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名古屋大学/2005年度

名古屋大学 2005年 数学 第4問解答・解説

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1問題

名古屋大学2005年度第4問

第4問は選択問題であり,(a), (b)の2題からなるが,いずれかの1題だけを解答するものとする。④の答案として1題だけを提出する。他方の答案紙は,大きく斜線を引いたうえで,最後に提出する(PDF p.1 注意事項10)。 PDF p.5には「第4問は選択問題である。つぎの④(a)または別紙の④(b)のいずれか一方を選んで解答せよ。」とあり,PDF p.6には「第4問は選択問題である。つぎの④(b)または別紙の④(a)のいずれか一方を選んで解答せよ。」とある。 (a) 整数に値をとる変数 x の値が,以下の規則で変化する。

(i) ある時刻で x=m (m≠0)x=m\ (m\neq0) のとき,1秒後に x=m+1x=m+1, x=m−1x=m-1 である確率はともに 1/21/2 である。

(ii) ある時刻で x=0x=0 のとき,1秒後に x=1x=1 である確率は q,x=−1x=-1 である確率は 1−q1-q である(0≦q≦10\leq q\leq1)。x=0x=0から始めて,n秒後(n=0,1,2,…n=0,1,2,\ldots)に x=mx=m である確率を pn(m)p_n(m) とする。

(1) p3(1)+p3(−1)p_3(1)+p_3(-1) を求めよ。

(2) すべての自然数 n に対し次がなりたつことを示せ:どんな整数 m についても pn(m)+pn(−m)p_n(m)+p_n(-m) は q によらない。

(3) pn(0)p_n(0) を求めよ。 (b)

(1) 連続関数 f(x)f(x) が,すべての実数 x について f(π−x)=f(x)f(\pi-x)=f(x) をみたすとき,∫0π(x−π/2)f(x) dx=0\displaystyle \int_0^\pi (x-\pi/2)f(x)\,dx=0 がなりたつことを証明せよ。

(2) ∫0πxsin⁡3x4−cos⁡2x dx\displaystyle \int_0^\pi \frac{x\sin^3 x}{4-\cos^2 x}\,dx を求めよ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2考え方

考え方を見る解き方の方針だけを確かめる

原本では (a),(b) のどちらか一方を選ぶ問題であるため、検証用出力では両選択肢を別立てで解き、実際の提出では一方だけ選ぶ指示を明記する。(a)は対称確率和の漸化式、(b)は対称積分と置換で処理する。

3答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (a)p3(1)+p3(−1)=34;pn(m)+pn(−m)\displaystyle (a)\quad p_3(1)+p_3(-1)=\frac34;\quad p_n(m)+p_n(-m) は q によらない;pn(0)={0(n が奇数),(2kk)/4k(n=2k).(b)∫0π(x−π/2)f(x) dx=0;∫0πxsin⁡3x4−cos⁡2x dx=π−3π4log⁡3.\displaystyle ;\quad p_n(0)=\begin{cases}0&(n\text{ が奇数}),\\\binom{2k}{k}/4^k&(n=2k).\end{cases}\qquad (b)\quad \int_0^\pi(x-\pi/2)f(x)\,dx=0;\quad \int_0^\pi\frac{x\sin^3x}{4-\cos^2x}\,dx=\pi-\frac{3\pi}{4}\log3.

4解答

解答を見る途中式つきの解答

(a)

(1) x=0x=0 から始める。1秒後は p1(1)=q,p1(−1)=1−q.p_1(1)=q,\qquad p_1(-1)=1-q. 2秒後には p2(0)=12p1(1)+12p1(−1)=12,p2(2)=q2,p2(−2)=1−q2.\displaystyle p_2(0)=\frac12p_1(1)+\frac12p_1(-1)=\frac12, \qquad p_2(2)=\frac q2, \qquad p_2(-2)=\frac{1-q}{2}. したがって p3(1)=qp2(0)+12p2(2)=3q4,p3(−1)=(1−q)p2(0)+12p2(−2)=3(1−q)4,\displaystyle p_3(1)=q p_2(0)+\frac12p_2(2)=\frac{3q}{4},\qquad p_3(-1)=(1-q)p_2(0)+\frac12p_2(-2)=\frac{3(1-q)}{4}, ゆえに p3(1)+p3(−1)=34.\displaystyle p_3(1)+p_3(-1)=\frac34.

