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浜松医科大学/2020年度/前期

浜松医科大学 2020年 数学 第4問解答・解説

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1問題

浜松医科大学2020年度第4問

以下は、AA 病院、BB 病院の、ある月の患者の肝臓の機能を表すASTの値のデータ(有効数字は2桁)である。   AA 病院のデータ: 30,18,44,38,70,20,50,43,32,19,32,36,64,43,19,30,37,41,33,2130,18,44,38,70,20,50,43,32,19,32,36,64,43,19,30,37,41,33,21 (平均値は36、標準偏差は13.8である。)   BB 病院のデータ: 35,24,54,43,42,19,34,46,48,80,30,65,74,63,2435,24,54,43,42,19,34,46,48,80,30,65,74,63,24 (平均値は45.4、標準偏差は18.1である。)   (上記の標準偏差は小数第2位を四捨五入した値である。) 以下の問いに答えよ。   (1) これら2つのデータの集まりについて、それぞれの四分位数を求め、箱ひげ図を2つが比較できるように並べてかけ。   (2) AA 病院と BB 病院の箱ひげ図を比較しその傾向を調べると、その2つの傾向は異なることが分かった。2つの箱ひげ図の傾向が異なると判断できる理由を1つ述べよ。(ここでは医学的知識による解答は求めていない。)   (3) 次の(a)、(b)に答えよ。   (a) 2以上の自然数 nn に対して、nn 個の数値 x1,x2,…,xnx_{1},x_{2},\ldots,x_{n} からなるデータ XX の平均値を xˉ\bar{x}、標準偏差を sxs_{x} とし、 zi=xi−xˉsx(i=1,2,…,n)\displaystyle z_{i}=\frac{x_{i}-\bar{x}}{s_{x}}\quad(i=1,2,\ldots,n) を考える。ただし、sx>0s_{x}>0 とする。このとき nn 個の数値 z1,z2,…,znz_{1},z_{2},\ldots,z_{n} からなるデータ ZZ の平均値 zˉ\bar{z} と標準偏差 szs_{z} の値を求めよ。   (b) 上記の2病院 A,BA,B のデータに対して、各病院においては、検査に用いる試薬の違いがあり、AA 病院は18から45、BB 病院では20から40と、2病院によって基準範囲(この範囲であれば正常と考えられる範囲)が異なることが分かった。   このような、AA 病院と BB 病院のASTの値の例のように、データの集め方や基準が異なる2つの集団を1つの集団としてデータの分析を行いたいが、平均値や標準偏差、基準範囲などが異なるデータの集まり2つをそのまま混ぜ合わせて1つの集まりとすることは避け、なるべく意味のある分析を行うための方法を提案せよ。ただし、AA 病院と BB 病院のような例においては、2病院の基準範囲が一致することは前提としない。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

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  • (1) A:(Q1,Q2,Q3)=(25.5,34.5,43),B:(Q1,Q2,Q3)=(30,43,63).A:(Q_1,Q_2,Q_3)=(25.5,34.5,43),\quad B:(Q_1,Q_2,Q_3)=(30,43,63).

    五数要約は A:(18,25.5,34.5,43,70), B:(19,30,43,63,80)。共通横軸上でこれらの最小値から最大値までをひげ、Q1Q_1 から Q3Q_3 までを箱、Q2Q_2 を箱内の線として描く。

    (2) IQR⁡A=17.5,IQR⁡B=33。Bの中央50%の方が広い。\operatorname{IQR}_A=17.5,\quad \operatorname{IQR}_B=33\text{。Bの中央50\%の方が広い。}

    (3)(a) zˉ=0, sz=1.\bar z=0,\space{}s_z=1.\qquad (b) 病院ごとに各値をその病院の平均・標準偏差で標準化してから標準化値を分析し、病院別の基準範囲は判定時に保つ。

