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九州大学/2010年度/前期

九州大学 2010年 数学 第5問解答・解説

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1問題

九州大学2010年度第5問

実数を成分とする2次正方行列 A=(abcd)A=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix} を考える。平面上の点 P(x,y)P(x,y) に対し,点 Q(X,Y)Q(X,Y) を (XY)=(abcd)(xy)\begin{pmatrix}X\\Y\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix} により定める。このとき,次の問いに答えよ。   (1) PP が放物線 y=x2y=x^2 全体の上を動くとき,QQ が放物線 9X=2Y29X=2Y^2 全体の上を動くという。このとき,行列 AA を求めよ。   (2) PP が放物線 y=x2y=x^2 全体の上を動くとき,QQ は常に円 X2+(Y−1)2=1X^2+(Y-1)^2=1 の上にあるという。このとき,行列 AA を求めよ。   (3) PP が放物線 y=x2y=x^2 全体の上を動くとき,QQ がある直線 LL 全体の上を動くための a,b,c,da,b,c,d についての条件を求めよ。また,その条件が成り立っているとき,直線 LL の方程式を求めよ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2解答

解答を見る答えはこの解答の中にあります

点 P(x,y)P(x,y) が放物線 y=x2y=x^{2} 全体を動くとき,P=(x,x2)P=(x,x^{2})(xx は実数)とパラメータ表示できる。このとき X=ax+bx2,Y=cx+dx2(x は実数)X=ax+bx^{2},\qquad Y=cx+dx^{2}\qquad (x\text{ は実数}) である。以下,この X(x),Y(x)X(x),Y(x) を用いて各小問を考える。

(1)  QQ が放物線 9X=2Y29X=2Y^{2} 全体の上を動く,すなわち 9X(x)=2Y(x)2(すべての実数 x について)(i)9X(x)=2Y(x)^{2}\quad(\text{すべての実数 }x\text{ について})\tag{i} が成り立ち,かつ xx が 実数全体を動くとき (X(x),Y(x))(X(x),Y(x)) が曲線 9X=2Y29X=2Y^{2} 全体を尽くす,という2条件を満たす a,b,c,da,b,c,d を求める。

曲線 9X=2Y29X=2Y^{2} は X=29Y2\displaystyle X=\dfrac{2}{9}Y^{2} と表され,YY を −∞-\infty から ∞\infty まで動かせば曲線全体を尽くす(YY の値ごとに XX が一意に定まる)。したがって,QQ が曲線全体を尽くすためには,実数 xx に対し Y(x)=cx+dx2Y(x)=cx+dx^{2} が 実数全体の値をとる必要がある。

Y(x)=dx2+cxY(x)=dx^{2}+cx は,d≠0d\neq0 ならば上に有界(d<0d<0)または下に有界(d>0d>0)な二次関数となり,実数全体を値域にできない。また d=0, c=0d=0,\,c=0 なら Y≡0Y\equiv0 で値域は {0}\{0\} のみ。よって d=0,c≠0d=0,\qquad c\neq0 が必要であり,このとき Y=cxY=cx は異なる実数 xx に対して異なる値をとり、xx が実数全体を動くと YY も実数全体を動く。

このもとで (i) は 9(ax+bx2)=2(cx)2=2c2x2(すべての実数 x について)9(ax+bx^{2})=2(cx)^{2}=2c^{2}x^{2}\qquad(\text{すべての実数 }x\text{ について}) となる。両辺を xx の多項式として係数比較すると x の係数: 9a=0よりa=0,x2 の係数: 9b=2c2よりb=2c29.\displaystyle x\ \text{の係数}:\ 9a=0\quad\text{より}\quad a=0,\qquad x^{2}\ \text{の係数}:\ 9b=2c^{2}\quad\text{より}\quad b=\frac{2c^{2}}{9}. 逆に a=0, d=0, b=2c29\displaystyle a=0,\,d=0,\,b=\dfrac{2c^{2}}{9}(c≠0c\neq0)とすると,X=2c29x2, Y=cx\displaystyle X=\dfrac{2c^{2}}{9}x^{2},\,Y=cx であり,任意の実数 Y0Y_{0} に対して x=Y0/cx=Y_{0}/c ととれば X=2c29⋅Y02c2=29Y02\displaystyle X=\dfrac{2c^{2}}{9}\cdot\dfrac{Y_{0}^{2}}{c^{2}}=\dfrac{2}{9}Y_{0}^{2} となり,9X=2Y29X=2Y^{2} を満たしながら曲線全体をちょうど1回ずつ尽くす。ゆえに条件を満たす。

以上より A=(02c29c0)(c は 0 でない任意の実数)\displaystyle A=\begin{pmatrix}0 & \dfrac{2c^{2}}{9}\\ c & 0\end{pmatrix}\qquad(c\ \text{は}\ 0\ \text{でない任意の実数})

(2)  条件は「PP が y=x2y=x^{2} 全体を動くとき,常に X(x)2+(Y(x)−1)2=1X(x)^{2}+(Y(x)-1)^{2}=1」,すなわち (ax+bx2)2+(cx+dx2−1)2=1(すべての実数 x について).(ii)(ax+bx^{2})^{2}+(cx+dx^{2}-1)^{2}=1\qquad(\text{すべての実数 }x\text{ について}).\tag{ii}

