以下,a>0(円の半径)とする。
(1) 円が滑らずに角 t だけ回転する間に,接点は x 軸上を弧の長さぶんだけ進む。半径 a の円が角 t だけ回転すると弧長は at だから,回転後の円の中心は C(t)=(at, a) である。
点 P は時刻 t=0 で原点 (0,0) にあり,このとき中心 C(0)=(0,a) から P へ向かうベクトルは C(0)P(0)=(0,−a) であり,これは(x 軸正方向を基準に反時計回りに測った)偏角 −2π の方向である。
円は x 軸上を x の正方向へ滑らずに転がるので,円自身は時計回りに回転する。よって角 t だけ転がった時点で,中心から P へ向かうベクトルの偏角は −2π−t となり, C(t)P(t)=(acos(−2π−t), asin(−2π−t)) 偶奇性と加法定理より cos(−2π−t)=cos(2π+t)=−sint,sin(−2π−t)=−sin(2π+t)=−cost したがって C(t)P(t)=(−asint, −acost). したがって P(t)=C(t)+C(t)P(t)=(at−asint, a−acost) P(t)=(a(t−sint), a(1−cost)) (検算)t=0 で P=(0,0),t=π で P=(aπ,2a)(円の直径の高さでサイクロイドの頂点として妥当),t=2π で P=(2πa,0) となり,図形の直感と整合する。
(2) x(t)=a(t−sint), y(t)=a(1−cost) とおく。 dtdx=a(1−cost)≧0(0≦t≦2π) であり,等号は t=0,2π のみで成り立つから,x は 0≦t≦2π で単調増加。よって曲線 C は 0≦x≦2πa の範囲で y を x の関数として与え,C と x 軸で囲まれる部分の面積は S=∫02πaydx=∫02πy(t)dtdxdt=∫02πa(1−cost)⋅a(1−cost)dt=a2∫02π(1−cost)2dt. 倍角公式 cos2t=21+cos2t より (1−cost)2=1−2cost+cos2t=23−2cost+21cos2t. これを 0 から 2π まで積分すると,cost, cos2t はいずれも整数周期分ちょうど積分され 0 になるから ∫02π(23−2cost+21cos2t)dt=23⋅2π−0+0=3π. よって S=3πa2 (検算)サイクロイド1山の面積は生成円の面積 πa2 の3倍になることが知られており,3πa2 はこれと一致する。
(3) 曲線の長さの公式より L=∫02π(dtdx)2+(dtdy)2dt. dtdx=a(1−cost), dtdy=asint であるから (dtdx)2+(dtdy)2=a2(1−cost)2+a2sin2t=a2(1−2cost+cos2t+sin2t)=2a2(1−cost). 半角公式 1−cost=2sin22t を用いると (dtdx)2+(dtdy)2=4a2sin22t. 0≦t≦2π のとき 0≦2t≦π なので sin2t≧0,よって (dtdx)2+(dtdy)2=2asin2t. したがって L=∫02π2asin2tdt=2a[−2cos2t]02π=2a(−2cosπ+2cos0)=2a(2+2)=8a. L=8a (検算)サイクロイド1山の長さは生成円の半径 a の8倍になることが知られており,8a はこれと一致する。また次元的にも長さは a に比例しており妥当である。
中心の移動と円の時計回り回転を合わせてサイクロイドを表す。面積は媒介変数で積分し、長さは速さを積分する。誤った三角関数展開の一文を除き、偶奇性と加法定理で座標成分を明示する。