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鹿児島大学/2010年度/前期

鹿児島大学 2010年 数学 第5問解答・解説

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1問題

鹿児島大学2010年度第5問

次の4問のうちから1問を選択して解答せよ。解答用紙の所定の欄に、解答する問題の番号を記入すること。  5-1 22次の正方行列 A,BA,B について、次の各問いに答えよ。

(1) 行列 A=(45bcd)\displaystyle A=\begin{pmatrix}\frac{4}{5}&b\\c&d\end{pmatrix} は原点のまわりの回転移動を表し、b>0b>0 である。行列 AA を求めよ。

(2) 行列 BB の表す移動(1次変換)に続いて行列 AA の表す移動を行うことで得られる合成移動(合成変換)は yy 軸に関する対称移動になる。行列 BB を求めよ。

(3) B(xy)=(xy)B\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix} を満たす点 (x,y)(x,y) の集まりは直線となることを示せ。また、その直線を表す式を求めよ。

(4) B(zw)=(21)B\begin{pmatrix}z\\w\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}2\\1\end{pmatrix} を満たす列ベクトル (zw)\begin{pmatrix}z\\w\end{pmatrix} を求めよ。また、この列ベクトルと自然数 nn に対し、Bn(zw)B^n\begin{pmatrix}z\\w\end{pmatrix} を求めよ。  5-2 x2−y2=2x^2-y^2=2 で表される曲線を CC とし、P(x0,y0)P(x_0,y_0) を CC 上の点とする。次の各問いに答えよ。

(1) 曲線 CC の点 PP における接線 ll の方程式は x0x−y0y=2x_0x-y_0y=2 となることを証明せよ。

(2) 原点 OO から ll に下ろした垂線を OHOH とする。HH の座標を (x1,y1)(x_1,y_1) とするとき、x1,y1x_1,y_1 を x0,y0x_0,y_0 で表せ。

(3) F(1,0),F′(−1,0)F(1,0),F'(-1,0) とする。FH⋅F′HFH\cdot F'H は点 PP の取り方によらず一定であることを証明せよ。また、その値を求めよ。  5-3 袋の中に1の数字が書かれている球が5個、2の数字が書かれている球が3個、5の数字が書かれている球が2個の合計10個の球が入っている。1個の球を取り出して、その球に書かれている数を確認し、もとに戻すことを繰り返す。ii 回目に取り出した球に書かれている数を XiX_i とする。このとき、次の各問いに答えよ。

(1) X1X_1 の確率分布を表で表せ。また、X1X_1 の平均と分散を求めよ。

(2) Z=X1+X2Z=X_1+X_2 の確率分布を表で表せ。また、確率 P(Z≦4)P(Z\leq4) の値を求めよ。

(3) W=X1−X2W=X_1-X_2 とするとき、 P(W≦a)≦P(Z≦4)P(W\leq a)\leq P(Z\leq4) を満たす整数 aa の最大値を求めよ。

(4) S=X1+X2+⋯+XnS=X_1+X_2+\cdots+X_n が n+1n+1 となる確率を求めよ。  5-4 数字1が書かれたカードが1枚、数字2が書かれたカードが2枚、数字3が書かれたカードが1枚の合計4枚のカードがある。この4枚のカードを母集団とし、カードに書かれている数字を変量とする。このとき、次の各問いに答えよ。ただし、母集団の中から標本を抽出するのに、毎回もとに戻してから次のものを1個ずつ取り出すことを復元抽出といい、取り出したものをもとに戻さずに続けて抽出することを非復元抽出という。

(1) 母平均 mm と母標準偏差 σ\sigma を求めよ。

(2) この母集団から、非復元抽出によって、大きさ2の無作為標本を抽出し、そのカードの数字を取り出した順に Y1,Y2Y_1,Y_2 とする。標本平均 Y‾=Y1+Y22\displaystyle \overline{Y}=\frac{Y_1+Y_2}{2} の確率分布、期待値 E(Y‾)E(\overline{Y})、標準偏差 σ(Y‾)\sigma(\overline{Y}) を求めよ。