3解答

解答を見る途中式つきの解答

(1) 小さい順に並べると、A: 18,19,19,20,21,30,30,32,32,33,36,37,38,41,43,43,44,50,64,70,B: 19,24,24,30,34,35,42,43,46,48,54,63,65,74,80.A は 20 個なので、中央の 10 番目と 11 番目の平均が中央値である。下位 10 個・上位 10 個の中央値をそれぞれ Q1,Q3 とすると、Q1,A=21+302=25.5,Q2,A=33+362=34.5,Q3,A=43+432=43.B は 15 個なので中央値は 8 番目の 43。この中央値を除く下位・上位 7 個ずつの中央値より、Q1,B=30,Q2,B=43,Q3,B=63.したがって五数要約(最小値、Q1、中央値、Q3、最大値)はA:(18,25.5,34.5,43,70),B:(19,30,43,63,80).箱ひげ図は共通の横軸 15〜80 上に、Aでは 18 と 70 をひげの端、25.5以上43以下の部分 を箱、34.5 を箱内の線として描く。Bでは 19 と 80 をひげの端、30以上63以下の部分 を箱、43 を箱内の線として描く。作図位置を模式的に書けば、A:18  —  [25.5  —  ∣34.5∣  —  43]  —  70,B:19  —  [30  —  ∣43∣  —  63]  —  80.(2) 四分位範囲は A が 43−25.5=17.5, B が 63−30=33 である。Bの箱の長さ(中央50%の広がり)の方が大きいので、例えばこの点から傾向が異なると判断できる。(3)(a) 定義から、zˉ=1n∑i=1nxi−xˉsx=∑i=1nxi−nxˉnsx=0.よってsz2=1n∑i=1n(zi−zˉ)2=1nsx2∑i=1n(xi−xˉ)2=sx2sx2=1,sz=1.(3)(b) 各病院内で別々に標準化し、zA,i=xA,i−3613.8,zB,j=xB,j−45.418.1を作ってから、標準化値について比較・分析する方法がある。こうすれば、生のAST値をそのまま混ぜず、各病院内の平均から標準偏差何個分離れているかを比べられる。(a)より、各群の標準化値は平均0、標準偏差1となる(印刷された標準偏差は丸め値なので、実データで計算する場合は丸め前の値を用いる)。ただし、標準化値を合わせても基準範囲そのものが共通になるわけではない。正常範囲を判定する際は病院ごとの基準を保ち、統合後の値を共通の医学的基準と解釈しない。\displaystyle \text{(1) 小さい順に並べると、} \begin{aligned} A:&\ 18,19,19,20,21,30,30,32,32,33,36,37,38,41,43,43,44,50,64,70,\\ B:&\ 19,24,24,30,34,35,42,43,46,48,54,63,65,74,80. \end{aligned} A\text{ は }20\text{ 個なので、中央の }10\text{ 番目と }11\text{ 番目の平均が中央値である。下位 }10\text{ 個・上位 }10\text{ 個の中央値をそれぞれ }Q_1,Q_3\text{ とすると、} \\ Q_{1,A}=\frac{21+30}{2}=25.5,\quad Q_{2,A}=\frac{33+36}{2}=34.5,\quad Q_{3,A}=\frac{43+43}{2}=43. \\ B\text{ は }15\text{ 個なので中央値は }8\text{ 番目の }43\text{。この中央値を除く下位・上位 }7\text{ 個ずつの中央値より、} \\ Q_{1,B}=30,\quad Q_{2,B}=43,\quad Q_{3,B}=63. \\ \text{したがって五数要約(最小値、}Q_1\text{、中央値、}Q_3\text{、最大値)は} \\ A:(18,25.5,34.5,43,70),\qquad B:(19,30,43,63,80). \\ \text{箱ひげ図は共通の横軸 }15\text{〜}80\text{ 上に、Aでは }18\text{ と }70\text{ をひげの端、}25.5\text{以上}43\text{以下の部分}\text{ を箱、}34.5\text{ を箱内の線として描く。Bでは }19\text{ と }80\text{ をひげの端、}30\text{以上}63\text{以下の部分}\text{ を箱、}43\text{ を箱内の線として描く。作図位置を模式的に書けば、} \\ A:\quad 18\;\text{—}\;[25.5\;\text{—}\;|34.5|\;\text{—}\;43]\;\text{—}\;70,\qquad B:\quad 19\;\text{—}\;[30\;\text{—}\;|43|\;\text{—}\;63]\;\text{—}\;80. \\[4pt] \text{(2) 四分位範囲は }A\text{ が }43-25.5=17.5,\ B\text{ が }63-30=33\text{ である。Bの箱の長さ(中央50\%の広がり)の方が大きいので、例えばこの点から傾向が異なると判断できる。} \\[4pt] \text{(3)(a) 定義から、} \\ \bar z=\frac1n\sum\limits _{i=1}^n\frac{x_i-\bar x}{s_x} =\frac{\sum\limits _{i=1}^n x_i-n\bar x}{ns_x}=0. \\ \text{よって} \\ s_z^2=\frac1n\sum\limits _{i=1}^n(z_i-\bar z)^2 =\frac1{ns_x^2}\sum\limits _{i=1}^n(x_i-\bar x)^2 =\frac{s_x^2}{s_x^2}=1, \qquad s_z=1. \\[4pt] \text{(3)(b) 各病院内で別々に標準化し、} \\ z_{A,i}=\frac{x_{A,i}-36}{13.8},\qquad z_{B,j}=\frac{x_{B,j}-45.4}{18.1} \\ \text{を作ってから、標準化値について比較・分析する方法がある。こうすれば、生のAST値をそのまま混ぜず、各病院内の平均から標準偏差何個分離れているかを比べられる。(a)より、各群の標準化値は平均0、標準偏差1となる(印刷された標準偏差は丸め値なので、実データで計算する場合は丸め前の値を用いる)。ただし、標準化値を合わせても基準範囲そのものが共通になるわけではない。正常範囲を判定する際は病院ごとの基準を保ち、統合後の値を共通の医学的基準と解釈しない。}

この問題で使う考え方

  • 四分位数と箱ひげ図
  • 分散と標準偏差
  • 事象の数学化とモデル化
  • 数理的結果の妥当性の検討

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