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鹿児島大学/2009年度/前期

鹿児島大学 2009年 数学 第5問解答・解説

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1問題

鹿児島大学2009年度第5問

次の4問のうちから1問を選択して解答せよ。解答用紙の所定の欄に,解答する問題の番号を記入すること。

5-1  M=(54−2−1)M=\begin{pmatrix}5&4\\-2&-1\end{pmatrix} とする。正方行列 A,BA,B が αA+βB=M,A+B=E,AB=O\alpha A+\beta B=M,\qquad A+B=E,\qquad AB=O を満たしているとき,次の各問いに答えよ。ただし,α,β\alpha,\beta は α>β\alpha>\beta を満たす実数,EE は単位行列,OO は零行列である。

(1) A2=A, B2=B, BA=OA^2=A,\ B^2=B,\ BA=O であることを示せ。

(2) A,BA,B を α,β\alpha,\beta を用いて表せ。

(3) α,β\alpha,\beta および A,BA,B を求めよ。

(4) nn を自然数とするとき,MnM^n を求めよ。

5-2  (1) 平面上の二点 F1(−1,0), F2(1,0)F_1(-1,0),\ F_2(1,0) からの距離の和が 2a2a (a>1)(a>1) である楕円 CC の方程式を求めよ。

(2) 楕円 CC が直線 x+y=2x+y=2 と接するとき,aa の値と接点 PP の座標を求めよ。

(3) 点 PP における楕円 CC の法線が xx 軸と交わる点を QQ とするとき, PF1PF2=QF1QF2\displaystyle \frac{\mathrm{PF}_1}{\mathrm{PF}_2}=\frac{\mathrm{QF}_1}{\mathrm{QF}_2} であることを示せ。

5-3  容器の中にある種類の生物がいて,この容器の中では増殖しない。この生物に関して,次の性質を満たす定数 pp があることが知られている。

[性質] この生物の個体は kk 日目に生存していれば,他の個体が何匹いるかにかかわりなく,k+1k+1 日目には確率 pp で生存している (k=1,2,3,…)(k=1,2,3,\ldots)。

kk 日目に生存している個体数を XkX_k で表す。X1=nX_1=n とするとき,次の各問いに答えよ。

(1) X2=0X_2=0 となる確率を求めよ。

(2) X3=0X_3=0 となる確率を求めよ。

(3) Xk>0X_k>0 であるが Xk+1=0X_{k+1}=0 となる確率を求めよ。

5-4  次の各問いに答えよ。

(1) 確率変数 XX のとる値 xx の範囲が −1≦x≦1-1\leq x\leq1 で,その確率密度関数 f(x)f(x) が次の式で与えられている。f(x)={x+k(−1≦x<0),−x+k(0≦x≦1).f(x)= \begin{cases} x+k & (-1\leq x<0),\\ -x+k & (0\leq x\leq1). \end{cases}

(a) kk の値と XX の平均を求めよ。

(b) 確率 P(−0.5≦X≦0.5)P(-0.5\leq X\leq0.5) を求めよ。

(2) 母平均 mm,母標準偏差 σ\sigma の母集団から大きさ nn の無作為標本を抽出するとき,その標本平均を X‾\overline{X} とする。標本平均 X‾\overline{X} は,nn の値が大きいとき,近似的に正規分布 N(x,y)N(x,y) に従う。ただし,確率変数 ZZ が標準正規分布 N(0,1)N(0,1) に従うならば,P(Z≧1.00)=0.1587, P(Z≧2.00)=0.0228P(Z\geq1.00)=0.1587,\ P(Z\geq2.00)=0.0228 である。

(a) xx と yy を m,σ,nm,\sigma,n を用いて表せ。

(b) 母平均50,母標準偏差20の母集団から,大きさ100の無作為標本を抽出するとき,確率 P(46≦X‾≦52)P(46\leq\overline{X}\leq52) を求めよ。ただし,標本の大きさ100は十分大きい数であるとみなせるとする。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2考え方

考え方を見る解き方の方針だけを確かめる

4選択肢全14小問を独立に解いた。5-3は原文が個体間独立性を指定しないため、原文から一意に定まる数式としては扱わずHOLDとし、独立性を追加した場合の式を条件付きで示した。

