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広島大学/2008年度/前期

広島大学 2008年 数学 第1問解答・解説

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1問題

広島大学2008年度第1問

A=(abcd)A=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix} を 2×22\times2 行列、O=(0000)O=\begin{pmatrix}0&0\\0&0\end{pmatrix} を零行列、E=(1001)E=\begin{pmatrix}1&0\\0&1\end{pmatrix} を単位行列とする。このとき、次の問いに答えよ。

(1) 「A3=OA^3=OならばA2=OA^2=Oが成り立つことを示せ」という問題に対して、次のような解答があった。「A3=OならばA=O⋯⋯①\text{「}A^3=O\text{ならば}A=O\quad\cdots\cdots\text{①}A=OならばA2=O⋯⋯②A=O\text{ならば}A^2=O\quad\cdots\cdots\text{②}①、②によって、A3=OならばA2=Oが成り立つ。」\text{①、②によって、}A^3=O\text{ならば}A^2=O\text{が成り立つ。」}この解答には誤りがある。解答中の①、②のそれぞれについて、正しいかどうかを判定し、正しくない場合は正しくないことを示す例(反例)をあげよ。

(2) A3=OA^3=Oのとき、AAは逆行列をもたないことを示せ。

(3) 「A3=OA^3=OならばA2=OA^2=Oが成り立つ」ことを証明せよ。ただし、等式A2−(a+d)A+(ad−bc)E=OA^2-(a+d)A+(ad-bc)E=Oが成り立つことは証明なしで用いてよい。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1) ①は誤り(A=(0100)A=\begin{pmatrix}0&1\\0&0\end{pmatrix}が反例)、②は正しい。 (2) AAは逆行列をもたない。 (3) A2=OA^2=O。

3解答

解答を見る途中式つきの解答

(1) ①は正しくない。A=(0100)A=\begin{pmatrix}0&1\\0&0\end{pmatrix} とすると、 A2=(0000)=OA^2=\begin{pmatrix}0&0\\0&0\end{pmatrix}=O であるからA3=OA^3=Oであるが、A≠OA\ne Oである。したがって①は誤りである。 一方、A=OA=OならばA2=OO=OA^2=OO=Oであるから、②は正しい。

(2) Aが逆行列をもつと仮定し、その逆行列をBBとする。このときBA=EBA=Eである。結合則により B3A3=B2(BA)A2=B2A2=B(BA)A=BA=E.B^3A^3=B^2(BA)A^2=B^2A^2=B(BA)A=BA=E. しかしA3=OA^3=OよりB3A3=B3O=OB^3A^3=B^3O=Oである。よってE=OE=Oとなるが、単位行列EEは零行列ではない。矛盾するので、AAは逆行列をもたない。

(3) t=a+dt=a+d、δ=ad−bc\delta=ad-bcとおく。問題文の等式は A2−tA+δE=OA^2-tA+\delta E=O である。もしδ≠0\delta\ne0ならば A(A−tE)=A2−tA=−δEA(A-tE)=A^2-tA=-\delta E となる。そこでC=−1δ(A−tE)\displaystyle C=-\dfrac{1}{\delta}(A-tE)とおくと、 AC=E,CA=−1δ(A2−tA)=E\displaystyle AC=E,\qquad CA=-\dfrac{1}{\delta}(A^2-tA)=E であるから、AAは逆行列をもつ。これは(2)に反する。したがってδ=0\delta=0である。 このとき与えられた等式からA2=tAA^2=tAを得る。両辺に右からAAを掛けるとA3=tA2A^3=tA^2であり、A3=OA^3=OよりtA2=OtA^2=Oである。t=0t=0ならばA2=tA=OA^2=tA=O。t≠0t\ne0ならばこの等式をttで割ってA2=OA^2=Oを得る。いずれの場合もA2=OA^2=Oである。

(1) A=(0100)A=\begin{pmatrix}0&1\\0&0\end{pmatrix}ではA2=OA^2=OかつA≠OA\ne OなのでA3=OA^3=Oとなり、①は誤り。A=OA=OならA2=OA^2=Oなので②は正しい。(2) 逆行列BBがあるならB3A3=EB^3A^3=Eだが、A3=OA^3=Oより同じ積はOOとなり矛盾。(3) t=a+d,δ=ad−bct=a+d,\quad\delta=ad-bcとおく。問題文で許されたA2−tA+δE=OA^2-tA+\delta E=Oから、δ≠0\delta\ne0の場合C=−A−tEδ\displaystyle C=-\frac{A-tE}{\delta}とすればAC=CA=EAC=CA=Eとなり(2)に反する。従ってδ=0\delta=0、A2=tAA^2=tA。これに右からAAを掛けA3=tA2=OA^3=tA^2=Oを使えば、t=0t=0でもt≠0t\ne0でもA2=OA^2=O。

この問題で使う考え方

  • 反例による命題判定
  • 逆行列の定義と結合則
  • 問題文で許可された恒等式

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