(3) この母集団から、復元抽出によって、大きさ200の無作為標本を抽出し、その標本平均を X‾\overline{X} とする。このとき、標本平均 X‾\overline{X} が近似的に正規分布に従うとみなすことができるとして、P(X‾<a)=0.05P(\overline{X}<a)=0.05 を満たす定数 aa を求めよ。ただし、確率変数 ZZ が標準正規分布 N(0,1)N(0,1) に従うとき、P(Z>1.65)=0.05P(Z>1.65)=0.05 とする。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2解答

解答を見る答えはこの解答の中にあります

5-1 (1)  原点のまわりの回転角を θ\theta とする。2点の移動先は(1,0)⟼(cos⁡θ,sin⁡θ),(0,1)⟼(−sin⁡θ,cos⁡θ).\begin{aligned}(1,0)&\longmapsto(\cos\theta,\sin\theta),\\(0,1)&\longmapsto(-\sin\theta,\cos\theta).\end{aligned}したがってcos⁡θ=4/5,b=−sin⁡θ,c=sin⁡θ,d=cos⁡θ.\cos\theta=4/5,\quad b=-\sin\theta,\quad c=\sin\theta,\quad d=\cos\theta.sin⁡2θ+cos⁡2θ=1\sin^2\theta+\cos^2\theta=1 と b>0b>0 より sin⁡θ=−3/5\sin\theta=-3/5 なので、 A=(4535−3545).\displaystyle A=\begin{pmatrix}\frac45&\frac35\\-\frac35&\frac45\end{pmatrix}.

5-1 (2)  点 (x,y)(x,y) を BB によって移した点を (u,v)(u,v) とする。さらに AA によって移すと yy 軸に関する対称点 (−x,y)(-x,y) になるので、 4u+3v=−5x,−3u+4v=5y.4u+3v=-5x,\qquad -3u+4v=5y. 第1式の4倍から第2式の3倍を引くと 25u=−20x−15y25u=-20x-15y、第1式の3倍と第2式の4倍を加えると 25v=−15x+20y25v=-15x+20y となる。よって u=−45x−35y,v=−35x+45y,\displaystyle u=-\frac45x-\frac35y,\qquad v=-\frac35x+\frac45y, であり、求める行列は B=(−45−35−3545).\displaystyle B=\begin{pmatrix}-\frac45&-\frac35\\-\frac35&\frac45\end{pmatrix}.

5-1 (3)  条件 B(xy)=(xy)\displaystyle B\binom xy=\binom xy は −4x−3y=5x,−3x+4y=5y-4x-3y=5x,\qquad -3x+4y=5y と同値である。どちらも 3x+y=03x+y=0 となる。したがって、条件を満たす点は任意の実数 tt に対する (t,−3t)(t,-3t) であり、その集まりは直線 y=−3xy=-3x である。

5-1 (4)  条件を成分で表すと −4z−3w=10,−3z+4w=5.-4z-3w=10,\qquad -3z+4w=5. 第1式の4倍と第2式の3倍を加えると −25z=55-25z=55 となる。これを第2式に代入して、 (zw)=(−11/5−2/5)\displaystyle \binom zw=\binom{-11/5}{-2/5} を得る。また、成分を直接計算すると B(−11/5−2/5)=(21),B(21)=(−11/5−2/5).\displaystyle B\binom{-11/5}{-2/5}=\binom21,\qquad B\binom21=\binom{-11/5}{-2/5}. したがって、BB の表す移動を繰り返すとこの2点が交互に現れる。自然数 nn に対し、 Bn(zw)={(21)n が奇数のとき,(−11/5−2/5)n が偶数のとき.\displaystyle B^n\binom zw= \begin{cases} \binom21&n\text{ が奇数のとき},\\ \binom{-11/5}{-2/5}&n\text{ が偶数のとき}. \end{cases}

5-2 (1)  x02−y02=2x_0^2-y_0^2=2 より x0≠0x_0\ne0 である。x0>0x_0>0 のとき ε=1\varepsilon=1、x0<0x_0<0 のとき ε=−1\varepsilon=-1 とおく。点 PP を含む曲線の枝は、yy に対して xx を関数とみると x=f(y)=εy2+2x=f(y)=\varepsilon\sqrt{y^2+2} で表される。微分すると f′(y)=εyy2+2=yf(y),f′(y0)=y0x0.\displaystyle f'(y)=\frac{\varepsilon y}{\sqrt{y^2+2}}=\frac{y}{f(y)},\qquad f'(y_0)=\frac{y_0}{x_0}. よって点 PP における接線は x−x0=y0x0(y−y0).\displaystyle x-x_0=\frac{y_0}{x_0}(y-y_0). 両辺に x0x_0 を掛け、x02−y02=2x_0^2-y_0^2=2 を用いると l:x0x−y0y=2l:\quad x_0x-y_0y=2 となる。この導出は y0=0y_0=0 の場合も含み、そのとき接線は垂直線 x=x0x=x_0 である。

