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鹿児島大学/2011年度/前期

鹿児島大学 2011年 数学 第5問解答・解説

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1問題

鹿児島大学2011年度第5問

次の4問のうちから1問を選択して解答せよ。解答用紙の所定の欄に,解答する問題の番号を記入すること。

5-1 次の行列 AA を考える。A=(−22−20)A=\begin{pmatrix}-2&2\\-2&0\end{pmatrix} 次の各問いに答えよ。

(1) 2×22\times2 行列 XX に対して,E−XE-X が逆行列を持つとき,E+X+X2+⋯+Xn=(E−Xn+1)(E−X)−1E+X+X^{2}+\dots+X^{n}=(E-X^{n+1})(E-X)^{-1} が成立することを示せ。ただし,EE は 2×22\times2 の単位行列である。

(2) A2A^{2} と A3A^{3} を計算せよ。さらに A100A^{100} と A101A^{101} を計算せよ。

(3) E+A+A2+⋯+A100E+A+A^{2}+\cdots+A^{100} を計算せよ。

5-2 曲線 CC は極方程式 r=2cos⁡θr=2\cos\theta で定義されているとする。このとき,次の各問いに答えよ。

(1) 曲線 CC を直交座標 (x,y)(x,y) に関する方程式で表し,さらに図示せよ。

(2) 点 (−1,0)(-1,0) を通る傾き kk の直線を考える。この直線が曲線 CC と2点で交わるような kk の値の範囲を求めよ。

(3) (2)のもとで,2交点の中点の軌跡を求めよ。

5-3 大小2個のさいころを同時に投げる試行を考える。この試行で,大きいさいころの出た目を XX,小さいさいころの出た目を YY とする。T=2X−YT=2X-Y とするとき,次の各問いに答えよ。

(1) 確率 P(T=6)P(T=6),P(T≧0)P(T\geq0) を求めよ。

(2) 分散 V(X)V(X),平均 E(T)E(T) を求めよ。

(3) V(aT)=25V(aT)=25 となる定数 aa の値を求めよ。

5-4 次の各問いに答えよ。

(1) 確率変数 XX は0以上3以下の値をとり,その確率密度関数 f(x)f(x) は次で与えられているとする。このとき,定数 kk,平均 E(X)E(X) を求めよ。f(x)={12(0≦x<1のとき),−14x+k(1≦x≦3のとき).\displaystyle f(x)=\begin{cases}\frac{1}{2}&(0\leq x<1\text{のとき}),\\-\frac{1}{4}x+k&(1\leq x\leq3\text{のとき}).\end{cases}

(2) ZZ を標準正規分布 N(0,1)N(0,1) に従う確率変数とする。また,任意の x  (x≧0)x\;(x\geq0) に対して,関数 g(x)g(x) を g(x)=P(0≦Z≦x)g(x)=P(0\leq Z\leq x) とおく。このとき,次の各問いに答えよ。

(a) 確率 P(a≦Z≦b)P(a\leq Z\leq b) を関数 gg で表せ。ただし,aa と bb は定数で a<ba<b とする。

(b) 母平均50,母標準偏差 3103\sqrt{10} の母集団から大きさ10の標本を抽出するとき,標本平均が41.0以上48.5以下になる確率を関数 gg で表せ。

(c) 0<p<10<p<1 とし,lpl_{p} は g(lp)=p2\displaystyle g(l_{p})=\frac{p}{2} をみたすものとする。母分散25の母集団から大きさ20の標本を抽出したところ,標本平均が45であった。母平均 mm に対する信頼度 100p%100p\% の信頼区間の区間幅を lpl_{p} を用いて表せ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • 原文の不足・矛盾が残るため、本文の形式計算や条件付きの値を、そのまま原問題の確定答案とは扱いません。確認できた小問・条件・範囲は以下の問題点欄と本文を参照してください。

3解答

解答を見る途中式つきの解答

大問5 解答(5-1~5-4の全選択肢)

5-1(1) 単元ラベル: 行列の累乗と等比和。  方法ラベル: 右からの積を展開して項を消去する。  使用公式・定理: 行列の積の分配法則、XjX=Xj+1X^jX=X^{j+1}。

