(1)
s=3 とし、逆行列の候補を C=(uwvz) とおく。CP=I の成分を比較すると us+v=1,−us+v=0,ws+z=0,−ws+z=1 である。前の2式の和と差から v=21, u=2s1、後の2式の和と差から z=21, w=−2s1 を得る。したがって u=2s1,v=21,w=−2s1,z=21,C=(2s1−2s12121). 実際、 CP=(21+21−21+21−21+2121+21)=I,PC=(21+212s1−2s12s−2s21+21)=I. よって C=P−1 である。
次に、成分を掛けると AP=(2s+3s+23−2s2−s). s2=3、したがって 3/s=s を用いて左から C を掛けると P−1AP=C(AP)=(2+2s3+2s−2s3+2s2s3−2s2−2s3−2s)=(2+s002−s). したがって P−1=(231−2312121),B=(2+3002−3). PB=(s1−s1)(2+s002−s)=(2s+3s+23−2s2−s)=AP. 右から P−1 を掛け、PP−1=I を用いると A=PBP−1 である。
(2)
α=2+3, β=2−3 とおく。まず n=1 では A1=PB1P−1 である。ある n≧1 で An=PBnP−1 とすると、 An+1=AnA=PBnP−1PBP−1=PBnBP−1=PBn+1P−1. ここで P−1P=I を用いた。よって帰納法により An=PBnP−1(n≧1). B1=(α00β) である。Bn=(αn00βn) と仮定すると、成分を掛けて Bn+1=BnB=(αn+100βn+1). したがって帰納法により Bn=(αn00βn) である。 さらに P−1(20)=(1/3−1/3) であるから (anbn)=PBnP−1(20)=(αn+βn(αn−βn)/3). したがって an=(2+3)n+(2−3)n,bn=3(2+3)n−(2−3)n.
(3)
A は整数成分で、初期ベクトル (2,0)T も整数成分である。よって (an,bn)T は n ごとに整数成分をもち、特に an は整数である。 また 1<3<2 より 0<β=2−3<1 なので 0<βn<1。 αβ=(2+3)(2−3)=4−3=1. 上の式から an−1<an−βn=αn<an, したがって ⌊(2+3)n⌋=an−1. さらに α=1+t とおくと t=1+3>0 であり、二項定理から αn=(1+t)n≧1+nt⟶∞. αβ=1 より βn=1/αn⟶0。したがって cn=αn−⌊αn⌋=1−βn⟶1. 求める極限は 1 である。