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慶應義塾大学/2002年度/医

慶應義塾大学 2002年 数学 第IV問解答・解説

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1問題

慶應義塾大学2002年度第IV問

設問(1)から(5)に答えなさい。

pp を p≡1(mod4)p\equiv 1\pmod 4 を満たす素数とする。すなわち p=4k+1p=4k+1 とする。このとき a2+4bc=p(Q)a^2+4bc=p \tag{Q} を満たす自然数の組 (a,b,c)(a,b,c) は有限個存在する。

これらの組に対し、次の手続きで組を別の組へ移す。 (i)a<b−c のとき、(a+2c, c, b−a−c) とする。(ii)b−c<a<2b のとき、(2b−a, b, a−b+c) とする。(iii)a>2b のとき、(a−2b, a−b+c, b) とする。\begin{aligned} \text{(i)}\quad &a<b-c\text{ のとき、}(a+2c,\ c,\ b-a-c)\text{ とする。}\\ \text{(ii)}\quad &b-c<a<2b\text{ のとき、}(2b-a,\ b,\ a-b+c)\text{ とする。}\\ \text{(iii)}\quad &a>2b\text{ のとき、}(a-2b,\ a-b+c,\ b)\text{ とする。} \end{aligned}

(1) 組 (a,b,c)(a,b,c) が (Q) を満たし、a<b−ca<b-c であるとき、手続き (i) で得られる組も (Q) を満たすことを示しなさい。

(2) (Q) を満たす自然数の組 (a,b,c)(a,b,c) で、a=b−ca=b-c または a=2ba=2b となるものが存在しないことを示しなさい。

(3) この手続きで移らない組が存在する。p=4k+1p=4k+1 のとき、その組 (a,b,c)(a,b,c) を kk で表して具体的に示し、それ以外に移らない組がないことを示しなさい。

(4) この手続きを2回続けて行うと何が起こるかを簡潔に説明し、(Q) を満たす自然数の組の総数が偶数か奇数かを答え、その理由を説明しなさい。ただし、各場合に手続きで得られる組も (Q) を満たすものとしてよい。

(5) p=4k+1p=4k+1 を満たす任意の素数 pp は、自然数 a,ba,b を用いて p=a2+(2b)2p=a^2+(2b)^2 と表せることを示しなさい。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • 1. 場合(i)の変換後も (a+2c)2+4c(b−a−c)=p\quad (a+2c)^2+4c(b-a-c)=p\quad 。
    2. a=b−c\quad a=b-c\quad なら p=(b+c)2\quad p=(b+c)^2\quad 、a=2b\quad a=2b\quad なら 4∣p\quad 4\mid p\quad となり、いずれも矛盾。
    3. 唯一変化しない組は (1,1,k)\quad (1,1,k)\quad 。
    4. 手続きは2回で元に戻り、解の総数は奇数。
    5. 解を b,c\quad b,c\quad 交換で対応させると固定解 b=c\quad b=c\quad があり、p=a2+(2b)2\quad p=a^2+(2b)^2\quad 。

3解答

解答を見る途中式つきの解答

p=4k+1p=4k+1 は素数なので p≧5p\ge5、従って k≧1k\ge1 である。解 (a,b,c)(a,b,c) は正の整数で a2+4bc=pa^2+4bc=p を満たす。解の集合は有限である。実際、a2<pa^2<p であり、bc=(p−a2)/4bc=(p-a^2)/4 も正の整数だから、a,b,ca,b,c はそれぞれ有限個の値しかとらない。

自然数に 00 を含める流儀でも、a=0a=0 なら 4∣p4\mid p、b=0b=0 または c=0c=0 なら p=a2p=a^2 となって素数に矛盾する。従ってこの式を満たす各成分は正である。

手続きを TT と書く。

(1) 場合(i)での式の保存

a<b−ca<b-c なら b−a−c>0b-a-c>0 なので、変換後の (a+2c, c, b−a−c)(a+2c,\ c,\ b-a-c) も正の整数の組である。また (a+2c)2+4c(b−a−c)=a2+4ac+4c2+4bc−4ac−4c2=a2+4bc=p.\begin{aligned} (a+2c)^2+4c(b-a-c) &=a^2+4ac+4c^2+4bc-4ac-4c^2\\ &=a^2+4bc\\ &=p. \end{aligned} 従って変換後も (Q)(Q) を満たす。

(2) 境界条件が起きないこと

もし a=b−ca=b-c なら p=a2+4bc=(b−c)2+4bc=(b+c)2.p=a^2+4bc=(b-c)^2+4bc=(b+c)^2. b+c≧2b+c\ge2 なので右辺は 11 より大きい平方数であり、素数 pp にならない。