円 X2+(Y−1)2=1X^{2}+(Y-1)^{2}=1 は有界な図形(中心 (0,1)(0,1),半径1の円)である。もし a,b,c,da,b,c,d のうち b≠0b\neq0 または d≠0d\neq0 があれば,X(x)X(x) または Y(x)Y(x) は xx の二次式で最高次係数が非零となり,x→∞x\to\infty で ∣X(x)∣→∞|X(x)|\to\infty または ∣Y(x)∣→∞|Y(x)|\to\infty となる。これは Q=(X,Y)Q=(X,Y) が半径1の円上(したがって有界)に留まることに矛盾する。よって b=0,d=0b=0,\qquad d=0 が必要である。

このとき X=ax, Y=cxX=ax,\ Y=cx で,もし a≠0a\neq0 または c≠0c\neq0 ならば,やはり x→∞x\to\infty のとき XX または YY が非有界となり矛盾。よって a=0,c=0a=0,\qquad c=0 も必要である。したがって a=b=c=d=0a=b=c=d=0 が必要条件である。

逆に a=b=c=d=0a=b=c=d=0 のとき,任意の xx に対し X=0, Y=0X=0,\,Y=0 で,X2+(Y−1)2=0+(−1)2=1X^{2}+(Y-1)^{2}=0+(-1)^{2}=1 となり (ii) を満たす(QQ は常に定点 (0,0)(0,0) にあり,この点は円 X2+(Y−1)2=1X^{2}+(Y-1)^{2}=1 上にある)。

以上より,条件を満たすのは A=(0000)A=\begin{pmatrix}0&0\\0&0\end{pmatrix} のみである(別解として係数比較:X2+(Y−1)2X^{2}+(Y-1)^{2} を xx の多項式として展開すると x4x^{4} の係数が b2+d2b^{2}+d^{2} となり,これが 00 であるためには実数の性質から b=d=0b=d=0。続いて x2x^{2} の係数 a2+c2−2d=a2+c2=0a^{2}+c^{2}-2d=a^{2}+c^{2}=0 より a=c=0a=c=0。x1x^{1} の係数 −2c=0-2c=0 と整合。同じ結論を得る)。

(3)  QQ がある直線 LL 全体の上を動く条件を考える。X(x)=ax+bx2, Y(x)=cx+dx2X(x)=ax+bx^{2},\,Y(x)=cx+dx^{2} である。

まず,(X(x),Y(x))(X(x),Y(x)) が(一部にせよ)1本の直線上に載るための条件を調べる。(α,β)≠(0,0)(\alpha,\beta)\neq(0,0) を用いて αX(x)+βY(x)=γ\alpha X(x)+\beta Y(x)=\gamma(定数)が全ての xx で成り立つとすると,X,YX,Y には定数項がないので γ=0\gamma=0 であり, α(ax+bx2)+β(cx+dx2)=0(すべての x について)\alpha(ax+bx^{2})+\beta(cx+dx^{2})=0\qquad(\text{すべての }x\text{ について}) から αa+βc=0,αb+βd=0.\alpha a+\beta c=0,\qquad \alpha b+\beta d=0. これは (α,β)≠(0,0)(\alpha,\beta)\neq(0,0) に解をもつので,ベクトル (a,c)(a,c) と (b,d)(b,d) は 1次従属である。

次に,直線「全体」を尽くすかどうかを調べる。

(i) (b,d)≠(0,0)(b,d)\neq(0,0) の場合:従属性より (a,c)=k(b,d)(a,c)=k(b,d) となる実数 kk が存在し, X=b(x2+kx),Y=d(x2+kx).X=b(x^{2}+kx),\qquad Y=d(x^{2}+kx). t=x2+kx=(x+k2)2−k24\displaystyle t=x^{2}+kx=\left(x+\dfrac{k}{2}\right)^{2}-\dfrac{k^{2}}{4} は xx が実数のとき t≧−k24\displaystyle t\ge -\dfrac{k^{2}}{4} の範囲しかとらない(下に有界な二次関数)。よって (X,Y)=t (b,d)(X,Y)=t\,(b,d) は,直線の一部(半直線)しか尽くさず,直線全体には届かない。ゆえにこの場合は条件を満たさない。

(ii) (b,d)=(0,0)(b,d)=(0,0) の場合:X=ax, Y=cxX=ax,\,Y=cx で t=xt=x は xx が実数全体を動くとき 実数全体を動く。(a,c)≠(0,0)(a,c)\neq(0,0) であれば,(X,Y)=x (a,c)(X,Y)=x\,(a,c) は原点を通り方向ベクトル (a,c)(a,c) をもつ直線全体を(xx が 実数全体を動くのに応じて)ちょうど尽くす。(a,c)=(0,0)(a,c)=(0,0) なら QQ は原点に固定される1点のみで直線にならない。

以上から,QQ がある直線 LL 全体の上を動くための条件は b=0,d=0,(a,c)≠(0,0)b=0,\quad d=0,\quad (a,c)\neq(0,0) (a,ca,c の少なくとも一方が 00 でない)である。

この条件のもとでは X=ax, Y=cxX=ax,\,Y=cx であるから,cX−aY=c(ax)−a(cx)=0cX-aY=c(ax)-a(cx)=0 が全ての xx で成り立ち,逆に cX−aY=0cX-aY=0 は原点を通り方向ベクトル (a,c)(a,c) の直線((a,c)≠(0,0)(a,c)\neq(0,0) ゆえ確定する1本の直線)を表す。したがって直線 LL の方程式は L: cX−aY=0L:\ cX-aY=0 である(a≠0a\neq0 のときは Y=caX\displaystyle Y=\dfrac{c}{a}X,a=0a=0(このとき c≠0c\neq0)のときは X=0X=0 と同値)。

この問題で使う考え方

  • 二次関数の最大・最小
  • 直線の方程式
  • 円の方程式
  • 放物線
  • 行列を用いた表現

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