状況設定
袋の中の玉の総数は常に4個である。手順1でAさんが取り出した玉は,手順2でBさんが色を取り換えたのち必ず袋に戻されるため,操作によって袋の中の玉の総数は変化しない。n回目の操作直後の袋の中の白玉の個数をwnとおく(w0=0は操作前の初期状態,赤玉4個の状態)。このときwn は 0,1,2,3,4 のいずれかであり,赤玉の個数は4−wnである。
手順3の終了宣言は,ある操作の直後にwn=0またはwn=4(すべて同色)となったときに下され,wn が 1,2,3 のいずれかであれば操作は手順1から反復される。なお,操作前の初期状態(w0=0)自体はすでに同色であるが,一連の操作は必ず手順1から開始され,手順3による終了判定は操作を行った直後にのみ行われる。したがって1回目の操作は必ず実行される。
1回の操作における遷移確率
wn=wのとき,手順1で取り出す玉は袋の中の4個から無作為の1個だから,白玉を取り出す確率は4w,赤玉を取り出す確率は44−wである。手順2により,白玉を取り出せば赤玉に取り換えるので白玉は1個減り(wn+1=w−1),赤玉を取り出せば白玉に取り換えるので白玉は1個増える(wn+1=w+1)。すなわち P(wn+1=w−1∣wn=w)=4w,P(wn+1=w+1∣wn=w)=44−w. w=1,2,3について書き下すと w=1: →0(41), →2(43);w=2: →1(21), →3(21);w=3: →2(43), →4(41).
(1) p1,q1,r1 と p2,q2,r2
1回目の操作の直前,袋の中は赤玉4個・白玉0個(w0=0)である。手順1で取り出す玉は必ず赤玉だから,手順2で必ず白玉に取り換えられ,w1=1が確率1で起こる(同色でないので操作はここで終了しない)。よって p1=1,q1=0,r1=0. 2回目の操作の直前はw1=1(白玉1個・赤玉3個)である。w=1の遷移により,確率41でw2=0(すべて赤玉,終了),確率43でw2=2となる。1回の操作でwは±1としか変化しないからw2=1やw2=3は起こらない。よって p2=0,q2=43,r2=0.
(2) pn+1,qn+1,rn+1
wn が 1,2,3 のいずれか(操作継続中)のとき,上の遷移確率により,wn+1=1となるのはwn=2から確率21で遷移する場合に限られ,wn+1=3となるのも同じくwn=2から確率21で遷移する場合に限られる。またwn+1=2となるのはwn=1から確率43,またはwn=3から確率43で遷移する場合である。したがって pn+1=21qn,qn+1=43(pn+rn),rn+1=21qn(n=1,2,3,…). 特に任意のn (≧1)についてpn+1=rn+1が成り立つ。
(3) ちょうどn回目の操作で終了する確率sn
w=1から赤玉への取り換え(w→0,確率41)とw=3から白玉への取り換え(w→4,確率41)によってのみ操作は終了しうる。よってn≧2のとき sn=41(pn−1+rn−1). また(1)よりw1=1は同色でないから終了は起こらずs1=0である。
(2)よりn≧2ではpn=rn=21qn−1であるから,n≧2のときpn+rn=qn−1。これをqn+1=43(pn+rn)に代入すると qn+1=43qn−1(n≧2). 奇数番目:q1=0より,この漸化式でq3=43q1=0, q5=43q3=0,…となり,すべての奇数nでqn=0。
偶数番目:q2=43であり,同じ漸化式よりq2kは公比43の等比数列をなすから q2k=(43)k(k=1,2,3,…). これとpn=rn=21qn−1 (n≧2)より,n=2k+1 (k≧1)のとき p2k+1=r2k+1=21q2k=21(43)k, n=2k (k≧1)のときp2k=r2k=21q2k−1=0である。
以上よりsnを求める。nが奇数のとき,n−1≧2は偶数でpn−1=rn−1=0だからsn=0(n=1もs1=0)。
n=2m (m≧1)のとき,n−1=2m−1は奇数である。m=1ではp1+r1=1+0=1(特別な初期値)よりs2=41(1)=41。m≧2ではk=m−1≧1としてpn−1+rn−1=2⋅21(43)m−1=(43)m−1よりs2m=41(43)m−1=31(43)m。m=1の場合も31(43)1=41となり同じ式で表せるから,すべてのm≧1について s2m=31(43)m. したがって sn=⎩⎨⎧031(43)n/2(nが奇数のとき)(nが偶数のとき)
検算
(2)の漸化式にn=1を代入するとp2=21q1=0, q2=43(p1+r1)=43, r2=21q1=0となり,(1)の直接計算と一致する。また m=1∑∞s2m=31m=1∑∞(43)m=31⋅1−3/43/4=1 であり,奇数項のsnがすべて0であることと合わせて全確率が1になる。これは操作がいつか必ず終了することと矛盾せず,計算の妥当性を裏付ける。