5-2 (2)  直線 ll の法線ベクトルは (x0,−y0)(x_0,-y_0) である。OHOH は ll に垂直なので、ある実数 tt を用いて (x1,y1)=t(x0,−y0)(x_1,y_1)=t(x_0,-y_0) と表せる。HH は ll 上にあるから t(x02+y02)=2.t(x_0^2+y_0^2)=2. x02+y02≧2x_0^2+y_0^2\ge2 なので、 x1=2x0x02+y02,y1=−2y0x02+y02.\displaystyle x_1=\frac{2x_0}{x_0^2+y_0^2},\qquad y_1=-\frac{2y_0}{x_0^2+y_0^2}.

5-2 (3)  s=x02+y02s=x_0^2+y_0^2 とおくと、s≧2s\ge2、x02=(s+2)/2x_0^2=(s+2)/2 である。(2)より x12+y12=4s,x12=4x02s2.\displaystyle x_1^2+y_1^2=\frac4s,\qquad x_1^2=\frac{4x_0^2}{s^2}. 指定された2点 F(1,0),F′(−1,0)F(1,0),F'(-1,0) までの距離を計算すると、 (FH⋅F′H)2=((x1−1)2+y12)((x1+1)2+y12)=(x12+y12+1)2−4x12=(1+4s)2−16x02s2=(s+4)2−8(s+2)s2=1.\displaystyle \begin{aligned} (FH\cdot F'H)^2 &=\bigl((x_1-1)^2+y_1^2\bigr)\bigl((x_1+1)^2+y_1^2\bigr)\\ &=(x_1^2+y_1^2+1)^2-4x_1^2\\ &=\left(1+\frac4s\right)^2-\frac{16x_0^2}{s^2}\\ &=\frac{(s+4)^2-8(s+2)}{s^2}=1. \end{aligned} 距離の積は非負なので FH⋅F′H=1FH\cdot F'H=1 となり、PP の取り方によらず一定である。

5-3 (1)  球の個数から、X1X_1 の確率分布は x125P(X1=x)1231015\displaystyle \begin{array}{c|ccc} x&1&2&5\\\hline P(X_1=x)&\frac12&\frac3{10}&\frac15 \end{array} である。平均は E(X1)=1⋅12+2⋅310+5⋅15=2110.\displaystyle E(X_1)=1\cdot\frac12+2\cdot\frac3{10}+5\cdot\frac15=\frac{21}{10}. また、 E(X12)=12⋅12+22⋅310+52⋅15=6710\displaystyle E(X_1^2)=1^2\cdot\frac12+2^2\cdot\frac3{10}+5^2\cdot\frac15=\frac{67}{10} なので、分散は V(X1)=6710−(2110)2=229100.\displaystyle V(X_1)=\frac{67}{10}-\left(\frac{21}{10}\right)^2=\frac{229}{100}.

5-3 (2)  各回は復元抽出なので、X1,X2X_1,X_2 は独立である。値の和ごとの組合せを数える。

Z=2Z=2 は (1,1)(1,1)。

Z=3Z=3 は (1,2),(2,1)(1,2),(2,1)。

Z=4Z=4 は (2,2)(2,2)。

Z=6Z=6 は (1,5),(5,1)(1,5),(5,1)。

Z=7Z=7 は (2,5),(5,2)(2,5),(5,2)。

Z=10Z=10 は (5,5)(5,5) の場合に限られる。独立性より z2346710P(Z=z)14310910015325125\displaystyle \begin{array}{c|cccccc} z&2&3&4&6&7&10\\\hline P(Z=z)&\frac14&\frac3{10}&\frac9{100}&\frac15&\frac3{25}&\frac1{25} \end{array} となる。特に P(Z≦4)=14+310+9100=1625.\displaystyle P(Z\le4)=\frac14+\frac3{10}+\frac9{100}=\frac{16}{25}.

