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三重大学/2008年度

三重大学 2008年 数学 第4問解答・解説

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1問題

三重大学2008年度第4問

以下の問いに答えよ。ただし行列やベクトルの成分はすべて実数であるとする。

(1) 0でない ff に対し (st)=(10f1)(ab)\begin{pmatrix}s\\t\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}1&0\\f&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}a\\b\end{pmatrix} とおく。このとき ∣a∣=∣b∣|a|=|b| で ∣s∣<∣t∣|s|<|t| となるような a,ba,b が存在することを示せ。

(2) 任意の実数 x,yx,y に対して不等式 ∣x+y∣≧∣x∣−∣y∣|x+y|\geq|x|-|y| が成立することを示せ。次に ∣g∣≧2|g|\geq2 を満たす gg に対し (uv)=(1g01)(st)\begin{pmatrix}u\\v\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}1&g\\0&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}s\\t\end{pmatrix} とおくとき,∣s∣<∣t∣|s|<|t| ならば ∣u∣>∣v∣|u|>|v| であることを示せ。さらに ∣h∣≧2|h|\geq2 を満たす hh に対し (s′t′)=(10h1)(uv)\begin{pmatrix}s'\\t'\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}1&0\\h&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}u\\v\end{pmatrix} とおくとき,∣u∣>∣v∣|u|>|v| ならば ∣s′∣<∣t′∣|s'|<|t'| であることを示せ。

(3) 2n+12n+1 個の実数 f,g1,h1,…,gn,hnf,g_1,h_1,\ldots,g_n,h_n において f≠0f\neq0 であり,すべての j=1,…,nj=1,\ldots,n に対し ∣gj∣≧2, ∣hj∣≧2|g_j|\geq2,\ |h_j|\geq2 であるとする。このとき積 A=(10hn1)(1gn01)⋯(10h11)(1g101)(10f1)A=\begin{pmatrix}1&0\\h_n&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&g_n\\0&1\end{pmatrix}\cdots\begin{pmatrix}1&0\\h_1&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&g_1\\0&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&0\\f&1\end{pmatrix} について A≠EA\neq E を示せ。ただし EE は2次単位行列を表す。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2解答

解答を見る答えはこの解答の中にあります

(1)   ε\varepsilon=f∣f∣\displaystyle \frac{f}{|f|} (f≠\ne0) とし、a=1, b=ε\varepsilon とおく。すると s=a=1,   t=fa+b=f+ε\varepsilon=ε\varepsilon(|f|+1) である。よって |a|=|b|=1 かつ ∣s∣=1<∣t∣=∣f∣+1|s|=1<|t|=|f|+1 となる。

(2)   三角不等式より |x|=|(x+y)-y|≦\le |x+y|+|y| だから、|x+y|≧\ge |x|-|y| である。

|s|<|t|, |g|≧\ge2 のとき、u=s+gt, v=t なので |u|=|s+gt|≧\ge |g||t|-|s|≧\ge2|t|-|s|>|t|=|v|. 次に |u|>|v|, |h|≧\ge2 のとき、s'=u, t'=hu+v なので |t'|=|hu+v|≧\ge |h||u|-|v|≧\ge2|u|-|v|>|u|=|s'|. したがって二つの含意はいずれも成立する。

(3)   ε\varepsilon=f/|f| とし、(a,b)=(1,ε\varepsilon) とする。(1)より (s0t0)\begin{pmatrix}s_0\\t_0\end{pmatrix}=(10f1)\begin{pmatrix}1&0\\f&1\end{pmatrix}(ab)\begin{pmatrix}a\\b\end{pmatrix} は  |s_0|<|t_0| を満たす。j=1,…\ldots,n について順に (ujvj)\begin{pmatrix}u_j\\v_j\end{pmatrix}=(1gj01)\begin{pmatrix}1&g_j\\0&1\end{pmatrix}(sj−1tj−1)\begin{pmatrix}s_{j-1}\\t_{j-1}\end{pmatrix},   (sjtj)\begin{pmatrix}s_j\\t_j\end{pmatrix}=(10hj1)\begin{pmatrix}1&0\\h_j&1\end{pmatrix}(ujvj)\begin{pmatrix}u_j\\v_j\end{pmatrix} と定める。(2)を各 j に適用すると、|s_{j-1}|<|t_{j-1}| から |u_j|>|v_j|、さらに |s_j|<|t_j| が従う。よって帰納的に最終ベクトルは A(ab)\begin{pmatrix}a\\b\end{pmatrix}=(sntn)\begin{pmatrix}s_n\\t_n\end{pmatrix},   |s_n|<|t_n| となる。もし A=E ならば (s_n,t_n)=(a,b) であるが、|a|=|b|=1 なので |s_n|<|t_n| に反する。したがって A≠\ne E である。

この問題で使う考え方

  • 実数と無理数
  • 対偶・背理法による証明
  • 等式・不等式の証明
  • 行列を用いた表現

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