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九州大学/2003年度/前期

九州大学 2003年 数学 第3問解答・解説

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1問題

九州大学2003年度第3問

(配点 5050 点)この問題の解答は,解答紙 1414 の定められた場所に記入しなさい。

〔問題〕座標平面上で,xx 座標と yy 座標がともに整数である点を格子点と呼ぶ。格子点を頂点とし,辺の長さが 11 である正方形(周は含まない)を単位正方形と呼ぶことにする。p,np,n を自然数とし,領域 Dn={(x,y)∣0≦x, xp≦y≦n}D_n=\{(x,y)\mid 0\leq x,\ x^p\leq y\leq n\} を考え,その面積を SnS_n とする。LnL_n と MnM_n を,それぞれ DnD_n に含まれる格子点の個数および単位正方形の個数とする。

(1) グラフ y=xp (0≦x≦n1/p)y=x^p\ \left(0\leq x\leq n^{1/p}\right) と交わる単位正方形の個数は nn であることを示せ。

(2) 不等式 Mn<Sn<Mn+nM_n<S_n<M_n+n を示せ。また,面積 SnS_n を求めよ。

(3) 極限値 lim⁡n→∞n−p+1pLn\displaystyle\lim\limits _{n\to\infty}n^{-\frac{p+1}{p}}L_n を求めよ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1) グラフと交わる単位正方形は n\quad n\quad 個。 (2) Mn<Sn<Mn+n,Sn=pp+1n(p+1)/p\displaystyle \quad M_n<S_n<M_n+n,\quad S_n=\frac{p}{p+1}n^{(p+1)/p}\quad 。 (3) lim⁡n→∞n−(p+1)/pLn=pp+1\displaystyle \quad \lim\limits _{n\to\infty}n^{-(p+1)/p}L_n=\frac{p}{p+1}\quad 。

3解答

解答を見る途中式つきの解答

{ 準備}

pp は自然数だから,関数 f(x)=xpf(x)=x^{p} は 0≦x1<x20\le x_1<x_2 なら f(x1)<f(x2)f(x_1)<f(x_2) となる。単位正方形とは格子点 (i,j)(i,j)(i,ji,j は整数)を左下頂点とする開区間の直積 □i,j={(x,y)∣i<x<i+1, j<y<j+1}\square_{i,j}=\{(x,y)\mid i<x<i+1,\ j<y<j+1\} (周は含まない)であり,以下このように番号付ける。Dn={(x,y)∣0≦x, xp≦y≦n}D_n=\{(x,y)\mid 0\leqq x,\ x^{p}\leqq y\leqq n\} は 0≦x≦n1/p0\leqq x\leqq n^{1/p},xp≦y≦nx^{p}\leqq y\leqq n の範囲にある有界な図形である。

{ (1)}

j=0,1,…,n−1j=0,1,\dots ,n-1 に対し,y=xpy=x^{p} のグラフの高さが j≦y≦j+1j\le y\le j+1 を満たすときの xx の範囲 IjI_j を j1/p≦x≦(j+1)1/pj^{1/p}\le x\le(j+1)^{1/p} とする(ff は単調増加なので IjI_j の中で f(x)f(x) は j≦f(x)≦j+1j\le f(x)\le j+1 のすべての値をとる)。ff は 0≦x≦n1/p0\le x\le n^{1/p} の範囲で 00 から nn まで単調に増加する連続関数だから,I0,I1,…,In−1I_0,I_1,\dots ,I_{n-1} は端点だけを共有して 0≦x≦n1/p0\le x\le n^{1/p} の範囲を過不足なく分割する。

【主張】IjI_j の内部(j1/p<x<(j+1)1/pj^{1/p}<x<(j+1)^{1/p} の範囲)には整数は存在しない。

実際,整数 mm が j1/p<m<(j+1)1/pj^{1/p}<m<(j+1)^{1/p} を満たすと仮定すると,ff が単調増加であることから j<mp<j+1j<m^{p}<j+1 を得るが,mpm^{p} は整数であり,連続する整数 jj と j+1j+1 の間に整数は存在しないので矛盾する。よって主張が成り立つ。

したがって、ある整数 i=i(j):=⌊j1/p⌋i=i(j):=\lfloor j^{1/p}\rfloor を用いて IjI_j 内のすべての xx が i≦x≦i+1i\le x\le i+1 を満たし、1つの列に収まる。

xx が IjI_j 内にあるとき j≦xp≦j+1j\le x^p\le j+1 である。IjI_j の内部では j<xp<j+1j<x^p<j+1 となるため,グラフは正方形 □i(j),j\square_{i(j),j} の内部を通る。端点でグラフが隣の正方形の境界に触れる場合があっても,単位正方形は周を含まないので別の正方形とは交わらない。

よって各 j=0,1,…,n−1j=0,1,\dots,n-1 に対し,ちょうど1個の正方形 □i(j),j\square_{i(j),j} とグラフが交わる。jj が異なると正方形の縦の番号も異なるため,この nn 個はすべて相異なる。

