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鹿児島大学/2007年度/前期

鹿児島大学 2007年 数学 第5問解答・解説

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1問題

鹿児島大学2007年度第5問

次の4問のうちから1問を選択して解答せよ。解答用紙の所定の欄に解答する問題の番号を記入すること。

5-1 2次の正方行列 A,BA,B について、次の各問いに答えよ。

(1) (A−B)2=A2−2AB+B2(A-B)^{2}=A^{2}-2AB+B^{2} となるための必要十分条件は AB=BAAB=BA であることを示せ。

(2) EE を単位行列とする。行列 PP を用いて A=P+EA=P+E と表されるとき、行列 XX について AX=XAAX=XA となるための必要十分条件は PX=XPPX=XP であることを示せ。

(3) qq は0でない数とする。A=(p+10q1)A=\begin{pmatrix}p+1&0\\q&1\end{pmatrix} のとき、AX=XAAX=XA となる行列 XX は X=kA+lEX=kA+lE (k,lk,l は実数) の形に表されることを示せ。

5-2 次のように、円 C1C_{1} は直交座標に関する方程式で表され、曲線 C2C_{2} は極方程式で表されている。 C1:x2+y2+6x−2y+7=0,C2:r=12−sin⁡θ.\displaystyle C_{1}:\quad x^{2}+y^{2}+6x-2y+7=0,\qquad C_{2}:\quad r=\frac{1}{\sqrt{2}-\sin\theta}. このとき、次の各問いに答えよ。

(1) 円 C1C_{1} を媒介変数を用いて表せ。

(2) 曲線 C2C_{2} はどんな曲線になるか。また、その概形もかけ。

(3) 円 C1C_{1} の中心を通り曲線 C2C_{2} に接する直線の方程式を求めよ。

5-3 AA チームと BB チームは毎日1回野球の試合をする。毎回勝敗を決定し、引き分けはないものとする。どちらかのチームが3連勝したときにそのチームの優勝とする。1回目の試合では、AA チームの勝つ確率は BB チームの勝つ確率の2倍である。また、2回目の試合からは、AA チームが勝つ確率は、前日の試合で勝ったときは BB チームの勝つ確率の2倍であり、負けたときは BB チームの勝つ確率の 13\displaystyle \frac{1}{3} 倍である。このとき、次の各問いに答えよ。

(1) 1回目の試合で AA チームが勝つ確率 PAP_{A} と BB チームが勝つ確率 PBP_{B} を求めよ。

(2) 前日の試合で AA チームが勝ったとき、今日の試合で AA チームが勝つ確率 PAAP_{AA} と、前日の試合で BB チームが勝ったとき、今日の試合で BB チームが勝つ確率 PBBP_{BB} を求めよ。

(3) 4回以内の試合で優勝が決まる確率を求めよ。

(4) 5回目の試合で優勝が決まったことがわかっている。このとき AA チームが優勝している確率を求めよ。

5-4 次の各問いに答えよ。ただし、確率変数 ZZ が標準正規分布 N(0,1)N(0,1) に従うとき、 P(Z≧1.53)=0.063,P(Z≧1.96)=0.025,P(Z≧2.32)=0.010P(Z\geq1.53)=0.063,\quad P(Z\geq1.96)=0.025,\quad P(Z\geq2.32)=0.010 である。

(1) 確率変数 XX が正規分布 N(m,σ2)N(m,\sigma^{2}) に従うとき、X−ab\displaystyle \frac{X-a}{b} は標準正規分布 N(0,1)N(0,1) に従うとする。また、確率変数 YY が二項分布 B(n,p)B(n,p) に従うとき、Y−cd\displaystyle \frac{Y-c}{d} は、nn が十分大きいならば近似的に標準正規分布 N(0,1)N(0,1) に従うとする。このとき、a,b,c,da,b,c,d を m,σ,n,pm,\sigma,n,p を用いて表せ。

(2) 確率変数 XX のとる値 xx の範囲が 0≦x≦20\leq x\leq2 で、その確率密度関数 f(x)f(x) が次の式で与えられている。 f(x)=k−∣x−1∣.f(x)=k-|x-1|. このとき、次の(a)、(b)に答えよ。

(a) kk の値を求めよ。

(b) XX の平均と標準偏差を求めよ。

(3) ある工場で1 kg入りと表示する製品が生産されている。この製品の重さは、平均1 kg、標準偏差50 gの正規分布に従っているという。この工場より1000個の製品を仕入れた。この中に902 g以下の製品は何個あると推測されるか。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • 5-1: AB=BA, PX=XP, X=kA+lE;51:\space{}AB=BA,\space{}PX=XP,\space{}X=kA+lE;\quad 5-2: (x,y)=(−3+3cos⁡t,1+3sin⁡t), 2x2+(y−1)2=2, y=12x+52, y=−12x−12;5\displaystyle 2:\space{}(x,y)=(-3+\sqrt3\cos t,1+\sqrt3\sin t),\space{}2x^2+(y-1)^2=2,\space{}y=\frac12x+\frac52,\space{}y=-\frac12x-\frac12;\quad 5-3: (PA,PB)=(23,13), (PAA,PBB)=(23,34), 3148, 272785;5\displaystyle 3:\space{}(P_A,P_B)=(\frac23,\frac13),\space{}(P_{AA},P_{BB})=(\frac23,\frac34),\space{}\frac{31}{48},\space{}\frac{272}{785};\quad 5-4: (a,b,c,d)=(m,σ,np,np(1−p)), k=1, E(X)=1, σX=16, 25.\displaystyle 4:\space{}(a,b,c,d)=(m,\sigma,np,\sqrt{np(1-p)}),\space{}k=1,\space{}E(X)=1,\space{}\sigma_X=\frac1{\sqrt6},\space{}25.

