−b)(a+b−c).
(2) a=t, b=c=1 のとき
三角形が非退化である条件は 0<t<2 である。半周長は s=(t+2)/2 だから
s−a=22−t,s−b=s−c=2t.
(1) の式を用いると
ST=t⋅1⋅12⋅22−t⋅2t⋅2t=4t(2−t)=41−4(t−1)2.
全域 0<t<2 で (t−1)2≧0 だから T/S≦1/4。等号は t=1 で成立し、この値は許容範囲内である。よって最大値は
ST=41(t=1).
検算・自己点検
正三角形 a=b=c=1 を代入すると (1) は T/S=2(1/2)3=1/4 となる。接点三角形の各辺は元の三角形の各辺の半分なので、面積比 1/4 と一致する。(2) も t=1 で正三角形となり、同じ比を与える。用いたのは接線の長さ、円周角、正弦定理、半角公式、ヘロンの公式、平方完成であり、高校範囲内である。