(1) 行列を成分ごとに計算すると A2=(a2+bcac+dcab+bdbc+d2). したがって A2−(a+d)A+(ad−bc)E=(a2+bc−a(a+d)+ad−bcac+dc−(a+d)cab+bd−(a+d)bbc+d2−d(a+d)+ad−bc)=O. 各成分を整理するとすべて 0 となるので、示された。
(2) s=a+d, p=ad−bc とおく。a,b,c,d が有理数なら s,p も有理数であり、(1)より A2=sA−pE. これに右から A を掛けると A3−sA2+pA=O だから、A3=5E と仮定して上式を代入すれば (p−s2)A+(5+sp)E=O.(1) p−s2=0 なら、(1)から A=λE となる有理数 λ が存在する。このとき A3=5E より λ3=5 となり、35 が無理数であることに反する。 一方、p−s2=0 なら (1)から 5+sp=0 である。p=s2 を用いると s3=−5、したがって (−s)3=5 となるが、s は有理数なので、これも 35 の無理性に反する。 いずれの場合も矛盾するから、条件を満たす有理数成分の A は存在しない。
(3) s=a+d, p=ad−bc とおく。(1)より A2=sA−pE,A3=(s2−p)A−spE.(2) B=A3 とおけば B2=−E である。B=(xzyw) とし、u=x+w, v=xw−yz とおく。(1)を B に適用すると B2−uB+vE=O, ゆえに −uB+(v−1)E=O である。B は実数倍の E ではない。実際、B=rE なら r2=−1 となって実数 r が存在しない。したがって B と E は一次独立であり、 u=0,v=1.(3) (2)から、B の対角成分の和は u=(s2−p)s−2sp=s(s2−3p). また、任意の実数 α,β について成分を展開すれば (αa+β)(αd+β)−(αb)(αc)=α2p+αβs+β2. これを (2) の α=s2−p, β=−sp に適用すると v=p(s2−p)2−s2p(s2−p)+s2p2=p3. よって (3) から p3=1 であり、p は実数だから p=1。さらに s(s2−3p)=0 より s=0,s=3,s=−3. したがって求める組は (s,p)=(0,1),(3,1),(−3,1). それぞれの例として、 A0=(01−10),As=(01−1s)(s=3,−3) をとる。A02=−E なので A06=−E。また、s2=3 のとき成分計算から As2=sAs−E、したがって As3=2As−sE であり、 (As3)2=(2As−sE)2=4As2−4sAs+3E=−E. ゆえに各 As は As6=−E を満たす。各行列の a+d と ad−bc はそれぞれ (0,1)、(3,1)、(−3,1) である。