3答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • 5-1(1)A2=A, B2=B, BA=O.5-1(2)A=M−βEα−β,B=αE−Mα−β.5-1(3)α=3, β=1,A=(22−1−1),B=(−1−212).5-1(4)Mn=(2⋅3n−12⋅3n−2−3n+1−3n+2)(n≧1).5-2(1)x2a2+y2a2−1=1.5-2(2)a=52,P=(54,34).5-2(3)PF1PF2=QF1QF2=3.5-3(1)HOLD(原文条件だけでは一意でない;独立仮定時 (1−p)n).5-3(2)HOLD(原文条件だけでは一意でない;独立仮定時 (1−p2)n).5-3(3)HOLD(原文条件だけでは一意でない;独立仮定時 (1−pk)n−(1−pk−1)n).5-4(1)(a)k=1,E[X]=0.5-4(1)(b)P(−0.5≦X≦0.5)=34.5-4(2)(a)x=m,y=σ2n.5-4(2)(b)P(46≦X‾≦52)≃0.8185.\displaystyle \begin{aligned} &5\text{-}1(1)\quad A^2=A,\space{}B^2=B,\space{}BA=O.\\ &5\text{-}1(2)\quad A=\frac{M-\beta E}{\alpha-\beta},\quad B=\frac{\alpha E-M}{\alpha-\beta}.\\ &5\text{-}1(3)\quad \alpha=3,\space{}\beta=1,\quad A=\begin{pmatrix}2&2\\-1&-1\end{pmatrix},\quad B=\begin{pmatrix}-1&-2\\1&2\end{pmatrix}.\\ &5\text{-}1(4)\quad M^n=\begin{pmatrix}2\cdot3^n-1&2\cdot3^n-2\\-3^n+1&-3^n+2\end{pmatrix}\quad(n\geq1).\\ &5\text{-}2(1)\quad \frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{a^2-1}=1.\\ &5\text{-}2(2)\quad a=\sqrt{\frac52},\quad P=\left(\frac54,\frac34\right).\\ &5\text{-}2(3)\quad \frac{PF_1}{PF_2}=\frac{QF_1}{QF_2}=3.\\ &5\text{-}3(1)\quad \text{HOLD(原文条件だけでは一意でない;独立仮定時 }(1-p)^n\text{)}.\\ &5\text{-}3(2)\quad \text{HOLD(原文条件だけでは一意でない;独立仮定時 }(1-p^2)^n\text{)}.\\ &5\text{-}3(3)\quad \text{HOLD(原文条件だけでは一意でない;独立仮定時 }(1-p^k)^n-(1-p^{k-1})^n\text{)}.\\ &5\text{-}4(1)(a)\quad k=1,\quad E[X]=0.\\ &5\text{-}4(1)(b)\quad P(-0.5\leq X\leq0.5)=\frac34.\\ &5\text{-}4(2)(a)\quad x=m,\quad y=\frac{\sigma^2}{n}.\\ &5\text{-}4(2)(b)\quad P(46\leq\overline X\leq52)\simeq0.8185. \end{aligned}

4解答

解答を見る途中式つきの解答

agraph{5-1(1)} A+B=EA+B=E と AB=OAB=O より A=A(A+B)=A2+AB=A2A=A(A+B)=A^2+AB=A^2 なので A2=AA^2=A である。また BA=(A+B)A−A2=A−A=O,BA=(A+B)A-A^2=A-A=O, さらに B2=(A+B)B−AB=B−O=BB^2=(A+B)B-AB=B-O=B となる。

agraph{5-1(2)} M=αA+βBM=\alpha A+\beta B と E=A+BE=A+B から M−βE=(α−β)A.M-\beta E=(\alpha-\beta)A. ここで α−β>0\alpha-\beta>0 だから A=M−βEα−β,B=E−A=αE−Mα−β.\displaystyle A=\frac{M-\beta E}{\alpha-\beta},\qquad B=E-A=\frac{\alpha E-M}{\alpha-\beta}.

