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九州大学/2003年度/前期

九州大学 2003年 数学 第5問解答・解説

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1問題

九州大学2003年度第5問

(配点 5050 点)次の問D,E,Fから 11 問を選択し,解答紙 1616 の □\square(左右 22 箇所)に選択した問題符号D,E,Fのいずれかを記入してから解答しなさい。

D\boxed{\mathrm{D}} 座標平面上に点 P(a,b)P(a,b) があり,PP は ∣a∣≦12, ∣b∣≦12\displaystyle |a|\leq\frac{1}{2},\ |b|\leq\frac{1}{2} の範囲を動く。また,点 Q(x,y)Q(x,y) の座標は連立1次方程式 AX=BAX=B の解になっている。ただし, A=13(2−1−12),X=(xy),B=(1+a−1+b)\displaystyle A=\frac{1}{3}\begin{pmatrix}2&-1\\-1&2\end{pmatrix},\qquad X=\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix},\qquad B=\begin{pmatrix}1+a\\-1+b\end{pmatrix} である。

(D)(1) 点 PP が原点 OO にあるときの点 QQ の位置を点 RR とする。P≠OP\neq O のとき,RQOP\displaystyle \frac{RQ}{OP} の最大値を求め,その最大値を与える点 PP の全体を図示せよ。

(D)(2) OQOQ の最小値と,その最小値を与える点 PP の座標を求めよ。

E\boxed{\mathrm{E}} θ\theta を 0<θ<π2\displaystyle 0<\theta<\frac{\pi}{2} である定数とする。座標平面上で,a2>4ba^2>4b を満たす点 P(a,b)P(a,b) から放物線 y=14x2\displaystyle y=\frac{1}{4}x^2 に引いた二つの接線の接点を Q,RQ,R とし,接線 PQ,PRPQ,PR の傾きをそれぞれ m1,m2m_1,m_2 とおく。点 PP は ∠QPR=θ\angle QPR=\theta を満たしている。点 PP の全体が作る図形を GG とする。

(E)(1) m1<0<m2m_1<0<m_2 のとき,tan⁡θ\tan\theta を m1,m2m_1,m_2 で表せ。

(E)(2) GG を数式で表せ。

(E)(3) θ=π4\displaystyle \theta=\frac{\pi}{4} のとき GG を図示せよ。

F\boxed{\mathrm{F}} nn を 22 以上の自然数とする。数列 {Sk}\{S_k\} が Sk=1+12+13+⋯+1k\displaystyle S_k=1+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\cdots+\frac{1}{k} で与えられている。

(F)(1) 不等式 log⁡(n+1)<Sn<1+log⁡n\log(n+1)<S_n<1+\log n が成り立つことを示せ。

(F)(2) 一般に数列 {ck}\{c_k\} に対して,Δck=ck+1−ck (k=1,2,…)\Delta c_k=c_{k+1}-c_k\ (k=1,2,\ldots) とおく。数列 {ak}\{a_k\} と {bk}\{b_k\} に対して, ∑k=1n−1akΔbk=anbn−a1b1−∑k=1n−1bk+1Δak\displaystyle \sum\limits _{k=1}^{n-1}a_k\Delta b_k=a_nb_n-a_1b_1-\sum\limits _{k=1}^{n-1}b_{k+1}\Delta a_k が成り立つことを示せ。また,∑k=1n−1kSk=(Sn−12)p(n)\displaystyle \sum\limits _{k=1}^{n-1}kS_k=(S_n-\frac{1}{2})p(n) となる nn の整式 p(n)p(n) を求めよ。

(F)(3) 不等式 ∣2n(n−1)∑k=1n−1kSk−log⁡n∣<12\displaystyle \left|\frac{2}{n(n-1)}\sum\limits _{k=1}^{n-1}kS_k-\log n\right|<\frac{1}{2} が成り立つことを示せ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (D) (1) 最大値33、Pはa=ba=b(−12≦a≦12\displaystyle -\frac12\le a\le\frac12、P≠OP\ne O)。(2) 最小値12\displaystyle \frac1{\sqrt2}、P=(−12,12)\displaystyle (-\frac12,\frac12)。
    (E) (1) tan⁡θ=m2−m1−1−m1m2\displaystyle \tan\theta=\frac{m_2-m_1}{-1-m_1m_2}。 (2) G={(a,b):b<−1, a2−4b=(1+b)2tan⁡2θ}G=\{(a,b):b<-1,\ a^2-4b=(1+b)^2\tan^2\theta\}。 (3) θ=π4\displaystyle \theta=\frac\pi4では(b+3)2−a2=8(b+3)^2-a^2=8の下側の枝。
    (F) (1) log⁡(n+1)<Sn<1+log⁡n\log(n+1)<S_n<1+\log n。 (2) 恒等式成立、p(n)=n(n−1)2\displaystyle p(n)=\frac{n(n-1)}2。 (3) 指定絶対値<12\displaystyle <\frac12。

3解答

解答を見る途中式つきの解答

(D)

(1) 連立方程式を解くと Q=(1+2a+b, −1+a+2b).Q=(1+2a+b,\,-1+a+2b). P=OP=O のとき R=(1,−1)R=(1,-1) なので、P≠OP\ne O では (RQOP)2=(2a+b)2+(a+2b)2a2+b2=5+8aba2+b2≦9,\displaystyle \left(\frac{RQ}{OP}\right)^2 =\frac{(2a+b)^2+(a+2b)^2}{a^2+b^2} =5+\frac{8ab}{a^2+b^2}\le9, 最後の不等式は 8ab≦4(a2+b2)8ab\le4(a^2+b^2)、すなわち 4(a−b)2≧04(a-b)^2\ge0 による。等号は a=ba=b のとき。よって最大値は 33、最大となる点は ∣a∣≦12\displaystyle |a|\le\frac12 の範囲で a=ba=b を満たす点のうち P=OP=O を除いた全てである。