もし a=2ba=2b なら p=4b2+4bc=4b(b+c),p=4b^2+4bc=4b(b+c), よって 44 の倍数となる。これは p=4k+1p=4k+1 に矛盾する。従って、どの解も a=b−ca=b-c または a=2ba=2b ではない。

(3) 手続きで変化しない組

場合(i)で変化しないとすると、第1成分について a+2c=aa+2c=a が必要だが、これは c>0c>0 に反する。場合(iii)では a−2b=aa-2b=a が必要となり、b>0b>0 に反する。

場合(ii)で変化しないためには 2b−a=a,2b-a=a, 従って a=ba=b である。このとき第3成分も a−b+c=ca-b+c=c となり、実際に変化しない。さらに a=ba=b は場合(ii)の条件 b−c<a<2bb-c<a<2b を満たす。式 (Q)(Q) は p=b2+4bc=b(b+4c).p=b^2+4bc=b(b+4c). pp は素数で b+4c>1b+4c>1 だから、正の整数因子 bb は 11 でなければならない。従って b=a=1b=a=1、さらに 1+4c=p=4k+11+4c=p=4k+1 より c=kc=k である。逆に (1,1,k)(1,1,k) は場合(ii)に属し、変化しない。

よって、変化しない組はただ1つで (a,b,c)=(1,1,k)(a,b,c)=(1,1,k) である。

(4) 2回続けたときと解の個数の偶奇

b,c>0b,c>0 より b−c<2bb-c<2b であり、(2)で等号の場合を除いたので、すべての解は場合(i)、(ii)、(iii)のちょうど1つに属する。

各場合について、次の手続きの分岐を確認する。

- 場合(i)で得る組を (a′,b′,c′)=(a+2c,c,b−a−c)(a',b',c')=(a+2c,c,b-a-c) とする。a′=a+2c>2c=2b′a'=a+2c>2c=2b' なので次は場合(iii)であり、 T(a′,b′,c′)=(a′−2b′, a′−b′+c′, b′)=(a,b,c).T(a',b',c')=(a'-2b',\,a'-b'+c',\,b')=(a,b,c). - 場合(ii)で得る組を (a′,b′,c′)=(2b−a,b,a−b+c)(a',b',c')=(2b-a,b,a-b+c) とする。このとき b′−c′=2b−a−c<a′,a′=2b−a<2b′,b'-c'=2b-a-c<a',\qquad a'=2b-a<2b', なので次も場合(ii)であり、 T(a′,b′,c′)=(2b′−a′, b′, a′−b′+c′)=(a,b,c).T(a',b',c')=(2b'-a',\,b',\,a'-b'+c')=(a,b,c). - 場合(iii)で得る組を (a′,b′,c′)=(a−2b,a−b+c,b)(a',b',c')=(a-2b,a-b+c,b) とする。このとき b′−c′=a−2b+c=a′+c>a′,b'-c'=a-2b+c=a'+c>a', なので次は場合(i)であり、 T(a′,b′,c′)=(a′+2c′, c′, b′−a′−c′)=(a,b,c).T(a',b',c')=(a'+2c',\,c',\,b'-a'-c')=(a,b,c).

従って TT を2回行うと必ず元の組に戻る。解の有限集合上で、変化しない組は(3)の1組だけであり、それ以外は異なる2組ずつの組に分かれる。よって解の総数は 1+2r1+2r という形であり、奇数である。

(5) pp を2つの平方の和として表す

解の集合を XX とする。(4)より XX の要素数は奇数である。また、写像 (a,b,c)⟼(a,c,b)(a,b,c)\longmapsto(a,c,b) は (Q)(Q) を保ち、2回適用すると元に戻る。すなわち、XX 上のこの写像も、固定されない組を2組ずつ対応させる。

∣X∣|X| が奇数なので、この写像には少なくとも1つ固定される組がある。固定条件は b=cb=c である。その組について p=a2+4bc=a2+4b2=a2+(2b)2.p=a^2+4bc=a^2+4b^2=a^2+(2b)^2. ここで a,ba,b は正の整数である。従って所望の表示が得られる。

最終答案

1. 場合(i)の変換後も (a+2c)2+4c(b−a−c)=p(a+2c)^2+4c(b-a-c)=p。 2. a=b−ca=b-c なら p=(b+c)2p=(b+c)^2、a=2ba=2b なら 4∣p4\mid p となり、いずれも矛盾。 3. 唯一変化しない組は (1,1,k)(1,1,k)。 4. 手続きは2回で元に戻り、解の総数は奇数。 5. 解を b,cb,c 交換で対応させると固定解 b=cb=c があり、p=a2+(2b)2p=a^2+(2b)^2。

使用した解法

整数の因数分解、素数の約数の性質、手続きの逆変換、有限集合上の対合による偶奇判定、および対称性を用いた。

この問題で使う考え方

  • 約数・倍数
  • 対偶・背理法による証明
  • 等式・不等式の証明
  • 和の法則

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