3解答

解答を見る途中式つきの解答

5-1

(1) (A−B)2=A2−AB−BA+B2.(A-B)^2=A^2-AB-BA+B^2. これが A2−2AB+B2A^2-2AB+B^2 に等しいことは AB+BA=2ABAB+BA=2AB、すなわち BA=ABBA=AB と同値である。よって必要十分条件は AB=BAAB=BA である。

(2) AX=XAすなわち(P+E)X=X(P+E)すなわちPX+X=XP+XすなわちPX=XP.AX=XA\quad\text{すなわち}\quad (P+E)X=X(P+E)\quad\text{すなわち}\quad PX+X=XP+X\quad\text{すなわち}\quad PX=XP.

(3) X=(abcd)X=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix} とおく。両積を計算すると AX=((p+1)a(p+1)bqa+cqb+d),XA=((p+1)a+bqb(p+1)c+dqd).AX=\begin{pmatrix}(p+1)a&(p+1)b\\qa+c&qb+d\end{pmatrix},\quad XA=\begin{pmatrix}(p+1)a+bq&b\\(p+1)c+dq&d\end{pmatrix}. AX=XAAX=XA ならば、左上成分から bq=0bq=0 であり、q≠0q\ne0 より b=0b=0。左下成分から q(a−d)=pcq(a-d)=pc を得る。そこで k=c/qk=c/q, l=d−kl=d-k とおくと X=(d+pk0kqd)=kA+lE.X=\begin{pmatrix}d+pk&0\\kq&d\end{pmatrix}=kA+lE. 逆に X=kA+lEX=kA+lE ならば AX=XAAX=XA は A(kA+lE)=(kA+lE)AA(kA+lE)=(kA+lE)A から成り立つ。

5-2

(1) 円の式を平方完成すると (x+3)2+(y−1)2=3(x+3)^2+(y-1)^2=3 だから、媒介変数 tt を用いて x=−3+3cos⁡t,y=1+3sin⁡t(0≦t<2π)x=-3+\sqrt3\cos t,\qquad y=1+\sqrt3\sin t\quad(0\le t<2\pi) と表せる。

(2) 極方程式は r(2−sin⁡θ)=1r(\sqrt2-\sin\theta)=1、すなわち 2r−y=1\sqrt2r-y=1 である。ここで r>0r>0 かつ 2−sin⁡θ>0\sqrt2-\sin\theta>0 なので、2r=1+y\sqrt2r=1+y の両辺を平方して 2(x2+y2)=(1+y)2すなわち2x2+(y−1)2=22(x^2+y^2)=(1+y)^2\quad\text{すなわち}\quad 2x^2+(y-1)^2=2 を得る。この楕円の yy の範囲は 1−2≦y≦1+21-\sqrt2\le y\le1+\sqrt2 で、全点が y>−1y>-1 を満たす。したがって平方で余分な点は加わらず、C2C_2 は中心 (0,1)(0,1)、横半径 11、縦半径 2\sqrt2 の楕円である。概形は xx 軸に平行な半径が短い向き、yy 軸に平行な向きが長い向きとなる。

(3) 中心 (−3,1)(-3,1) を通る直線を y−1=m(x+3)y-1=m(x+3) とおく。楕円の式へ代入すると (2+m2)x2+6m2x+9m2−2=0.(2+m^2)x^2+6m^2x+9m^2-2=0. 接する条件はこの二次方程式の判別式が 00 となることだから (6m2)2−4(2+m2)(9m2−2)=16(1−4m2)=0,(6m^2)^2-4(2+m^2)(9m^2-2)=16(1-4m^2)=0, よって m=±12\displaystyle m=\pm\frac12。求める直線は y−1=12(x+3),y−1=−12(x+3),\displaystyle y-1=\frac12(x+3),\qquad y-1=-\frac12(x+3), すなわち y=12x+52\displaystyle y=\frac12x+\frac52、y=−12x−12\displaystyle y=-\frac12x-\frac12 である。

5-3

(1) 初戦の確率の比が 2:12:1 で和が 11 だから、PA=23\displaystyle P_A=\frac23, PB=13\displaystyle P_B=\frac13。

(2) 前日に A が勝った場合は今日の A・B の勝つ確率の比が 2:12:1 なので PAA=23\displaystyle P_{AA}=\frac23。前日に B が勝った場合はその比が 1:31:3 なので PBB=34\displaystyle P_{BB}=\frac34。