5-3 (3)  独立な2回の抽出の差を数えると、WW の分布は w−4−3−10134P(W=w)1103503201950320350110\displaystyle \begin{array}{c|ccccccc} w&-4&-3&-1&0&1&3&4\\\hline P(W=w)&\frac1{10}&\frac3{50}&\frac3{20}&\frac{19}{50}&\frac3{20}&\frac3{50}&\frac1{10} \end{array} である。したがって P(W≦−1)=110+350+320=31100≦1625,\displaystyle P(W\le-1)=\frac1{10}+\frac3{50}+\frac3{20}=\frac{31}{100}\le\frac{16}{25}, 一方、 P(W≦0)=31100+1950=69100>1625.\displaystyle P(W\le0)=\frac{31}{100}+\frac{19}{50}=\frac{69}{100}>\frac{16}{25}. P(W≦a)P(W\le a) は aa が増えると減少しないため、0以上の整数はすべて条件を満たさない。よって求める最大値は a=−1a=-1 である。

5-3 (4)  すべての XiX_i は1以上である。各 XiX_i の1からの増分は 0,1,40,1,4 なので、和が n+1n+1 になるには、ちょうど1回だけ2を取り出し、他の n−1n-1 回はすべて1を取り出す必要がある。2を取り出す位置は nn 通りで、各場合は互いに排反である。よって P(S=n+1)=n⋅310(12)n−1.\displaystyle P(S=n+1)=n\cdot\frac3{10}\left(\frac12\right)^{n-1}.

5-4 (1)  母平均は m=1+2+2+34=2.\displaystyle m=\frac{1+2+2+3}{4}=2. 母分散は σ2=(1−2)2+(2−2)2+(2−2)2+(3−2)24=12\displaystyle \sigma^2=\frac{(1-2)^2+(2-2)^2+(2-2)^2+(3-2)^2}{4}=\frac12 なので、母標準偏差は σ=1/2\sigma=1/\sqrt2 である。

5-4 (2)  数字2のカード2枚も区別して数える。非復元抽出の順序付き標本は 4⋅3=124\cdot3=12 通りあり、同様に確からしい。標本平均が 3/23/2 となるのは1と2のカードを選ぶ4通り、2となるのは1と3のカードを選ぶ2通りと2のカード2枚を選ぶ2通り、5/25/2 となるのは2と3のカードを選ぶ4通りである。したがって y32252P(Y‾=y)131313\displaystyle \begin{array}{c|ccc} y&\frac32&2&\frac52\\\hline P(\overline Y=y)&\frac13&\frac13&\frac13 \end{array} となる。期待値は E(Y‾)=13(32+2+52)=2.\displaystyle E(\overline Y)=\frac13\left(\frac32+2+\frac52\right)=2. 分散と標準偏差は V(Y‾)=13{(32−2)2+(2−2)2+(52−2)2}=16,σ(Y‾)=16.\displaystyle V(\overline Y)=\frac13\left\{\left(\frac32-2\right)^2+(2-2)^2+\left(\frac52-2\right)^2\right\}=\frac16,\qquad \sigma(\overline Y)=\frac1{\sqrt6}.

5-4 (3)  復元抽出による標本平均の平均は母平均2と等しく、標準偏差は σ200=1/2200=120.\displaystyle \frac{\sigma}{\sqrt{200}}=\frac{1/\sqrt2}{\sqrt{200}}=\frac1{20}. 問題の仮定により、X‾\overline X は平均2、分散 1/4001/400 の正規分布で近似できる。標準正規分布の対称性と P(Z>1.65)=0.05P(Z>1.65)=0.05 から P(Z<−1.65)=0.05P(Z<-1.65)=0.05 である。したがって、与えられた近似のもとで a−21/20=−1.65,a=2−1.6520=767400=1.9175.\displaystyle \frac{a-2}{1/20}=-1.65, \qquad a=2-\frac{1.65}{20}=\frac{767}{400}=1.9175.

この問題で使う考え方

  • 回転行列と合成変換
  • 連立一次方程式・成分計算
  • 暗黙微分と接線
  • 座標による距離計算
  • 独立試行の確率表
  • 場合の数・期待値
  • 標本標準偏差と正規近似

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