(2) m=0,1,2,…m=0,1,2,\ldots に対して Sn(m)=pn(m)+pn(−m)S_n(m)=p_n(m)+p_n(-m) とおく。特に Sn(0)=2pn(0)S_n(0)=2p_n(0) である。遷移規則から pn+1(0)=12pn(1)+12pn(−1),pn+1(1)=qpn(0)+12pn(2),pn+1(−1)=(1−q)pn(0)+12pn(−2).\displaystyle p_{n+1}(0)=\frac12p_n(1)+\frac12p_n(-1),\quad p_{n+1}(1)=q p_n(0)+\frac12p_n(2),\quad p_{n+1}(-1)=(1-q)p_n(0)+\frac12p_n(-2). したがって Sn+1(0)=2pn+1(0)=Sn(1),S_{n+1}(0)=2p_{n+1}(0)=S_n(1), Sn+1(1)=pn+1(1)+pn+1(−1)=qpn(0)+12pn(2)+(1−q)pn(0)+12pn(−2)=pn(0)+12{pn(2)+pn(−2)}=12Sn(0)+12Sn(2).\displaystyle \begin{aligned} S_{n+1}(1)&=p_{n+1}(1)+p_{n+1}(-1)\\ &=q p_n(0)+\frac12p_n(2)+(1-q)p_n(0)+\frac12p_n(-2)\\ &=p_n(0)+\frac12\{p_n(2)+p_n(-2)\} =\frac12S_n(0)+\frac12S_n(2). \end{aligned} また m≧2m\ge2 では Sn+1(m)=12Sn(m−1)+12Sn(m+1).\displaystyle S_{n+1}(m)=\frac12S_n(m-1)+\frac12S_n(m+1). これらの漸化式には qq が現れない。一方、初期値は S0(0)=2S_0(0)=2、m≧1m\ge1 で S0(m)=0S_0(m)=0 であり、いずれも qq によらない。よって数学的帰納法により、すべての n≧0n\ge0 と m≧0m\ge0 で Sn(m)S_n(m) は qq によらない。任意の整数 mm に対して pn(m)+pn(−m)=Sn(∣m∣)p_n(m)+p_n(-m)=S_n(|m|) だから、求める主張が従う。

(3) (2) の m=0m=0 の場合から pn(0)p_n(0) も qq によらないので、q=1/2q=1/2 として求める。このとき各時刻に +1,−1+1,-1 のいずれへ進む確率も 1/21/2 である。nn が奇数なら、nn 回の移動後の位置の偶奇は奇数であるから 00 には戻らない。n=2kn=2k のときは、2k2k 回のうち kk 回ずつ正負の移動をする場合に限り 00 に戻る。そのような並べ方は (2kk)\displaystyle \binom{2k}{k} 通りで、それぞれの確率は 2−2k2^{-2k} である。したがって pn(0)={0,n が奇数,(2kk)22k,n=2k (k=0,1,2,…).\displaystyle p_n(0)=\begin{cases} 0,&n\text{ が奇数},\\[2mm] \displaystyle\frac{\binom{2k}{k}}{2^{2k}},&n=2k\ (k=0,1,2,\ldots). \end{cases}

(b)

(1) I=∫0π(x−π/2)f(x) dx\displaystyle I=\int_0^\pi(x-\pi/2)f(x)\,dx とおく。t=π−xt=\pi-x と置換し、仮定 f(π−t)=f(t)f(\pi-t)=f(t) を用いると I=∫0π((π−t)−π/2)f(π−t) dt=∫0π(π/2−t)f(t) dt=−I.\displaystyle \begin{aligned} I&=\int_0^\pi\bigl((\pi-t)-\pi/2\bigr)f(\pi-t)\,dt\\ &=\int_0^\pi(\pi/2-t)f(t)\,dt=-I. \end{aligned} よって I=0I=0 であり、示された。

(2) g(x)=sin⁡3x4−cos⁡2x\displaystyle g(x)=\dfrac{\sin^3x}{4-\cos^2x} とおく。分母は 4−cos⁡2x≧34-\cos^2x\ge3 なので gg は連続であり、sin⁡(π−x)=sin⁡x\sin(\pi-x)=\sin x、cos⁡2(π−x)=cos⁡2x\cos^2(\pi-x)=\cos^2x から g(π−x)=g(x)g(\pi-x)=g(x) である。(1)を gg に適用して ∫0πxg(x) dx=π2∫0πg(x) dx\displaystyle \int_0^\pi xg(x)\,dx=\frac\pi2\int_0^\pi g(x)\,dx を得る。右辺の積分を t=cos⁡xt=\cos x と置換すると ∫0πg(x) dx=∫−111−t24−t2 dt=2∫01(1−34−t2)dt.\displaystyle \begin{aligned} \int_0^\pi g(x)\,dx &=\int_{-1}^{1}\frac{1-t^2}{4-t^2}\,dt\\ &=2\int_0^1\left(1-\frac{3}{4-t^2}\right)dt. \end{aligned} ここで 14−t2=14(12+t+12−t),∫01dt4−t2=14log⁡3.\displaystyle \frac1{4-t^2}=\frac14\left(\frac1{2+t}+\frac1{2-t}\right),\qquad \int_0^1\frac{dt}{4-t^2}=\frac14\log3. よって ∫0πg(x) dx=2−32log⁡3,\displaystyle \int_0^\pi g(x)\,dx=2-\frac32\log3, したがって求める値は ∫0πxsin⁡3x4−cos⁡2x dx=π2(2−32log⁡3)=π−3π4log⁡3.\displaystyle \int_0^\pi\frac{x\sin^3x}{4-\cos^2x}\,dx =\frac\pi2\left(2-\frac32\log3\right) =\pi-\frac{3\pi}{4}\log3.

この問題で使う考え方

  • 確率の基本法則
  • 条件付き確率
  • 組合せ
  • 漸化式
  • 数学的帰納法
  • 三角関数の相互関係
  • 置換積分法
  • 三角・指数・対数関数等の積分

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