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愛媛大学/2014年度/前期

愛媛大学 2014年 数学 第9問解答・解説

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1問題

愛媛大学2014年度第9問

大問9(医学部)

nn は自然数、p0,p1,…,pnp_{0},p_{1},\ldots,p_{n} は p0>0, p1>0, …, pn>0p_{0}>0,\ p_{1}>0,\ \ldots,\ p_{n}>0 かつ p0+p1+⋯+pn=1p_{0}+p_{1}+\cdots+p_{n}=1 を満たす定数とする。ポイント 0,1,2,…,n−1,n0,1,2,\ldots,n-1,n が、それぞれ p0,p1,p2,…,pn−1,pnp_{0},p_{1},p_{2},\ldots,p_{n-1},p_{n} の確率で得られる試行 TT を考える。試行 TT を1回行って得られるポイントの期待値を aa とし、A=[a]+1A=\left[a\right]+1 とする。ただし、実数 xx に対して [x]\left[x\right] は xx を超えない最大の整数を表す。

競技者は、試行 TT を下記の各設問のルールに従って何回か行う。

(1) kk を 1≦k≦n1\leq k\leq n を満たす整数とする。競技者は、試行 TT を以下のルールに従って最大2回まで行う。

① 試行 TT を1回行い、もしポイントが kk 以上であれば2回目の試行を行わず、このポイントを賞金とする。

② 1回目のポイントが kk 未満であれば2回目の試行 TT を行う。このとき、1回目のポイントは無効とし、2回目のポイントを賞金とする。

このとき賞金の期待値を bkb_{k} とする。bkb_{k} を求めよ。

(2) (1)の期待値 bkb_{k} は kk が AA のとき最大となることを示せ。

(3) mm を 1≦m≦n1\leq m\leq n を満たす整数とする。競技者は、試行 TT を以下のルールに従って最大3回まで行う。

① 試行 TT を1回行い、もしポイントが mm 以上であれば2回目以降の試行を行わず、このポイントを賞金とする。

② 1回目のポイントが mm 未満であれば2回目の試行 TT を行う。2回目のポイントが AA 以上であれば3回目の試行を行わない。このとき、1回目のポイントは無効とし、2回目のポイントを賞金とする。

③ 2回目のポイントが AA 未満であれば3回目の試行 TT を行う。このとき、1回目、2回目のポイントは無効とし、3回目のポイントを賞金とする。

このとき賞金の期待値を cmc_{m} とする。cmc_{m} を求めよ。

(4) (3)の期待値 cmc_{m} は mm が B=[bA]+1B=\left[b_{A}\right]+1 のとき最大となり、cB≧bAc_{B}\geq b_{A} であることを示せ。ただし、bAb_{A} は(1)で求めた期待値 bkb_{k} の k=Ak=A のときの値である。

(5) n=5n=5 とし、試行 TT として、5枚の硬貨を同時に投げ、表の出た枚数をポイントとする試行を考える。また、bk, cmb_{k},\ c_{m} は上記で定義したものとする。

(i) p0,p1,p2,p3,p4,p5,ap_{0},p_{1},p_{2},p_{3},p_{4},p_{5},a を求めよ。

(ii) (1)のように最大2回試行を行う場合、bkb_{k} の最大値を求めよ。

(iii) (3)のように最大3回試行を行う場合、cmc_{m} の最大値を求めよ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2考え方

考え方を見る解き方の方針だけを確かめる

賞金の条件を最初のポイントがしきい値以上か未満かに分け、全期待値公式で一般式を出す。しきい値を1つ変えたときの差を計算して最大位置を証明し、最後に二項分布を代入する。

3答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1)bk=∑j=knjpj+a∑j=0k−1pj=a+∑j=kn(j−a)pj.(2)bk+1−bk=(a−k)pk⟹bk は k=A=⌊a⌋+1 で最大.(3)cm=∑j=mnjpj+bA∑j=0m−1pj=bA+∑j=mn(j−bA)pj.(4)cm+1−cm=(bA−m)pm⟹cm は m=B=⌊bA⌋+1 で最大,cB>bA.(5)(i)(p0,p1,p2,p3,p4,p5)=132(1,5,10,10,5,1),a=52.(ii)A=3,max⁡bk=b3=9532.(iii)bA=9532,B=3,max⁡cm=c3=20564.\displaystyle \begin{aligned} (1)\quad b_k&=\sum\limits _{j=k}^{n}jp_j+a\sum\limits _{j=0}^{k-1}p_j =a+\sum\limits _{j=k}^{n}(j-a)p_j.\\ (2)\quad b_{k+1}-b_k&=(a-k)p_k \quad\Longrightarrow\quad b_k\text{ は }k=A=\lfloor a\rfloor+1\text{ で最大}.\\ (3)\quad c_m&=\sum\limits _{j=m}^{n}jp_j+b_A\sum\limits _{j=0}^{m-1}p_j =b_A+\sum\limits _{j=m}^{n}(j-b_A)p_j.\\ (4)\quad c_{m+1}-c_m&=(b_A-m)p_m \quad\Longrightarrow\quad c_m\text{ は }m=B=\lfloor b_A\rfloor+1\text{ で最大},\quad c_B>b_A.\\ (5)(i)\quad &(p_0,p_1,p_2,p_3,p_4,p_5)=\frac1{32}(1,5,10,10,5,1),\quad a=\frac52.\\ (ii)\quad &A=3,\quad \max b_k=b_3=\frac{95}{32}.\\ (iii)\quad &b_A=\frac{95}{32},\quad B=3,\quad \max c_m=c_3=\frac{205}{64}. \end{aligned}