グラフは 0≦x≦n1/p0\leqq x\leqq n^{1/p}, 0≦y≦n0\leqq y\leqq n の範囲にあるので,これら以外の正方形とは交わらない。以上より,グラフ y=xp (0≦x≦n1/p)y=x^{p}\ (0\leqq x\leqq n^{1/p}) と交わる単位正方形はちょうど nn 個である。■\blacksquare

{ (2)}

まず SnS_n を定積分で求める。f(x)=xpf(x)=x^{p} は 0≦x≦n1/p0\le x\le n^{1/p} の範囲で連続だから Sn=∫0n1/p(n−xp) dx=[ nx−xp+1p+1 ]0n1/p=n⋅n1/p−(n1/p)p+1p+1=np+1p−np+1pp+1.\displaystyle S_n=\int_0^{n^{1/p}}\bigl(n-x^{p}\bigr)\,dx =\Bigl[\,nx-\frac{x^{p+1}}{p+1}\,\Bigr]_0^{n^{1/p}} =n\cdot n^{1/p}-\frac{\left(n^{1/p}\right)^{p+1}}{p+1} =n^{\frac{p+1}{p}}-\frac{n^{\frac{p+1}{p}}}{p+1}. よって Sn=pp+1 np+1p.\displaystyle \boxed{S_n=\frac{p}{p+1}\,n^{\frac{p+1}{p}}.}

次に不等式 Mn<Sn<Mn+nM_n<S_n<M_n+n を示す。0≦j≦n−10\leqq j\leqq n-1 をみたす各整数 jj について,列番号 ii にわたる正方形 □i,j\square_{i,j} は,(1)で述べた対応により次の3通りのいずれかに分類される。

・ sep0pt

・ DnD_n に完全に含まれる(正方形のすべての点で xp≦y≦nx^{p}\leqq y\leqq n が成り立つ)

・ グラフと交わる(=(1)の nn 個の正方形のうちの1つ。この正方形の内部はグラフによって,DnD_n の内側(xp<yx^{p}<y)の部分と外側(xp>yx^{p}>y)の部分の2つの空でない開領域に分けられる)

・ DnD_n と共通部分をもたない

(境界 y=ny=n と x=0x=0 はいずれも格子線に一致しているため,正方形を「部分的にしか含まない」原因になり得るのはグラフ y=xpy=x^{p} のみである。)

定義より,DnD_n に完全に含まれる正方形の個数はちょうど MnM_n 個であり,グラフと交わる正方形は(1)よりちょうど nn 個である。

SnS_n は DnD_n の面積であるから Sn=Mn×1⏟完全に含まれる正方形の寄与+∑(グラフと交わる各正方形内で Dn が占める部分の面積)\displaystyle S_n=\underbrace{M_n\times 1}_{\text{完全に含まれる正方形の寄与}}+\sum(\text{グラフと交わる各正方形内で } D_n \text{ が占める部分の面積}) と表せる。グラフと交わる正方形はどれも,その内部がグラフによって2つの正の面積をもつ開領域に分けられるから,各正方形での DnD_n の占有面積は 00 より大きく 11 より小さい。これが nn 個あるから,その総和は 00 より大きく nn より小さい。よって Mn<Sn<Mn+n.M_n<S_n<M_n+n. ■\blacksquare

{ (3)}

M=⌊n1/p⌋M=\lfloor n^{1/p}\rfloor(すなわち MM は Mp≦nM^{p}\leqq n をみたす最大の整数)とおく。

まず LnL_n を求める。整数 x=m (0≦m≦M)x=m\ (0\leqq m\leqq M) の列には,mp≦y≦nm^{p}\leqq y\leqq n をみたす整数 yy がちょうど n−mp+1n-m^{p}+1 個あるから Ln=∑m=0M(n−mp+1)=(n+1)(M+1)−∑m=0Mmp=(n+1)+∑m=1M(n+1−mp)=(n+1)+M+∑m=1M(n−mp).\displaystyle \begin{aligned} L_n&=\sum\limits _{m=0}^{M}\bigl(n-m^{p}+1\bigr) =(n+1)(M+1)-\sum\limits _{m=0}^{M}m^{p}\\ &=(n+1)+\sum\limits _{m=1}^{M}\bigl(n+1-m^{p}\bigr)\\ &=(n+1)+M+\sum\limits _{m=1}^{M}\bigl(n-m^{p}\bigr). \end{aligned}

