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広島大学/2003年度/前期

広島大学 2003年 数学 第5問解答・解説

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1問題

広島大学2003年度第5問

a,ba,b を a2−4b<0a^2-4b<0 を満たす実数とする。

(1) 実数を成分とする2次の正方行列 X=(xyzw)X=\begin{pmatrix}x&y\\z&w\end{pmatrix} が等式 (∗)X2−aX+bE=O(*)\quad X^2-aX+bE=O を満たすならば, x+w=a,xw−yz=bx+w=a,\qquad xw-yz=b が成り立つことを示せ。ただし,OO は2次の零行列であり,EE は2次の単位行列である。

(2) 等式 (*) を満たす実数を成分とする2次の正方行列全体の集合を SS とする。SS に属する行列 X=(xyzw)X=\begin{pmatrix}x&y\\z&w\end{pmatrix} に対し,次の不等式が成り立つことを示せ。 (∗∗)x2+y2+z2+w2≧2b(**)\quad x^2+y^2+z^2+w^2\geq2b また,等号が成り立つときの XX を a,ca,c を用いて表せ。ただし,c=b−a24\displaystyle c=\sqrt{b-\frac{a^2}{4}} とする。

(3) A,BA,B を不等式 (**) において等号が成り立つ SS に属する2つの相異なる行列とする。このとき, (X−A)(X−B)=O(X-A)(X-B)=O を満たす SS に属する行列 XX は AA または BB であることを示せ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • x+w=a,xw−yz=b;x2+y2+z2+w2≧2b,X=(a/2c−ca/2) or X=(a/2−cca/2);(X−A)(X−B)=O, X∈S⟹X=A or X=B.\boxed{x+w=a,\quad xw-yz=b};\qquad \boxed{x^2+y^2+z^2+w^2\ge2b,\quad X=\begin{pmatrix}a/2&c\\-c&a/2\end{pmatrix} \text{ or } X=\begin{pmatrix}a/2&-c\\c&a/2\end{pmatrix}};\qquad \boxed{(X-A)(X-B)=O,\space{}X\in S\Longrightarrow X=A\text{ or }X=B}.

3解答

解答を見る途中式つきの解答

解答

c=b−a24\displaystyle c=\sqrt{b-\dfrac{a^2}{4}}とおく。条件a2−4b<0a^2-4b<0よりc>0c>0である。

agraph{(1)} X2−aX+bE=OX^2-aX+bE=Oを成分で書くと {x2+yz−ax+b=0,y(x+w−a)=0,z(x+w−a)=0,w2+yz−aw+b=0.\begin{cases} x^2+yz-ax+b=0,\\ y(x+w-a)=0,\\ z(x+w-a)=0,\\ w^2+yz-aw+b=0. \end{cases} もしy=z=0y=z=0なら、第1式はx2−ax+b=0x^2-ax+b=0となる。しかし判別式a2−4ba^2-4bは負なので、実数xxでは成り立たない。従ってy,zy,zの少なくとも一方は0でなく、第2・第3式から x+w=ax+w=a を得る。これを第1式に代入すると 0=x2+yz−(x+w)x+b=yz−xw+b0=x^2+yz-(x+w)x+b=yz-xw+b だから xw−yz=b.xw-yz=b.

agraph{(2)} (1)を用いて x2+y2+z2+w2−2b=x2+y2+z2+w2−2(xw−yz)=(x−w)2+(y+z)2≧0.\begin{aligned} x^2+y^2+z^2+w^2-2b &=x^2+y^2+z^2+w^2-2(xw-yz)\\ &=(x-w)^2+(y+z)^2\ge0. \end{aligned} よって不等式が成り立つ。等号成立条件はx=wx=wかつz=−yz=-yである。(1)よりx=w=a/2x=w=a/2であり、xw−yz=bxw-yz=bからy2=b−a2/4=c2y^2=b-a^2/4=c^2となる。従って等号候補は X+=(a/2c−ca/2),X−=(a/2−cca/2).X_+=\begin{pmatrix}a/2&c\\-c&a/2\end{pmatrix},\qquad X_-=\begin{pmatrix}a/2&-c\\c&a/2\end{pmatrix}. 実際、m=a/2m=a/2、J=(01−10)J=\begin{pmatrix}0&1\\-1&0\end{pmatrix}とするとJ2=−EJ^2=-Eで、X±=mE±cJX_\pm=mE\pm cJである。よって X±2−aX±+bE=(b−m2−c2)E=O,X_\pm^2-aX_\pm+bE=(b-m^2-c^2)E=O, なので両方ともSSに属する。

agraph{(3)} X∈SX\in Sなら(1)よりx+w=ax+w=aである。m=a/2m=a/2として Y=X−mE=(uyz−u)Y=X-mE=\begin{pmatrix}u&y\\z&-u\end{pmatrix} とおく。X=mE+YX=mE+YをX2−aX+bE=OX^2-aX+bE=Oに代入するとY2+c2E=OY^2+c^2E=O、すなわち u2+yz=−c2.u^2+yz=-c^2. また(2)より、相異なる等号行列A,BA,BはX+,X−X_+,X_-の二つである。11 または −1-1 の値をとる ε\varepsilon を用いて A=mE+εcJ,B=mE−εcJA=mE+\varepsilon cJ,\qquad B=mE-\varepsilon cJ と書ける。成分を掛け、u2+yz=−c2u^2+yz=-c^2を使うと (X−A)(X−B)=(Y−εcJ)(Y+εcJ)=(−εc(y+z)2εcu2εcuεc(y+z)).(X-A)(X-B) =(Y-\varepsilon cJ)(Y+\varepsilon cJ) =\begin{pmatrix} -\varepsilon c(y+z)&2\varepsilon cu\\ 2\varepsilon cu&\varepsilon c(y+z) \end{pmatrix}. これがOOだから、c>0c>0よりu=0, z=−yu=0,\ z=-yである。するとu2+yz=−c2u^2+yz=-c^2からy2=c2y^2=c^2、すなわちy=±cy=\pm c。よってX=X+X=X_+またはX−X_-、つまりX=AX=AまたはX=BX=Bである。

この問題で使う考え方

  • 二次方程式の判別式
  • 行列を用いた表現

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