4解答

解答を見る途中式つきの解答

共通の選択指示は、教育学部・農学部・工学部環境建設工学科社会デザインコースでは大問1〜4、理学部および同コースを除く工学部では大問4〜8、医学部では大問4・6・7・8・9を解答する、というものである。本問は大問9であり、医学部の選択対象である。

試行1回で得るポイントを確率変数 XX とすると、P(X=j)=pjP(X=j)=p_j(j=0,1,…,nj=0,1,\ldots,n)、E[X]=aE[X]=a である。また p0>0,pn>0p_0>0,p_n>0 より 0<a<n0<a<n だから、A=⌊a⌋+1A=\lfloor a\rfloor+1 は 1≦A≦n1\leq A\leq n を満たす。

(1) 最初のポイントが kk 以上ならそのポイントを賞金とし、kk 未満なら2回目のポイントを賞金とする。よって bk=∑j=knjpj+(∑j=0k−1pj)a=a+∑j=kn(j−a)pj.\displaystyle b_k=\sum\limits _{j=k}^{n}jp_j+\left(\sum\limits _{j=0}^{k-1}p_j\right)a = a+\sum\limits _{j=k}^{n}(j-a)p_j.

(2) 1≦k<n1\leq k<n に対して bk+1−bk=−(k−a)pk=(a−k)pk.b_{k+1}-b_k=-(k-a)p_k=(a-k)p_k. pk>0p_k>0 である。k<Ak<A なら k≦⌊a⌋≦ak\leq\lfloor a\rfloor\leq a なので差は非負であり、k≧Ak\geq A なら k>ak>a なので差は負である。したがって bkb_k は k=Ak=A で最大となる。aa が整数の場合は k=ak=a で差が0となり、隣接する ba,ba+1b_a,b_{a+1} が等しいことがあるが、指定された A=a+1A=a+1 も最大値を与える。

(3) 1回目が mm 未満のときに続ける2回目・3回目の部分は、最初の試行のしきい値を AA とする2回試行の規則であり、その期待値は bAb_A である。したがって cm=∑j=mnjpj+(∑j=0m−1pj)bA=bA+∑j=mn(j−bA)pj.\displaystyle c_m=\sum\limits _{j=m}^{n}jp_j+\left(\sum\limits _{j=0}^{m-1}p_j\right)b_A =b_A+\sum\limits _{j=m}^{n}(j-b_A)p_j.

(4) まず bA>0b_A>0 である。最初の試行で nn が出る確率は pn>0p_n>0 であり、A≦nA\leq n なので賞金 nn を得る。また bA<nb_A<n である。最初と2回目がともに0となる確率は p02>0p_0^2>0 で、その場合の賞金は0であり、賞金は常に nn 以下だからである。よって B=⌊bA⌋+1B=\lfloor b_A\rfloor+1 は 1≦B≦n1\leq B\leq n を満たす。 cm+1−cm=−(m−bA)pm=(bA−m)pm.c_{m+1}-c_m=-(m-b_A)p_m=(b_A-m)p_m. m<Bm<B なら m≦⌊bA⌋≦bAm\leq\lfloor b_A\rfloor\leq b_A なので差は非負であり、m≧Bm\geq B なら m>bAm>b_A なので差は負である。よって cmc_m は m=Bm=B で最大となる。さらに cB=bA+∑j=Bn(j−bA)pj>bA\displaystyle c_B=b_A+\sum\limits _{j=B}^{n}(j-b_A)p_j>b_A である。実際、j≧B>bAj\geq B>b_A で各項は正、かつ B≦nB\leq n、pB>0p_B>0 である。従って特に cB≧bAc_B\geq b_A。

(5)(i) 5枚の公平な硬貨を同時に投げるので、表の枚数 jj の確率は pj=(5j)/25\displaystyle p_j=\binom{5}{j}/2^5 である。従って (p0,p1,p2,p3,p4,p5)=132(1,5,10,10,5,1),a=∑j=05jpj=5+20+30+20+532=52.\displaystyle (p_0,p_1,p_2,p_3,p_4,p_5)=\frac1{32}(1,5,10,10,5,1), \qquad a=\sum\limits _{j=0}^{5}jp_j=\frac{5+20+30+20+5}{32}=\frac52. よって A=⌊5/2⌋+1=3A=\lfloor 5/2\rfloor+1=3。

(ii) (1)(2)より最大値は b3b_3 であり、 b3=3⋅1032+4⋅532+5⋅132+(132+532+1032)52=5532+12⋅52=9532.\displaystyle b_3=3\cdot\frac{10}{32}+4\cdot\frac5{32}+5\cdot\frac1{32} +\left(\frac1{32}+\frac5{32}+\frac{10}{32}\right)\frac52 =\frac{55}{32}+\frac12\cdot\frac52 =\frac{95}{32}.

(iii) bA=95/32b_A=95/32 より B=⌊95/32⌋+1=3B=\lfloor95/32\rfloor+1=3。従って最大値は c3c_3 であり、 c3=3⋅1032+4⋅532+5⋅132+(132+532+1032)9532=5532+12⋅9532=20564.\displaystyle c_3=3\cdot\frac{10}{32}+4\cdot\frac5{32}+5\cdot\frac1{32} +\left(\frac1{32}+\frac5{32}+\frac{10}{32}\right)\frac{95}{32} =\frac{55}{32}+\frac12\cdot\frac{95}{32} =\frac{205}{64}.

この問題で使う考え方

  • 確率の基本法則
  • 期待値
  • 確率変数と確率分布
  • 確率変数の平均・分散・標準偏差
  • 二項分布

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