一方,(2)の MnM_n の定義から,MnM_n は (i+1)p≦j≦n−1(i+1)^p\leqq j\leqq n-1 を満たす0以上の整数の組 (i,j)(i,j) の個数である。k=i+1k=i+1(k≧1k\geqq1)とおくと,kk を固定したときの jj の個数は(kp≦n−1k^{p}\leqq n-1 のとき)n−kpn-k^{p} 個であるから,KK を「kp≦n−1k^{p}\leqq n-1(すなわち kp<nk^{p}<n)をみたす最大の整数」として Mn=∑k=1K(n−kp).\displaystyle M_n=\sum\limits _{k=1}^{K}\bigl(n-k^{p}\bigr). KK と MM の関係を見ると,Mp<nM^{p}<n のときは K=MK=M であり,Mp=nM^{p}=n(nn が pp 乗数)のときは K=M−1K=M-1 であるが,この場合 k=Mk=M の項は n−Mp=0n-M^{p}=0 なので,いずれの場合も ∑k=1M(n−kp)=∑k=1K(n−kp)=Mn\displaystyle \sum\limits _{k=1}^{M}\bigl(n-k^{p}\bigr)=\sum\limits _{k=1}^{K}\bigl(n-k^{p}\bigr)=M_n が成り立つ(余分な項があれば値 00 だから和を変えない)。

これを上の LnL_n の式に代入すると Ln=(n+1)+M+Mn=Mn+n+M+1.(∗)L_n=(n+1)+M+M_n=M_n+n+M+1. \tag{$\ast$}

次に (2) の不等式 Mn<Sn<Mn+nM_n<S_n<M_n+n の各辺を np+1p (>0)\displaystyle n^{\frac{p+1}{p}}\,(>0) で割ると,Sn=pp+1np+1p\displaystyle S_n=\dfrac{p}{p+1}n^{\frac{p+1}{p}} であることから pp+1−n−1p<Mnnp+1p<pp+1.\displaystyle \frac{p}{p+1}-n^{-\frac1p}<\frac{M_n}{n^{\frac{p+1}{p}}}<\frac{p}{p+1}. n→∞n\to\infty のとき n−1/p→0n^{-1/p}\to0 だから,はさみうちの原理より lim⁡n→∞Mnnp+1p=pp+1.\displaystyle \lim\limits _{n\to\infty}\frac{M_n}{n^{\frac{p+1}{p}}}=\frac{p}{p+1}.

さらに (∗)(\ast) より n−p+1pLn=n−p+1pMn+n−p+1pn+n−p+1pM+n−p+1p.\displaystyle n^{-\frac{p+1}{p}}L_n=n^{-\frac{p+1}{p}}M_n+n^{-\frac{p+1}{p}}n+n^{-\frac{p+1}{p}}M+n^{-\frac{p+1}{p}}. ここで n−p+1p⋅n=n−1p→0\displaystyle n^{-\frac{p+1}{p}}\cdot n=n^{-\frac1p}\to0,また 0≦M≦n1/p0\leqq M\leqq n^{1/p} より 0≦n−p+1pM≦n−p+1p⋅n1/p=n−1→0\displaystyle 0\leqq n^{-\frac{p+1}{p}}M\leqq n^{-\frac{p+1}{p}}\cdot n^{1/p}=n^{-1}\to0,さらに n−p+1p→0\displaystyle n^{-\frac{p+1}{p}}\to0 である。よって lim⁡n→∞n−p+1pLn=lim⁡n→∞Mnnp+1p=pp+1.\displaystyle \lim\limits _{n\to\infty}n^{-\frac{p+1}{p}}L_n=\lim\limits _{n\to\infty}\frac{M_n}{n^{\frac{p+1}{p}}}=\frac{p}{p+1}.

以上より lim⁡n→∞n−p+1pLn=pp+1.\displaystyle \boxed{\displaystyle\lim\limits _{n\to\infty} n^{-\frac{p+1}{p}}L_n=\frac{p}{p+1}.}

{ 検算}

p=1p=1 のとき DnD_n は3頂点 (0,0),(0,n),(n,n)(0,0),(0,n),(n,n) の直角二等辺三角形で Sn=n2/2S_n=n^2/2。公式 pp+1n(p+1)/p=12n2\displaystyle \frac{p}{p+1}n^{(p+1)/p}=\frac12 n^2 と一致。p=2,n=3p=2,n=3 のとき直接計算で S3=∫03(3−x2)dx=23\displaystyle S_3=\int_0^{\sqrt3}(3-x^2)dx=2\sqrt3,公式 23⋅33/2=23\displaystyle \frac23\cdot3^{3/2}=2\sqrt3 で一致。また M3=2M_3=2((i,j)=(0,1),(0,2)(i,j)=(0,1),(0,2))で 2<23 (≈3.46)<2+3=52<2\sqrt3\,(\approx3.46)<2+3=5 を満たす。格子点は x=0x=0 で y=0,1,2,3y=0,1,2,3,x=1x=1 で y=1,2,3y=1,2,3 の計 L3=7L_3=7 で,関係式 (∗)(\ast): M3+n+M+1=2+3+1+1=7M_3+n+M+1=2+3+1+1=7 と一致し,検算できた。

この問題で使う考え方

  • 単調関数の逆像による計数
  • 定積分による面積
  • 格子点の列ごとの計数
  • はさみうちの原理

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