agraph{5-1(3)} (1) の結果を用いると M2=(αA+βB)2=α2A+β2B,M^2=(\alpha A+\beta B)^2=\alpha^2A+\beta^2B, したがって M2−(α+β)M+αβE=O.M^2-(\alpha+\beta)M+\alpha\beta E=O. 一方、与えられた MM を直接掛けると M2=(1716−8−7)=4M−3E.M^2=\begin{pmatrix}17&16\\-8&-7\end{pmatrix}=4M-3E. よって (4−α−β)M+(αβ−3)E=O.(4-\alpha-\beta)M+(\alpha\beta-3)E=O. 左辺の (1,2)(1,2) 成分から 4(4−α−β)=04(4-\alpha-\beta)=0、ゆえに α+β=4\alpha+\beta=4 である。(1,1)(1,1) 成分から 5(4−α−β)+αβ−3=05(4-\alpha-\beta)+\alpha\beta-3=0 なので αβ=3\alpha\beta=3 となる。従って α,β\alpha,\beta は t2−4t+3=0t^2-4t+3=0 の二根 1,31,3 であり、α>β\alpha>\beta より α=3,β=1\alpha=3,\beta=1 である。 A=M−E2=(22−1−1),B=3E−M2=(−1−212).\displaystyle A=\frac{M-E}{2}=\begin{pmatrix}2&2\\-1&-1\end{pmatrix},\qquad B=\frac{3E-M}{2}=\begin{pmatrix}-1&-2\\1&2\end{pmatrix}.

agraph{5-1(4)} M=3A+BM=3A+B で、A2=A, B2=B, AB=BA=OA^2=A,\ B^2=B,\ AB=BA=O である。n=1n=1 で Mn=3nA+BM^n=3^nA+B と成り立ち、これが成り立つとき Mn+1=(3nA+B)(3A+B)=3n+1A+BM^{n+1}=(3^nA+B)(3A+B)=3^{n+1}A+B となるから、帰納的に n≧1n\geq1 で Mn=3nA+BM^n=3^nA+B である。従って Mn=(2⋅3n−12⋅3n−2−3n+1−3n+2).M^n=\begin{pmatrix}2\cdot3^n-1&2\cdot3^n-2\\-3^n+1&-3^n+2\end{pmatrix}.

agraph{5-2(1)} 点 (x,y)(x,y) から F1,F2F_1,F_2 までの距離をそれぞれ r1,r2r_1,r_2 とする。条件は r1+r2=2ar_1+r_2=2a である。また r12−r22=((x+1)2+y2)−((x−1)2+y2)=4xr_1^2-r_2^2=((x+1)^2+y^2)-((x-1)^2+y^2)=4x だから、r1−r2=2x/ar_1-r_2=2x/a となり、r1=a+x/ar_1=a+x/a である。これを r12=(x+1)2+y2r_1^2=(x+1)^2+y^2 に代入して整理すると a2−1a2x2+y2=a2−1,\displaystyle \frac{a^2-1}{a^2}x^2+y^2=a^2-1, すなわち x2a2+y2a2−1=1.\displaystyle \frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{a^2-1}=1. 逆に、この式を満たせば ∣x∣≦a|x|\leq a であり、a±x/a≧0a\pm x/a\geq0 である。式を用いて距離の二乗を計算すると r1=a+x/a, r2=a−x/ar_1=a+x/a,\ r_2=a-x/a となるので、その和は 2a2a である。従って求める楕円の方程式は上式である。

agraph{5-2(2)} t=a2t=a^2 とおくと t>1t>1 である。直線 y=2−xy=2-x を楕円に代入すると (2t−1)x2−4tx+5t−t2=0.(2t-1)x^2-4tx+5t-t^2=0. 接するためにはこの二次方程式の判別式が 00 であるから 16t2−4(2t−1)(5t−t2)=0,16t^2-4(2t-1)(5t-t^2)=0, t(2t−5)(t−1)=0.t(2t-5)(t-1)=0. t>1t>1 より t=5/2t=5/2、従って a=5/2a=\sqrt{5/2} である。重解は x=4t2(2t−1)=54,\displaystyle x=\frac{4t}{2(2t-1)}=\frac54, ゆえに y=2−x=3/4y=2-x=3/4 であり、P=(5/4,3/4)P=(5/4,3/4) である。代入確認では x2/a2=5/8x^2/a^2=5/8、y2/(a2−1)=3/8y^2/(a^2-1)=3/8 となり、和は 11 である。

agraph{5-2(3)} 接線は x+y=2x+y=2 で傾き −1-1 だから、点 PP を通る法線の傾きは 11 である。その方程式は y−34=x−54,y=x−12\displaystyle y-\frac34=x-\frac54,\qquad y=x-\frac12 であり、xx 軸との交点は Q=(1/2,0)Q=(1/2,0) である。距離を計算すると PF1=3104,PF2=104,QF1=32,QF2=12.\displaystyle PF_1=\frac{3\sqrt{10}}4,\quad PF_2=\frac{\sqrt{10}}4, \quad QF_1=\frac32,\quad QF_2=\frac12. 従って両比は 33 で等しい。

agraph{5-3(1)--(3)} 原文が述べるのは、ある日に生存する各個体について、翌日の生存確率が他個体の数に左右されず pp であることまでである。異なる個体の翌日の生存事象が独立であるとは述べられていない。そのため、個体数が複数の場合、全員が死亡する同時確率はこの条件だけからは決まらない。