(2) u=a+bu=a+b、v=a−bv=a-b とおくと、Q=(x,y)Q=(x,y) について x+y=3ux+y=3u、x−y=2+vx-y=2+v。また ∣v∣≦1|v|\le1 なので OQ2=(x+y)2+(x−y)22=9u2+(2+v)22≧12.\displaystyle OQ^2=\frac{(x+y)^2+(x-y)^2}{2} =\frac{9u^2+(2+v)^2}{2}\ge\frac12. 等号条件は u=0u=0、v=−1v=-1 で、(a,b)=(−12,12)\displaystyle (a,b)=(-\frac12,\frac12)。従って最小値は 1/21/\sqrt2。

(E)

放物線上の点 (2m,m2)(2m,m^2) における接線は y=mx−m2y=mx-m^2。点 P=(a,b)P=(a,b) から引く接線の傾き mm は m2−am+b=0m^2-am+b=0 の根であり、a=m1+m2a=m_1+m_2、b=m1m2b=m_1m_2。接点を Q=(2m1,m12)Q=(2m_1,m_1^2)、R=(2m2,m22)R=(2m_2,m_2^2) とし、d=m2−m1>0d=m_2-m_1>0 とすると PQ→=(−d,−m1d),PR→=(d,m2d).\overrightarrow{PQ}=(-d,-m_1d),\qquad \overrightarrow{PR}=(d,m_2d). 内積は −d2(1+m1m2)-d^2(1+m_1m_2)、∣PQ→∣ ∣PR→∣sin⁡θ|\overrightarrow{PQ}|\,|\overrightarrow{PR}|\sin\thetaは d3d^3。角 θ\theta は鋭角なので内積は正であり、m1m2<−1m_1m_2<-1。よって tan⁡θ=d3−d2(1+m1m2)=m2−m1−1−m1m2.\displaystyle \tan\theta=\frac{d^3}{-d^2(1+m_1m_2)} =\frac{m_2-m_1}{-1-m_1m_2}.

(2) 根を m1<m2m_1<m_2 とすると m2−m1=a2−4bm_2-m_1=\sqrt{a^2-4b}。したがって必要十分条件は b<−1,a2−4b=(1+b)2tan⁡2θ.b<-1,\qquad a^2-4b=(1+b)^2\tan^2\theta. b<−1b<-1 により判別式は正で、また両辺の平方根を取ると分母 −1−b-1-b が正なので、元の角条件に戻る。

(3) θ=π/4\theta=\pi/4 とすると (b+3)2−a2=8.(b+3)^2-a^2=8. b<−1b<-1 を満たすのは下側の枝 b=−3−a2+8(a は実数)b=-3-\sqrt{a^2+8}\qquad(a\text{ は実数}) だけである。

(F)

(1) 1/x1/x は x>0x>0 で減少するため ∫kk+1dxx<1k(1≦k≦n),1k<∫k−1kdxx(2≦k≦n).\displaystyle \int_k^{k+1}\frac{dx}{x}<\frac1k\quad(1\le k\le n), \qquad \frac1k<\int_{k-1}^{k}\frac{dx}{x}\quad(2\le k\le n). それぞれ加えると log⁡(n+1)<Sn<1+log⁡n.\log(n+1)<S_n<1+\log n.

(2) Δck=ck+1−ck\Delta c_k=c_{k+1}-c_k とすれば Δ(akbk)=akΔbk+bk+1Δak.\Delta(a_kb_k)=a_k\Delta b_k+b_{k+1}\Delta a_k. これを k=1k=1 から n−1n-1 まで足すと、原本の恒等式を得る。また Sk=Sn−∑j=k+1n1j\displaystyle S_k=S_n-\sum\limits _{j=k+1}^n\frac1j より ∑k=1n−1kSk=n(n−1)2Sn−∑j=2n1j∑k=1j−1k=n(n−1)2(Sn−12).\displaystyle \begin{aligned} \sum\limits _{k=1}^{n-1}kS_k &=\frac{n(n-1)}2S_n-\sum\limits _{j=2}^n\frac1j\sum\limits _{k=1}^{j-1}k\\ &=\frac{n(n-1)}2\left(S_n-\frac12\right). \end{aligned} したがって p(n)=n(n−1)2\displaystyle p(n)=\frac{n(n-1)}2。

(3) (2)から 2n(n−1)∑k=1n−1kSk=Sn−12.\displaystyle \frac{2}{n(n-1)}\sum\limits _{k=1}^{n-1}kS_k=S_n-\frac12. 従って (1) により log⁡(1+1n)−12<2n(n−1)∑k=1n−1kSk−log⁡n<12.\displaystyle \log\left(1+\frac1n\right)-\frac12 <\frac{2}{n(n-1)}\sum\limits _{k=1}^{n-1}kS_k-\log n <\frac12. 左端は −12\displaystyle -\frac12 より大きいので、絶対値は 12\displaystyle \frac12 未満である。

この問題で使う考え方

  • 連立一次方程式と二次不等式
  • ベクトルの内積と行列式による角の正接
  • 放物線の接線・判別式
  • 積分比較による調和和評価
  • 離散積の差分と有限和整理

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