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慶應義塾大学/2004年度/一般

慶應義塾大学 2004年 数学 第II問解答・解説

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1問題

慶應義塾大学2004年度第II問

以下の文章の空欄に適切な数または式を入れて文章を完成させなさい。  空の袋が2つと,赤球,白球,黒球がそれぞれたくさん用意されている。

(1) 片方の袋に赤球1個と黒球1個を,他方の袋に赤球1個と白球1個を入れる。この状態から始め,それぞれの袋に球が入っている限り次の操作 TT を繰り返す。  操作 TT:それぞれの袋から同時に球を1個ずつ取り出し,次の(a)〜(c)のいずれかの処理を行う。  (a) 取り出された2個の球が同じ色である場合は,それらを袋に戻さない。  (b) 取り出された2個の球のうち1個だけが黒球である場合は,取り出された黒球以外の球を袋の外に用意されている黒球と取り替えて,それぞれの袋に黒球を1個ずつ戻す。  (c) (a),(b)以外の場合は,取り出された2個の球をそれぞれが入っていた袋に戻す。  以下,各回の操作を終えたときの状態のみに着目し,操作途中の状態を考えないものとする。また,nn を自然数とする。

(i) 片方の袋に入っているのは赤球1個だけであり,かつ,他方の袋に入っているのは白球1個だけであるという状態を状態 AA とする。nn 回目の操作を終えたとき初めて状態 AA がおこる確率を pnp_{n} とすると,pn=(あ)p_{n}=\boxed{(\text{あ})} である。

(ii) どちらの袋も空であるという状態を状態 BB とする。nn 回目の操作を終えたとき初めて状態 BB がおこる確率を qnq_{n} とすると,q1=q2=0, q3=(い), q4=(う)q_{1}=q_{2}=0,\ q_{3}=\boxed{(\text{い})},\ q_{4}=\boxed{(\text{う})} であり,一般に n≧5n\geq5 に対して qn=(え)q_{n}=\boxed{(\text{え})} である。

(2) 一度どちらの袋も空にした後で,片方の袋に赤球1個と黒球2個を,他方の袋に赤球,白球,黒球をそれぞれ1個ずつ入れる。この状態から始め,それぞれの袋に球が入っている限り上の操作 TT を繰り返す。この場合に nn 回目の操作を終えたとき初めて状態 AA がおこる確率を rnr_{n} とすると,rn=(お)r_{n}=\boxed{(\text{お})} である。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2解答

解答を見る答えはこの解答の中にあります

[II] 二袋の球操作(解説改訂2) 袋の順に RB∣RWRB\mid RW のように書く。袋の中の球を取り出す組合せは等確率で数える。状態遷移を調べる際、袋の入替えや赤・白の入替えで同じになる状態はまとめる。

(1)(i) 状態Aへの初回到達 初期状態を S=RB∣RWS=RB\mid RW、目標を A=R∣WA=R\mid W とする。SS からは確率 1/41/4 で SS に戻り、確率 1/41/4 で T=RB∣BWT=RB\mid BW になる。残りの確率 1/21/2 で移る状態からは AA に到達しない。TT からは確率 1/41/4 で TT に戻り、確率 1/41/4 で AA になる。残りの確率 1/21/2 で移る状態からも AA には到達しない。

nn 回目に初めて AA となる経路では、SS で k−1k-1 回とどまったのち TT に移り、TT で n−k−1n-k-1 回とどまってから AA になる(k=1,…,n−1k=1,\ldots,n-1)。各経路の確率は 4−n4^{-n}、経路数は n−1n-1 なので pn=n−14n(n≧1).\displaystyle \boxed{p_n=\frac{n-1}{4^n}}\qquad(n\ge1).

