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慶應義塾大学/2006年度/一般

慶應義塾大学 2006年 数学 第IV問解答・解説

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1問題

慶應義塾大学2006年度第IV問

設問(1),(2-1)では,文章の空欄に適切な数または式を入れて文章を完成させなさい。また,設問(2-2)に答えなさい。

(1) 行列(cos⁡θ−sin⁡θsin⁡θcos⁡θ)\begin{pmatrix}\cos\theta&-\sin\theta\\\sin\theta&\cos\theta\end{pmatrix}(ただし θ\theta は実数)が適当な行列 PP とその逆行列 P−1P^{-1} に対して(#)P−1(cos⁡θ−sin⁡θsin⁡θcos⁡θ)P=(klmn)(\#)\quad P^{-1}\begin{pmatrix}\cos\theta&-\sin\theta\\\sin\theta&\cos\theta\end{pmatrix}P=\begin{pmatrix}k&l\\m&n\end{pmatrix}(ただし k,l,m,nk,l,m,n は整数)を満たしているとする。(#)を満たす実数 θ\theta と対応する行列 PP を動かすとき,絶対値 ∣k+n∣|k+n| のとりうる最大値は (あ)\boxed{\text{(あ)}} である。従って(#)が成りたつとき,0<θ<π0<\theta<\pi の条件の下で cos⁡θ\cos\theta のとりうる値をすべて求めると,cos⁡θ=(い)\cos\theta=\boxed{\text{(い)}} となる。そしてこれらに対応する θ\theta (0<θ<π0<\theta<\pi)の値は θ=(う)\theta=\boxed{\text{(う)}} となる。ただし π\pi(ラジアン)= 180∘180^{\circ} とする。

(2) E=(1001)E=\begin{pmatrix}1&0\\0&1\end{pmatrix} とする。整数 a,b,c,da,b,c,d を成分とし ±E\pm E とは異なるような行列 A=(abcd)A=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix} が ad−bc=1ad-bc=1 かつ ∣a+d∣<(あ)|a+d|<\boxed{\text{(あ)}} を満たしているとする。  (2-1) A2A^{2} を AA と EE を用いて表すとA2=(え), または (お), または (か)A^{2}=\boxed{\text{(え)}},\ \text{または }\boxed{\text{(お)}},\ \text{または }\boxed{\text{(か)}}である。  (2-2) どんな行列 PP をとってもP−1AP=(α001α)または±(1α01)\displaystyle P^{-1}AP=\begin{pmatrix}\alpha&0\\0&\frac{1}{\alpha}\end{pmatrix}\quad\text{または}\quad\pm\begin{pmatrix}1&\alpha\\0&1\end{pmatrix}(ただし α\alpha は0でない実数)とはならないことを示しなさい。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2解答

解答を見る答えはこの解答の中にあります

成分計算で使う性質を先に確認する。2行2列行列 U=(uij),V=(vij)U=(u_{ij}),V=(v_{ij}) に対し、積の対角成分の和は tr⁡(UV)=u11v11+u12v21+u21v12+u22v22=tr⁡(VU).\operatorname{tr}(UV)=u_{11}v_{11}+u_{12}v_{21}+u_{21}v_{12}+u_{22}v_{22}=\operatorname{tr}(VU). ここで tr⁡\operatorname{tr} は対角成分の和を表す記号にすぎない。従って tr⁡(P−1RP)=tr⁡(RPP−1)=tr⁡(R)\operatorname{tr}(P^{-1}RP)=\operatorname{tr}(RPP^{-1})=\operatorname{tr}(R)。一般線形代数の定理の引用は不要である。

(1) 回転の行列を RR とすると、k+n=2cos⁡θk+n=2\cos\theta。ゆえに ∣k+n∣≦2|k+n|\le2。θ=0,P=E\theta=0,P=E で等号が成り立つので、あは 22。0<θ<π0<\theta<\pi では −2<2cos⁡θ<2-2<2\cos\theta<2 で、これが整数だから cos⁡θ=−1/2,0,1/2\cos\theta=-1/2,0,1/2。対応する角は 2π/3,π/2,π/32\pi/3,\pi/2,\pi/3 である。 これらが実際に可能なことも確認する。c=cos⁡θ,s=sin⁡θ>0c=\cos\theta,s=\sin\theta>0 とし、 P=(1c0s),B=(0−112c)P=\begin{pmatrix}1&c\\0&s\end{pmatrix},\quad B=\begin{pmatrix}0&-1\\1&2c\end{pmatrix} とおけば RP=PBRP=PB が直接計算で確かめられる。s≠0s\ne0 より逆行列があり、P−1RP=BP^{-1}RP=B は整数成分になる。

(2-1) t=a+dt=a+d と置くと、直接掛け算して A2−tA=(bc−ad00bc−ad)=−E.A^2-tA=\begin{pmatrix}bc-ad&0\\0&bc-ad\end{pmatrix}=-E. tt は ∣t∣<2|t|<2 を満たす整数なので t=−1,0,1t=-1,0,1。したがって空欄え・お・かには順不同で −A−E,−E,A−E-A-E,-E,A-E が入る。

(2-2) 対角成分の和は行列 P−1APP^{-1}AP に取り替えても tt のままである。一方、最初の候補の和は α+1/α\alpha+1/\alpha。α>0\alpha>0 なら (α−1)2/α≧0(\alpha-1)^2/\alpha\ge0 より α+1/α≧2\alpha+1/\alpha\ge2、α<0\alpha<0 なら α+1/α≦−2\alpha+1/\alpha\le-2。二つ目の候補の和も ±2\pm2 である。いずれも ∣t∣<2|t|<2 に反するので不可能。

検算:t=0t=0 の整数回転行列では A2=−EA^2=-E。構成した BB はいずれも行列式1で、三つの角をすべて実現する。

この問題で使う考え方

  • 相似変換でのトレース不変を成分で確認
  • 2×2行列の成分計算で得る二次恒等式

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