この不足は、次の二つのモデルを比べれば分かる。第一のモデルでは、各日に生存中の各個体が互いに独立に確率 pp で翌日も生存する。このとき各個体が第 kk 日まで生存する確率は pk−1p^{k-1} であり、 P(X2=0)=(1−p)n,P(X3=0)=(1−p2)n,P(X_2=0)=(1-p)^n,\qquad P(X_3=0)=(1-p^2)^n, また P(Xk>0, Xk+1=0)=P(Xk+1=0)−P(Xk=0)=(1−pk)n−(1−pk−1)n.P(X_k>0,\ X_{k+1}=0) =P(X_{k+1}=0)-P(X_k=0) =(1-p^k)^n-(1-p^{k-1})^n.

第二のモデルでは、毎日、生存個体が一匹以上いれば一つの共通試行を行い、確率 pp でその日に生存している全個体が翌日も生存し、確率 1−p1-p で全個体が死亡するとする。各個体の翌日生存確率は、他個体の数にかかわらず pp であり、原文の性質を満たす。しかしこのモデルでは P(X2=0)=1−p,P(X3=0)=1−p2,P(X_2=0)=1-p,\qquad P(X_3=0)=1-p^2, P(Xk>0, Xk+1=0)=pk−1(1−p).P(X_k>0,\ X_{k+1}=0)=p^{k-1}(1-p). n≧2n\geq2 かつ 0<p<10<p<1 では一般に第一のモデルの値と異なる。よって三問とも原文の条件だけでは一意な答えを持たず、上記の積の式は個体間・日ごとの独立性を追加した場合に限る。n=1n=1 の場合に限れば三問の値はそれぞれ 1−p,1−p2,pk−1(1−p)1-p,1-p^2,p^{k-1}(1-p) となる。

agraph{5-4(1)(a)} 確率密度の積分は 11 だから ∫−10(x+k) dx+∫01(−x+k) dx=2k−1=1,\displaystyle \int_{-1}^0(x+k)\,dx+\int_0^1(-x+k)\,dx=2k-1=1, 従って k=1k=1 である。平均は E[X]=∫−10x(x+1) dx+∫01x(−x+1) dx=−16+16=0.\displaystyle E[X]=\int_{-1}^0x(x+1)\,dx+\int_0^1x(-x+1)\,dx =-\frac16+\frac16=0.

agraph{5-4(1)(b)} k=1k=1 と対称性から P(−0.5≦X≦0.5)=2∫01/2(1−x) dx=2(12−18)=34.\displaystyle P(-0.5\leq X\leq0.5)=2\int_0^{1/2}(1-x)\,dx =2\left(\frac12-\frac18\right)=\frac34.

agraph{5-4(2)(a)} 無作為標本の各値の平均は mm、分散は σ2\sigma^2 である。標本平均は各値の和を nn で割ったものなので、平均は mm、分散は nσ2/n2=σ2/nn\sigma^2/n^2=\sigma^2/n である。従って大きな nn での近似分布 N(x,y)N(x,y) では x=m,y=σ2n.\displaystyle x=m,\qquad y=\frac{\sigma^2}{n}.

agraph{5-4(2)(b)} 標本平均の平均は 5050、標準偏差は 20/100=220/\sqrt{100}=2 である。従って P(46≦X‾≦52)=P(−2≦Z≦1)=P(Z≦1)−P(Z≦−2)=1−0.1587−0.0228=0.8185.P(46\leq\overline X\leq52)=P(-2\leq Z\leq1) =P(Z\leq1)-P(Z\leq-2) =1-0.1587-0.0228=0.8185.

この問題で使う考え方

  • 独立な試行
  • 確率の基本法則
  • 二項分布
  • 連続型確率変数
  • 正規分布
  • 確率変数と確率分布
  • 確率変数の平均・分散・標準偏差
  • 標本調査

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