(1)(ii) 両方が空になる状態Bへの初回到達 Z=∅∣∅Z=\varnothing\mid\varnothing を目標とする。以下が初期状態から到達する状態と次の遷移である。L=R∣WL=R\mid W は状態Bには到達せず、そのまま止まらない状態である。 状態袋の中身次の状態(確率)SRB∣RWS (14), D (14), E (14), F (14)DB∣RU (1)ERB∣BWL (14), G (12), E (14)FRB∣RBV (14), G (12), U (14)GBB∣BRD (12), H (12)HBB∣BBU (1)UB∣BZ (1)VR∣RZ (1)LR∣WL (1)\displaystyle \small \begin{array}{c|c|l} \text{状態}&\text{袋の中身}&\text{次の状態(確率)}\\ \hline S&RB\mid RW&S\ (\frac14),\ D\ (\frac14),\ E\ (\frac14),\ F\ (\frac14)\\ D&B\mid R&U\ (1)\\ E&RB\mid BW&L\ (\frac14),\ G\ (\frac12),\ E\ (\frac14)\\ F&RB\mid RB&V\ (\frac14),\ G\ (\frac12),\ U\ (\frac14)\\ G&BB\mid BR&D\ (\frac12),\ H\ (\frac12)\\ H&BB\mid BB&U\ (1)\\ U&B\mid B&Z\ (1)\\ V&R\mid R&Z\ (1)\\ L&R\mid W&L\ (1) \end{array} GG からは DD または HH を経て、いずれも3回の操作で必ず ZZ となる。初期状態 SS に戻る回数を kk とする。

n=k+3n=k+3 の到達経路は、SS から DD へ進む場合と、FF から UU または VV へ進む場合である。合わせた確率は 4−k(14+14⋅12)=38 4−k.\displaystyle 4^{-k}\left(\frac14+\frac14\cdot\frac12\right) =\frac38\,4^{-k}. n≧5n\ge5 では次の2種類もある。SS から FF を経て GG に進む経路は、k=n−5k=n-5 と決まり、確率は 184−(n−5)\displaystyle \frac18 4^{-(n-5)} である。また SS に kk 回、EE に ll 回とどまり、EE から GG に進む経路は k+l=n−5k+l=n-5 を満たす。非負整数の組 (k,l)(k,l) は n−4n-4 通りあり、各経路の確率は 184−(n−5)\displaystyle \frac18 4^{-(n-5)} である。従って q1=q2=0,q3=38,q4=332,\displaystyle q_1=q_2=0,\qquad q_3=\frac38,\qquad q_4=\frac3{32}, さらに n≧5n\ge5 では qn=384−(n−3)+184−(n−5)+n−484−(n−5)=16n−4522n−3.\displaystyle \begin{aligned} q_n&=\frac38 4^{-(n-3)}+\frac18 4^{-(n-5)} +\frac{n-4}{8}4^{-(n-5)}\\ &=\boxed{\frac{16n-45}{2^{2n-3}}}. \end{aligned}

(2) 初期状態 RBB∣RWBRBB\mid RWB から状態Aへの初回到達 袋内の並びを無視すると、初期状態は X15=BBR∣BRWX_{15}=BBR\mid BRW である。目標は A=R∣WA=R\mid W。次表の NN は、以後どの経路でも AA に届かない状態群をまとめた記号である。 状態袋の中身次の状態(確率)X8BR∣BWA (14), X8 (14), N (12)X9BR∣RWX8 (14), X9 (14), N (12)X14BBR∣BBWX8 (49), X14 (19), N (49)X15BBR∣BRWX9 (29), X14 (29), X15 (19), N (49)\displaystyle \small \begin{array}{c|c|l} \text{状態}&\text{袋の中身}&\text{次の状態(確率)}\\ \hline X_8&BR\mid BW&A\ (\frac14),\ X_8\ (\frac14),\ N\ (\frac12)\\ X_9&BR\mid RW&X_8\ (\frac14),\ X_9\ (\frac14),\ N\ (\frac12)\\ X_{14}&BBR\mid BBW&X_8\ (\frac49),\ X_{14}\ (\frac19),\ N\ (\frac49)\\ X_{15}&BBR\mid BRW&X_9\ (\frac29),\ X_{14}\ (\frac29),\ X_{15}\ (\frac19),\ N\ (\frac49) \end{array} ここで NN に含めた状態群は N={B∣B, B∣R, R∣R, BB∣BB, BB∣BR,BB∣RW, BR∣BR, BBB∣BBB,BBB∣BBR, BBB∣BRW, BBR∣BBR}.\begin{aligned}\mathcal N=\{&B\mid B,\ B\mid R,\ R\mid R,\ BB\mid BB,\ BB\mid BR,\\ &BB\mid RW,\ BR\mid BR,\ BBB\mid BBB,\\ &BBB\mid BBR,\ BBB\mid BRW,\ BBR\mid BBR\}.\end{aligned} とその袋・赤白の入替えで得られる状態である。操作後もこの集合内か ZZ にとどまり、AA には移らない。例えば BB∣BRBB\mid BR は B∣RB\mid R または BB∣BBBB\mid BB へ、BBB∣BRWBBB\mid BRW は BB∣RWBB\mid RW または BBB∣BBRBBB\mid BBR へ移り、いずれも集合内にある。表の NN への遷移はこの閉じた状態群への遷移をまとめたものである。

