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九州大学/2010年度/前期

九州大学 2010年 数学 第1問解答・解説

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1問題

九州大学2010年度第1問

三角形 ABCABC の3辺の長さを a=BC, b=CA, c=ABa=BC,\ b=CA,\ c=AB とする。実数 t≧0t\geq 0 を与えたとき,AA を始点とし BB を通る半直線上に AP=tcAP=tc となるように点 PP をとる。次の問いに答えよ。

(1) CP2CP^2 を a,b,c,ta,b,c,t を用いて表せ。

(2) 点 PP が CP=aCP=a を満たすとき,tt を求めよ。

(3) (2) の条件を満たす点 PP が辺 ABAB 上にちょうど2つあるとき,∠A\angle A と ∠B\angle B に関する条件を求めよ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1)
    CP2=t2c2−(b2+c2−a2)t+b2CP^2=t^2c^2-(b^2+c^2-a^2)t+b^2
  • (2)
    t=1 always; when b≧a, also t=b2−a2c2\displaystyle t=\frac{b^2-a^2}{c^2} (if b<a, only t=1 satisfies t≧0).
  • (3)
    ∠A≦∠B<90°∠A≤∠B<90°

3解答

解答を見る途中式つきの解答

(1)

点 PP は AA を始点とし BB を通る半直線上にあり,AP=tcAP=tc である。この半直線の方向は線分 ABAB の方向と同じであるから,∠CAP=∠CAB=∠A\angle CAP=\angle CAB=\angle A である(t=0t=0 のときは P=AP=A に退化するが,以下の式はこの場合も CP=CA=bCP=CA=b を正しく与える)。

三角形 ACPACP において余弦定理を用いると CP2=AC2+AP2−2⋅AC⋅APcos⁡A=b2+t2c2−2btccos⁡A.CP^2=AC^2+AP^2-2\cdot AC\cdot AP\cos A=b^2+t^2c^2-2btc\cos A. 一方,三角形 ABCABC に余弦定理を用いると cos⁡A=b2+c2−a22bc\displaystyle \cos A=\frac{b^2+c^2-a^2}{2bc} であるから,2btccos⁡A=tc⋅b2+c2−a2c=t(b2+c2−a2)\displaystyle 2btc\cos A=tc\cdot\dfrac{b^2+c^2-a^2}{c}=t(b^2+c^2-a^2) に注意して代入すると CP2=t2c2−(b2+c2−a2)t+b2(t≧0).\boxed{CP^2=t^2c^2-(b^2+c^2-a^2)t+b^2}\qquad(t\ge0). (検算)t=0t=0 のとき CP2=b2CP^2=b^2,すなわち P=AP=A で CP=CA=bCP=CA=b と一致する。t=1t=1 のとき CP2=c2−(b2+c2−a2)+b2=a2CP^2=c^2-(b^2+c^2-a^2)+b^2=a^2,すなわち P=BP=B で CP=CB=aCP=CB=a と一致する。いずれも定義と整合するので式は正しい。

(2)

CP=aCP=a,すなわち CP2=a2CP^2=a^2 とおくと,(1)の結果より t2c2−(b2+c2−a2)t+b2−a2=0.(∗)t^2c^2-(b^2+c^2-a^2)t+b^2-a^2=0.\qquad(*) t=1t=1 を代入すると c2−(b2+c2−a2)+b2−a2=0c^2-(b^2+c^2-a^2)+b^2-a^2=0 となり,これは恒等的に成り立つ。これは「P=BP=B のとき常に CP=CB=aCP=CB=a」という事実に対応する解であるから,(∗)(*) の左辺は (t−1)(t-1) を因数にもち, t2c2−(b2+c2−a2)t+(b2−a2)=(t−1){c2t−(b2−a2)}t^2c^2-(b^2+c^2-a^2)t+(b^2-a^2)=(t-1)\bigl\{c^2t-(b^2-a^2)\bigr\} と因数分解できる(右辺を展開すれば左辺に一致することで確認できる)。よって (∗)(*) の解は t=1,t=b2−a2c2.\displaystyle t=1,\qquad t=\frac{b^2-a^2}{c^2}. 問題の設定で t≧0t\ge0 が要求されているから,t=b2−a2c2\displaystyle t=\dfrac{b^2-a^2}{c^2} が解として採用できるのは b2−a2≧0b^2-a^2\ge0,すなわち b≧ab\ge a のときに限る。b<ab<a のときはこの値が負になり不適で,解は t=1t=1 のみである。

まとめると b≧a のときt=1, b2−a2c2,b<a のときt=1 のみ.\displaystyle b\ge a\ \text{のとき}\quad t=1,\ \frac{b^2-a^2}{c^2},\qquad\qquad b<a\ \text{のとき}\quad t=1\ \text{のみ}.