論証・解答: (E+X+X2+⋯+Xn)(E−X)=(E+X+⋯+Xn)−(X+X2+⋯+Xn+1)=E−Xn+1.\begin{aligned} (E+X+X^2+\cdots+X^n)(E-X) &=(E+X+\cdots+X^n)-(X+X^2+\cdots+X^{n+1})\\ &=E-X^{n+1}. \end{aligned} ここで各項は同じ行列 XX の累乗なので、右側の積を展開したときに中間項が相殺する。仮定より E−XE-X は逆行列を持つから、両辺の右から (E−X)−1(E-X)^{-1} を掛ければ E+X+X2+⋯+Xn=(E−Xn+1)(E−X)−1E+X+X^2+\cdots+X^n=(E-X^{n+1})(E-X)^{-1} を得る。

5-1(2) 単元ラベル: 行列の積・累乗。  方法ラベル: 成分ごとの積和と、A3A^3 を使う指数の分解。  使用公式・定理: 行列積の定義、(A3)qAr=A3q+r(A^3)^qA^r=A^{3q+r}。

論証・解答: A2=((−2)(−2)+2(−2)(−2)2+2⋅0(−2)(−2)+0(−2)(−2)2+0⋅0)=(0−44−4).A^2=\begin{pmatrix} (-2)(-2)+2(-2)&(-2)2+2\cdot0\\ (-2)(-2)+0(-2)&(-2)2+0\cdot0 \end{pmatrix} =\begin{pmatrix}0&-4\\4&-4\end{pmatrix}. さらに A3=A2A=(8008)=8E.A^3=A^2A=\begin{pmatrix}8&0\\0&8\end{pmatrix}=8E. したがって 100=3⋅33+1100=3\cdot33+1、101=3⋅33+2101=3\cdot33+2 より A100=833A=(−21002100−21000),A101=833A2=(0−21012101−2101).\boxed{A^{100}=8^{33}A= \begin{pmatrix}-2^{100}&2^{100}\\-2^{100}&0\end{pmatrix}},\qquad \boxed{A^{101}=8^{33}A^2= \begin{pmatrix}0&-2^{101}\\2^{101}&-2^{101}\end{pmatrix}}.

5-1(3) 単元ラベル: 行列の累乗和。  方法ラベル: 3項ずつまとめ、スカラー等比数列の和を使う。  使用公式・定理: A3=8EA^3=8E、等比数列の和。

論証・解答: q=833q=8^{33}、r=(833−1)/7r=(8^{33}-1)/7 とおく。指数を3つずつまとめると E+A+⋯+A100=∑j=032(A3j+A3j+1+A3j+2)+A99+A100=r(E+A+A2)+q(E+A).\displaystyle \begin{aligned} E+A+\cdots+A^{100} &=\sum\limits _{j=0}^{32}(A^{3j}+A^{3j+1}+A^{3j+2})+A^{99}+A^{100}\\ &=r(E+A+A^2)+q(E+A). \end{aligned} ここで E+A+A2=(−1−22−3)E+A+A^2=\begin{pmatrix}-1&-2\\2&-3\end{pmatrix}、E+A=(−12−21)E+A=\begin{pmatrix}-1&2\\-2&1\end{pmatrix} だから E+A+A2+⋯+A100=17(1−8q12q+2−12q−24q+3),q=833.\displaystyle \boxed{ E+A+A^2+\cdots+A^{100} =\frac17\begin{pmatrix} 1-8q&12q+2\\ -12q-2&4q+3 \end{pmatrix},\qquad q=8^{33}.}

5-2(1) 単元ラベル: 極座標と直交座標。  方法ラベル: x=rcos⁡θ, y=rsin⁡θx=r\cos\theta,\ y=r\sin\theta を用いて変換する。  使用公式・定理: r2=x2+y2r^2=x^2+y^2。

論証・解答: r=2cos⁡θよりr2=2rcos⁡θ=2x,r=2\cos\theta\quad\text{より}\quad r^2=2r\cos\theta=2x, したがって x2+y2=2xすなわち(x−1)2+y2=1.\boxed{x^2+y^2=2x}\quad\text{すなわち}\quad \boxed{(x-1)^2+y^2=1}. 中心 (1,0)(1,0)、半径1の円である。図示すると、(0,0)(0,0) と (2,0)(2,0) を左右の端点とし、中心を (1,0)(1,0) にもつ円となる。

5-2(2) 単元ラベル: 円と直線の共有点。  方法ラベル: 直線を代入した二次方程式の判別式。  使用公式・定理: 二次方程式が異なる2実根をもつ条件 D>0D>0。

論証・解答: 点 (−1,0)(-1,0) を通る傾き kk の直線は y=k(x+1)y=k(x+1)。これを x2+y2=2xx^2+y^2=2x に代入すると (1+k2)x2+2(k2−1)x+k2=0.(1+k^2)x^2+2(k^2-1)x+k^2=0. その判別式は D=4(k2−1)2−4(1+k2)k2=4(1−3k2).D=4(k^2-1)^2-4(1+k^2)k^2=4(1-3k^2). 交点が異なる2点であるための条件は D>0D>0 なので −13<k<13.\displaystyle \boxed{-\frac1{\sqrt3}<k<\frac1{\sqrt3}}.