X8,X9,X14,X15X_8,X_9,X_{14},X_{15} を出発したとき、nn 回目に初めて AA となる確率をそれぞれ fn,gn,hn,rnf_n,g_n,h_n,r_n とする。また f0=g0=h0=r0=0f_0=g_0=h_0=r_0=0 とおく。遷移表から、n≧1n\ge1 で f1=14,fn=14fn−1 (n≧2),g1=0,gn=14fn−1+14gn−1 (n≧2).\displaystyle f_1=\frac14,\quad f_n=\frac14 f_{n-1}\ (n\ge2),\qquad g_1=0,\quad g_n=\frac14 f_{n-1}+\frac14g_{n-1}\ (n\ge2). 従って fn=4−n,gn=(n−1)4−n.f_n=4^{-n},\qquad g_n=(n-1)4^{-n}. 同様に h1=0,hn=49fn−1+19hn−1(n≧2).\displaystyle h_1=0,\qquad h_n=\frac49 f_{n-1}+\frac19h_{n-1}\quad(n\ge2). これを順に代入すると等比数列の和になり、 hn=494−(n−1)∑j=0n−2(49)j=1654−n−3659−n.\displaystyle h_n=\frac49 4^{-(n-1)}\sum\limits _{j=0}^{n-2}\left(\frac49\right)^j =\frac{16}{5}4^{-n}-\frac{36}{5}9^{-n}. 初期状態が X15X_{15} であることから r1=0,rn=29(gn−1+hn−1)+19rn−1(n≧2).\displaystyle r_1=0,\qquad r_n=\frac29(g_{n-1}+h_{n-1})+\frac19r_{n-1}\quad(n\ge2). この漸化式を解くと rn=40n+1625⋅4n+234−360n25⋅9n(n≧1).\displaystyle \boxed{r_n=\frac{40n+16}{25\cdot4^n} +\frac{234-360n}{25\cdot9^n}}\qquad(n\ge1). この式は n=1n=1 で 00 である。また、gn−1,hn−1g_{n-1},h_{n-1} と rn−1r_{n-1} の式を漸化式の右辺に代入すると 29(gn−1+hn−1)+19rn−1=(8(n−2)9+12845+160n−96225)4−n+(−725+594−360n25)9−n=40n+1625⋅4n+234−360n25⋅9n.\displaystyle \begin{aligned} \frac29(g_{n-1}+h_{n-1})+\frac19r_{n-1} &=\left(\frac{8(n-2)}9+\frac{128}{45}+\frac{160n-96}{225}\right)4^{-n}\\ &\quad+\left(-\frac{72}{5}+\frac{594-360n}{25}\right)9^{-n}\\ &=\frac{40n+16}{25\cdot4^n}+\frac{234-360n}{25\cdot9^n}. \end{aligned} 従って初項と漸化式が一致し、帰納法で全ての nn に対して成り立つ。

この問題で使う考え方

  • 有限状態遷移
  • 経路数
  • 漸化式
  • 等比数列の和

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