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広島大学/2003年度/前期

広島大学 2003年 数学 第4問解答・解説

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1問題

広島大学2003年度第4問

F君はG君の投げるボールを確率 p (0<p<1)p\ (0<p<1) でヒットにする。自然数 nn に対して,1から nn までの数字を1つずつ記入した nn 枚のカードが入った箱 BnB_n がある。G君が箱 BnB_n から勝手にカードを1枚引いて,カードに書かれている数字の回数だけF君にボールを投げる試行を考える。

(1) 箱 BkB_k を用いた試行でF君が kk 本ヒットを打つ確率を qkq_k,また箱 Bk+1B_{k+1} を用いた試行でF君が kk 本ヒットを打つ確率を rkr_k とするとき,(k+1)rk−kqk(k+1)r_k-kq_k を p,kp,k を用いて表せ。

(2) 箱 BkB_k を用いた試行でF君が jj 本ヒットを打つ確率を qj (0≦j≦k)q_j\ (0\leq j\leq k),箱 Bk+1B_{k+1} を用いた試行でF君が jj 本ヒットを打つ確率を rj (0≦j≦k+1)r_j\ (0\leq j\leq k+1) とするとき,(k+1)rj−kqj (0≦j≦k)(k+1)r_j-kq_j\ (0\leq j\leq k) を p,k,jp,k,j を用いて表せ。

(3) 箱 BnB_n を用いた試行でF君が jj 本ヒットを打つ確率を pj (0≦j≦n)p_j\ (0\leq j\leq n) とし,α=pt+1−p\alpha=pt+1-p とすると,変数 tt に関して次の等式が成り立つことを示せ。 p0+p1t+p2t2+⋯+pntn=1n(α+α2+⋯+αn)\displaystyle p_0+p_1t+p_2t^2+\cdots+p_nt^n=\frac{1}{n}(\alpha+\alpha^2+\cdots+\alpha^n)

(4) 箱 BnB_n を用いた試行において,F君が打つヒットの数の期待値 EE を n,pn,p を用いて表せ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2考え方

考え方を見る解き方の方針だけを確かめる

カードに書かれた数字mで条件づけ、ヒット数をm回の独立試行として扱う。確率の差はカードm=k+1の項として取り出し、確率母関数と期待値はmについて平均する。

3答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1)  (k+1)pk(1−p),(2)  (k+1j)pj(1−p)k+1−j(0≦j≦k),(3)  ∑j=0npjtj=1n∑m=1nαm=1n(α+α2+⋯+αn),(4)  E=n+12p.\displaystyle \begin{aligned} (1)\;&(k+1)p^k(1-p),\\ (2)\;&\binom{k+1}{j}p^j(1-p)^{k+1-j}\quad(0\le j\le k),\\ (3)\;&\sum\limits _{j=0}^{n}p_jt^j=\frac1n\sum\limits _{m=1}^{n}\alpha^m =\frac1n(\alpha+\alpha^2+\cdots+\alpha^n),\\ (4)\;&E=\frac{n+1}{2}p. \end{aligned}

4解答

解答を見る途中式つきの解答

カードに書かれた数字が mm のとき、F君は mm 回投げる。各投球は確率 pp でヒットとなるので、jj 本ヒットを打つ確率を Pm(j)=(mj)pj(1−p)m−j(0≦j≦m)\displaystyle P_m(j)=\binom{m}{j}p^j(1-p)^{m-j}\quad(0\le j\le m) とおく。j>mj>m のときは Pm(j)=0P_m(j)=0 とする。

(1) 箱 BkB_k では、kk 本ヒットを打つにはカード kk を引いて全投球をヒットにする必要がある。したがって qk=1kpk.\displaystyle q_k=\frac1k p^k. 箱 Bk+1B_{k+1} で kk 本ヒットを打つのは、カード kk を引いて全投球をヒットにする場合、またはカード k+1k+1 を引いてちょうど1回失敗する場合である。よって rk=1k+1(pk+(k+1k)pk(1−p)).\displaystyle r_k=\frac1{k+1}\left(p^k+\binom{k+1}{k}p^k(1-p)\right). したがって (k+1)rk−kqk=pk+(k+1)pk(1−p)−pk=(k+1)pk(1−p).(k+1)r_k-kq_k =p^k+(k+1)p^k(1-p)-p^k =(k+1)p^k(1-p).

(2) カードの数字ごとに確率を足すと qj=1k∑m=1kPm(j),rj=1k+1∑m=1k+1Pm(j).\displaystyle q_j=\frac1k\sum\limits _{m=1}^{k}P_m(j),\qquad r_j=\frac1{k+1}\sum\limits _{m=1}^{k+1}P_m(j). よって、最初の kk 項が相殺され、 (k+1)rj−kqj=Pk+1(j)=(k+1j)pj(1−p)k+1−j(0≦j≦k).\displaystyle (k+1)r_j-kq_j=P_{k+1}(j) =\binom{k+1}{j}p^j(1-p)^{k+1-j}\quad(0\le j\le k).

(3) カードの数字が mm のときのヒット数の確率母関数は、二項定理より ∑j=0mPm(j)tj=∑j=0m(mj)(pt)j(1−p)m−j=(1−p+pt)m=αm.\displaystyle \sum\limits _{j=0}^{m}P_m(j)t^j =\sum\limits _{j=0}^{m}\binom{m}{j}(pt)^j(1-p)^{m-j} =(1-p+pt)^m=\alpha^m. カードの数字 mm は 1,…,n1,\ldots,n から等確率で選ばれるので、全確率を平均すれば ∑j=0npjtj=1n∑m=1n∑j=0mPm(j)tj=1n∑m=1nαm=1n(α+α2+⋯+αn).\displaystyle \sum\limits _{j=0}^{n}p_jt^j =\frac1n\sum\limits _{m=1}^{n}\sum\limits _{j=0}^{m}P_m(j)t^j =\frac1n\sum\limits _{m=1}^{n}\alpha^m =\frac1n(\alpha+\alpha^2+\cdots+\alpha^n). これで示された。

(4) カードの数字が mm のとき、各投球のヒットを表す確率変数の期待値は pp であるから、ヒット数の期待値は mpmp である。カードの数字が 1,…,n1,\ldots,n から等確率で選ばれることより E=1n∑m=1nmp=pn⋅n(n+1)2=n+12p.\displaystyle E=\frac1n\sum\limits _{m=1}^{n}mp =\frac{p}{n}\cdot\frac{n(n+1)}2 =\frac{n+1}{2}p.

この問題で使う考え方

  • 組合せ
  • 確率の基本法則
  • 独立な試行
  • 期待値
  • 二項分布

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