5-2(3) 単元ラベル: 二次方程式の解と軌跡。  方法ラベル: 解と係数の関係から中点を媒介変数表示する。  使用公式・定理: ヴィエタの公式、円の方程式。

論証・解答: 交点の xx 座標を x1,x2x_1,x_2 とすると、前問の二次方程式から x1+x2=2(1−k2)1+k2.\displaystyle x_1+x_2=\frac{2(1-k^2)}{1+k^2}. 中点を M=(u,v)M=(u,v) とおけば u=x1+x22=1−k21+k2,v=k(u+1)=2k1+k2.\displaystyle u=\frac{x_1+x_2}{2}=\frac{1-k^2}{1+k^2},\qquad v=k(u+1)=\frac{2k}{1+k^2}. よって u2+v2=1u^2+v^2=1。また ∣k∣<1/3|k|<1/\sqrt3 から u>1/2u>1/2 であり、k=0k=0 では (u,v)=(1,0)(u,v)=(1,0) を含む。したがって中点の軌跡は u2+v2=1,u>12\displaystyle \boxed{u^2+v^2=1,\quad u>\frac12} で表される単位円の右側の弧である。端点 (1/2,±3/2)(1/2,\pm\sqrt3/2) は含まない。

5-3(1) 単元ラベル: 離散型確率変数と確率。  方法ラベル: 36通りを等確率として条件を満たす組を数える。  使用公式・定理: 等確率の場合の確率は該当する場合の数を全場合の数で割る。

論証・解答: (X,Y)(X,Y) は36通りの順序対を等確率でとる。T=6T=6 は Y=2X−6Y=2X-6 であり、該当する組は (4,2),(5,4),(6,6)(4,2),(5,4),(6,6) の3通りだから P(T=6)=336=112.\displaystyle \boxed{P(T=6)=\frac3{36}=\frac1{12}}. T≧0T\ge0 は Y≦2XY\le2X。X=1,2X=1,2 のとき該当する YY はそれぞれ2通り、4通りであり、X=3,4,5,6X=3,4,5,6 では各6通り。合計30通りなので P(T≧0)=3036=56.\displaystyle \boxed{P(T\ge0)=\frac{30}{36}=\frac56}.

5-3(2) 単元ラベル: 期待値と分散。  方法ラベル: 一様分布の公式と期待値の線形性を使う。  使用公式・定理: V(X)=n2−112\displaystyle V(X)=\frac{n^2-1}{12}(1から nn の一様分布)、E(aX+bY)=aE(X)+bE(Y)E(aX+bY)=aE(X)+bE(Y)。

論証・解答: XX は1から6の一様分布だから V(X)=62−112=3512.\displaystyle \boxed{V(X)=\frac{6^2-1}{12}=\frac{35}{12}}. また E(X)=E(Y)=7/2E(X)=E(Y)=7/2 なので E(T)=2E(X)−E(Y)=72.\displaystyle \boxed{E(T)=2E(X)-E(Y)=\frac72}.

5-3(3) 単元ラベル: 分散の変換。  方法ラベル: 独立性で和の分散を求めてから定数倍する。  使用公式・定理: 独立な確率変数について V(U+W)=V(U)+V(W)V(U+W)=V(U)+V(W)、V(aU)=a2V(U)V(aU)=a^2V(U)。

論証・解答: さいころの目 X,YX,Y は独立で、同じ一様分布に従う。したがって V(T)=V(2X−Y)=4V(X)+V(Y)=5⋅3512=17512.\displaystyle V(T)=V(2X-Y)=4V(X)+V(Y)=5\cdot\frac{35}{12}=\frac{175}{12}. V(aT)=a2V(T)=25V(aT)=a^2V(T)=25 より a2=25⋅12175=127,a=±2217.\displaystyle a^2=\frac{25\cdot12}{175}=\frac{12}{7},\qquad \boxed{a=\pm\frac{2\sqrt{21}}7}.