(3) 4回以内に優勝が決まるのは、結果が AAAAAA, BBBBBB, ABBBABBB, BAAABAAA の場合である。それぞれの確率は P(AAA)=23⋅23⋅23=827,P(BBB)=13⋅34⋅34=316,\displaystyle P(AAA)=\frac23\cdot\frac23\cdot\frac23=\frac8{27},\quad P(BBB)=\frac13\cdot\frac34\cdot\frac34=\frac3{16}, P(ABBB)=23⋅13⋅34⋅34=18,P(BAAA)=13⋅14⋅23⋅23=127.\displaystyle P(ABBB)=\frac23\cdot\frac13\cdot\frac34\cdot\frac34=\frac18,\quad P(BAAA)=\frac13\cdot\frac14\cdot\frac23\cdot\frac23=\frac1{27}. したがって求める確率は 827+316+18+127=3148\displaystyle \frac8{27}+\frac3{16}+\frac18+\frac1{27}=\frac{31}{48}。

5-3 (4)  AA が勝つ確率と BB が勝つ確率の比から, 初戦は P(A)=2/3, P(B)=1/3P(A)=2/3,\ P(B)=1/3 である。 前日が AA の勝ちなら翌日の勝率は P(A∣A)=2/3, P(B∣A)=1/3P(A\mid A)=2/3,\ P(B\mid A)=1/3, 前日が BB の勝ちなら P(A∣B)=1/4, P(B∣B)=3/4P(A\mid B)=1/4,\ P(B\mid B)=3/4 となる。

5回目に初めて3連勝で優勝する場合, 第3~5戦の勝者は同じであり,第2戦の勝者はそれと異なる。 もし第2戦も同じなら第2~4戦ですでに優勝が決まるからである。 第1戦の勝者はどちらでもよい。したがって該当する勝敗列は ABAAA, BBAAA, AABBB, BABBBABAAA,\ BBAAA,\ AABBB,\ BABBB の4通りだけである。 各列の確率は順に P(ABAAA)=23⋅13⋅14⋅23⋅23=281,P(BBAAA)=13⋅34⋅14⋅23⋅23=136,P(AABBB)=23⋅23⋅13⋅34⋅34=112,P(BABBB)=13⋅14⋅13⋅34⋅34=164.\displaystyle \begin{aligned} P(ABAAA) &=\frac23\cdot\frac13\cdot\frac14 \cdot\frac23\cdot\frac23=\frac{2}{81},\\ P(BBAAA) &=\frac13\cdot\frac34\cdot\frac14 \cdot\frac23\cdot\frac23=\frac1{36},\\ P(AABBB) &=\frac23\cdot\frac23\cdot\frac13 \cdot\frac34\cdot\frac34=\frac1{12},\\ P(BABBB) &=\frac13\cdot\frac14\cdot\frac13 \cdot\frac34\cdot\frac34=\frac1{64}. \end{aligned} 前の2列が AA の優勝,後の2列が BB の優勝である。 よって「5回目に優勝が決まった」という条件の下で AA が優勝している確率は 281+136281+136+112+164=173247855184=272785.\displaystyle \boxed{ \frac{\frac{2}{81}+\frac1{36}} {\frac{2}{81}+\frac1{36}+\frac1{12}+\frac1{64}} =\frac{\frac{17}{324}}{\frac{785}{5184}} =\frac{272}{785}}.

5-4

(1) 標準化では平均を引き、標準偏差で割るので a=ma=m, b=σb=\sigma。二項分布 B(n,p)B(n,p) の平均は npnp、分散は np(1−p)np(1-p) だから、c=npc=np, d=np(1−p)d=\sqrt{np(1-p)}。

(2) (a) 確率密度の積分が 11 となる条件から 1=∫02(k−∣x−1∣) dx=2k−1,\displaystyle 1=\int_0^2(k-|x-1|)\,dx=2k-1, ゆえに k=1k=1。

(b) f(x)=1−∣x−1∣f(x)=1-|x-1| は x=1x=1 に関して対称なので E(X)=1E(X)=1。したがって Var⁡(X)=E((X−1)2)=2∫01u2(1−u) du=16,\displaystyle \operatorname{Var}(X)=E((X-1)^2)=2\int_0^1u^2(1-u)\,du=\frac16, 標準偏差は 16\displaystyle \frac1{\sqrt6}。

(3) 重さを XX g とすると X∼N(1000,502)X\sim N(1000,50^2)。902g に対応する標準化値は 902−100050=−1.96.\displaystyle \frac{902-1000}{50}=-1.96. 標準正規分布の対称性より P(X≦902)=P(Z≧1.96)=0.025P(X\le902)=P(Z\ge1.96)=0.025。よって1000個のうち902g以下の個数は 1000⋅0.025=251000\cdot0.025=25 個と推測される。

この問題で使う考え方

  • 円の方程式
  • 直線の方程式
  • 楕円
  • 極座標と極方程式
  • 確率の基本法則
  • 条件付き確率
  • 二項分布
  • 正規分布

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