(3)

点 PP が辺 ABAB 上にあることは,AP=tcAP=tc,AB=cAB=c(c>0c>0)より 0≦t≦10\le t\le1 と同値である。(2)より,CP=aCP=a を満たす tt の候補は t=1t=1 と t0=b2−a2c2\displaystyle t_0=\dfrac{b^2-a^2}{c^2} の高々2つであり,t=1t=1 は常に 0≦t≦10\le t\le1 を満たす(P=BP=B に対応)。

したがって「辺 ABAB 上にちょうど2つ」となるのは,t0t_0 が t=1t=1 とは異なる値として0≦t0≦10\le t_0\le1 を満たすとき,すなわち 0≦t0<1すなわち0≦b2−a2c2<1すなわちa2≦b2<a2+c2(∵c2>0)\displaystyle 0\le t_0<1\quad\text{すなわち}\quad 0\le\frac{b^2-a^2}{c^2}<1\quad\text{すなわち}\quad a^2\le b^2<a^2+c^2\qquad(\because c^2>0) のときであり,かつそのときに限る。

(補足:t0=1t_0=1,すなわち b2=a2+c2b^2=a^2+c^2 のときは (∗)(*) が t=1t=1 を重解にもち,得られる点は P=BP=B の1つのみで「ちょうど2つ」を満たさない。t0<0t_0<0,すなわち b<ab<a のときは 0≦t≦10\le t\le1 の範囲の解は t=1t=1 のみで点は1つ。t0>1t_0>1,すなわち b2>a2+c2b^2>a^2+c^2 のときも 0≦t≦10\le t\le1 の範囲の解は t=1t=1 のみで点は1つである。したがって上の不等式が過不足のない条件である。)

この不等式を辺の大小・角の大小に翻訳する。まず a,b>0a,b>0 より a2≦b2すなわちa≦b.a^2\le b^2\quad\text{すなわち}\quad a\le b. 三角形においては大きい辺の対角が大きい角であるという性質(三角形の辺と角の大小関係)により, a≦bすなわち∠A≦∠B.a\le b\quad\text{すなわち}\quad \angle A\le\angle B. 次に,三角形 ABCABC に余弦定理を用いると cos⁡B=a2+c2−b22ac\displaystyle \cos B=\frac{a^2+c^2-b^2}{2ac} であるから,a,c>0a,c>0 より b2<a2+c2すなわちa2+c2−b2>0すなわちcos⁡B>0すなわち0∘<∠B<90∘.b^2<a^2+c^2\quad\text{すなわち}\quad a^2+c^2-b^2>0\quad\text{すなわち}\quad\cos B>0\quad\text{すなわち}\quad 0^\circ<\angle B<90^\circ. 以上より,求める条件は ∠A≦∠B<90∘.\boxed{\angle A\le\angle B<90^\circ}.

(検算)

・ 正三角形(a=b=ca=b=c,∠A=∠B=60∘\angle A=\angle B=60^\circ)は条件 ∠A≦∠B<90∘\angle A\le\angle B<90^\circ を満たす。実際 (1)で a=b=ca=b=c とすると CP2=a2(t2−t+1)CP^2=a^2(t^2-t+1) となり,CP=aCP=a から t2−t=0t^2-t=0,t=0,1t=0,1。ともに 0≦t≦10\le t\le1 の範囲で異なる値なので P=A,BP=A,B の2点となり,条件と一致する。

・ a=3, c=4, b=5a=3,\ c=4,\ b=5(b2=a2+c2=25b^2=a^2+c^2=25 より ∠B=90∘\angle B=90^\circ)のとき,t0=(25−9)/16=1t_0=(25-9)/16=1 で t=1t=1 と重なり,点は P=BP=B の1つのみ。境界 ∠B=90∘\angle B=90^\circ が除外されることと整合する。

・ a=3, b=2, c=2a=3,\ b=2,\ c=2(辺の大小から ∠B<∠A\angle B<\angle A)のとき,t0=(4−9)/4=−5/4<0t_0=(4-9)/4=-5/4<0 で不適,0≦t≦10\le t\le1 の範囲の解は t=1t=1 のみで点は1つ。条件 ∠A≦∠B\angle A\le\angle B が破れることと整合する。

いずれも上記の結論と矛盾しない。

この問題で使う考え方

  • 余弦定理
  • 二次方程式の因数分解と解の条件
  • 辺と角の大小関係

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