5-4(1) 単元ラベル: 確率密度関数と連続型確率変数の期待値。  方法ラベル: 密度の積分を1に規格化し、xf(x)x f(x) を積分する。  使用公式・定理: ∫f(x) dx=1\displaystyle \int f(x)\,dx=1、E(X)=∫xf(x) dx\displaystyle E(X)=\int x f(x)\,dx。

論証・解答: 確率密度の全積分が1であることから 12+∫13(−x4+k)dx=12+(−1+2k)=1,\displaystyle \frac12+\int_1^3\left(-\frac{x}{4}+k\right)dx =\frac12+(-1+2k)=1, よって k=3/4\boxed{k=3/4}。平均は E(X)=∫01x2 dx+∫13x(−x4+34)dx=14+[−x312+3x28]13=14+56=1312.\displaystyle \begin{aligned} E(X)&=\int_0^1\frac{x}{2}\,dx+\int_1^3x\left(-\frac{x}{4}+\frac34\right)dx\\ &=\frac14+\left[-\frac{x^3}{12}+\frac{3x^2}{8}\right]_1^3 =\frac14+\frac56=\boxed{\frac{13}{12}}. \end{aligned}

5-4(2)(a) 単元ラベル: 標準正規分布の対称性。  方法ラベル: 区間を0の左右に分け、gg の差または和にする。  使用公式・定理: 標準正規分布の確率密度は偶関数である。

論証・解答: P(a≦Z≦b)={g(b)−g(a),0≦a<b,g(−a)−g(−b),a<b≦0,g(−a)+g(b),a<0<b.\boxed{ P(a\le Z\le b)= \begin{cases} g(b)-g(a),&0\le a<b,\\ g(-a)-g(-b),&a<b\le0,\\ g(-a)+g(b),&a<0<b. \end{cases}} 負の区間は標準正規分布の対称性で正の側へ移し、0をまたぐ場合は左右の確率を加える。端点が0の場合は上の該当する式を用いる。

5-4(2)(b) 単元ラベル: 標本平均の標準化と標準正規分布。  方法ラベル: 標本平均の標準誤差で標準化し、対称性で gg に直す。  使用公式・定理: E(Xˉ)=μE(\bar X)=\mu、SD⁡(Xˉ)=σ/n\operatorname{SD}(\bar X)=\sigma/\sqrt n(正規モデルまたは標準正規近似)。

論証・解答: 標本平均の平均は50、標準誤差は 31010=3.\displaystyle \frac{3\sqrt{10}}{\sqrt{10}}=3. 標準化すると、求める確率は P(−3≦Z≦−12)=P(12≦Z≦3)=g(3)−g(12).\displaystyle P\left(-3\le Z\le-\frac12\right) =P\left(\frac12\le Z\le3\right) =\boxed{g(3)-g\left(\frac12\right)}. この表現は設問の意図する標準正規モデル(または正規近似)での値である。母集団分布を指定せず平均と標準偏差だけを与えた場合、有限標本での厳密な確率はそれらだけからは定まらない。

5-4(2)(c) 単元ラベル: 母分散既知の母平均の信頼区間。  方法ラベル: 中央確率を lpl_p で表し、標準誤差を掛けて幅を求める。  使用公式・定理: 標準正規分布で −lp≦Z≦lp-l_p\le Z\le l_p となる確率は 2g(lp)2g(l_p)、標準誤差は σ/n\sigma/\sqrt n。

論証・解答: g(lp)=p/2g(l_p)=p/2 より P(−lp≦Z≦lp)=pP(-l_p\le Z\le l_p)=p。母標準偏差は5、標本の大きさは20なので標準誤差は 5/205/\sqrt{20}。標本平均45に対する区間は 45−520lp≦m≦45+520lp.\displaystyle 45-\frac5{\sqrt{20}}l_p\le m\le45+\frac5{\sqrt{20}}l_p. したがって区間幅は 2⋅520lp=5 lp.\displaystyle \boxed{2\cdot\frac5{\sqrt{20}}l_p=\sqrt5\,l_p}. ここでは母分散既知の標準正規による両側区間(母集団正規モデルまたは標準正規近似)を用いた。

この問題で使う考え方

  • 右からの積を展開して項を消去
  • 成分ごとの積和とA^3による指数分解
  • 3項ずつまとめてスカラー等比数列の和を用いる
  • x=r cos(theta), y=r sin(theta)で変換
  • 代入後の二次方程式の判別式
  • ヴィエタの公式で中点を媒介変数表示
  • 全36通りから条件を満たす順序対を数える
  • 一様分布の公式と期待値の線形性

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