準備(AB と (AB)2 の計算)
A=(x−t−xy−x),B=(5−64−5) であるから, AB=(5x−6yx−5t4x−5yx−4t) となる。AB=(prqs)(p=5x−6y, q=4x−5y, r=x−5t, s=x−4t)とおくと, (AB)2=(p2+qrr(p+s)q(p+s)rq+s2) であるから,(AB)2 が対角行列であることは q(p+s)=0かつr(p+s)=0(∗) と同値である。ここで p+s=(5x−6y)+(x−4t)=6x−6y−4t=2(3x−3y−2t) であるから,p+s=0 は 3x−3y−2t=0 と同値である。以下,この事実を用いる。
(1) の証明
3x−3y−2t=0,すなわち p+s=0 と仮定する。このとき(∗)より q=4x−5y=0,r=x−5t=0 が必要である。r=0 より x=5t。これを q=0 に代入すると 4(5t)−5y=0よりy=4t. よって A=(5t−t−5t4t−5t)=(5t−6t4t−5t)=t(5−64−5)=tB. したがって「3x−3y−2t=0⟹A=tB」が示された。■
(2) の証明
以下,A2=E かつ A4=E とする。まず B2=(5−64−5)(5−64−5)=(25−24−30+3020−20−24+25)=(1001)=E であることに注意する。
背理法で示す。3x−3y−2t=0 と仮定すると,(1)より A=tB である。このとき A2=t2B2=t2E. A2=E であるから t2=1 ……①。 一方 A4=(A2)2=(t2E)2=t4E であり,A4=E であるから t4=1。 t は実数だから t2≧0 であり,t4=(t2)2=1 より t2=1 ……②。 ①と②は矛盾する。
よって仮定は誤りであり,3x−3y−2t=0 が成り立つ。■
(3) の解答
A=(x−t−xy−x) の対角成分の和((1,1)成分と(2,2)成分の和)は x+(−x)=0 である。一般に 2次正方行列 (acbd) で a+d=0(d=−a)のとき, (acb−a)2=(a2+bcca−acab−abcb+a2)=(a2+bc00a2+bc)=(a2+bc)E となり,自動的にスカラー行列になる。A にこれを適用すると(a=x, b=y, c=−t−x), A2=kE,k=x2+y(−t−x)=x2−xy−ty. A4=(A2)2=k2E である。 A2=E より k=1。A4=E より k2=1,すなわち k=1 または k=−1。 k=1 と合わせて k=x2−xy−ty=−1.(†)
(2)の結果 3x−3y−2t=0 より y=x−32t.(‡) (‡) を (†) に代入する。 y(x+t)=(x−32t)(x+t)=x2+xt−32tx−32t2. よって k=x2−y(x+t)=x2−(x2+xt−32tx−32t2)=−31tx+32t2. (†)より k=−1 であるから, −31tx+32t2=−1より−tx+2t2=−3よりtx=2t2+3. もし t=0 なら,この式は 0=3 となり矛盾するので t=0 である(このとき(‡)より y=x となり,k=x2−x⋅x−0=0=−1 となることからも t=0 は不適と分かる)。 t=0 のとき x=t2t2+3=2t+t3. これを (‡) に代入して y=x−32t=2t+t3−32t=34t+t3.
(検算:x=2t+t3, y=34t+t3 を x2−xy−ty に代入すると,t2 の項・定数項・1/t2 の項がすべて打ち消し合い,x2−xy−ty=−1 となることが直接展開で確認できる。)
したがって x=2t+t3,y=34t+t3(t=0, t は実数).
(4) の解答
(3)の結果と x,y,t が整数であることを用いる。t は 0 でない整数。 x=2t+t3 が整数であるためには,2t は整数だから t3 が整数であることが必要十分,すなわち t は 3 の約数である。よって t=1,−1,3,−3 のいずれか. さらに y=34t+t3 が整数であることも必要なので,t=1,−1,3,−3 の各場合を調べる。
t1−13−3x=2t+3/t5−52⋅3+1=7−6−1=−7y=34t+3/t4/3+3=13/3 (整数でない)−4/3−3=−13/3 (整数でない)4+1=5 (整数)−4−1=−5 (整数)
よって整数解を与えるのは t=3(このとき x=7, y=5)と t=−3(このとき x=−7, y=−5)の2つに限る。
t=3, x=7, y=5 のとき A=(7−3−75−7)=(7−105−7). 検算:A2=(49−50−70+7035−35−50+49)=(−100−1)=−E=E,A4=(−E)2=E で条件を満たす。また detA=7⋅(−7)−5⋅(−10)=−49+50=1=−k と整合し(k=−1),3x−3y−2t=21−15−6=0 も成り立つ。
t=−3, x=−7, y=−5 のとき A=(−73+7−57)=(−710−57). 同様に A2=−E=E,A4=E であり,条件をすべて満たす。
以上より,求める行列 A は A=(7−105−7)またはA=(−710−57) の2つである。