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慶應義塾大学/2007年度/一般

慶應義塾大学 2007年 数学 第IV問解答・解説

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1問題

慶應義塾大学2007年度第IV問

設問(1)から(3)では,文章の空欄に適切な数または式を入れて文章を完成させなさい。また,設問(4)に答えなさい。

nn を自然数,a,ba,b を正の定数,tt を実数とする。座標空間における xyxy 平面内に n+1n+1 個の点 Pk(t+kna,b,0),k=0,1,…,n,\displaystyle P_{k}\left(t+\frac{k}{n}a,b,0\right),\quad k=0,1,\ldots,n, zxzx 平面内に n+1n+1 個の点 Qk(t+kna,0,t+kna),k=0,1,…,n,\displaystyle Q_{k}\left(t+\frac{k}{n}a,0,t+\frac{k}{n}a\right),\quad k=0,1,\ldots,n, をとる。

(1) 各 k (k=0,1,…,n−1)k\ (k=0,1,\ldots,n-1) に対し,△PkQkPk+1\triangle P_{k}Q_{k}P_{k+1} の面積 AkA_{k} は Ak=(あ)A_{k}=\boxed{\text{(あ)}} であり,△QkPk+1Qk+1\triangle Q_{k}P_{k+1}Q_{k+1} の面積 BkB_{k} は Bk=(い)B_{k}=\boxed{\text{(い)}} である。

(2) Sn=∑k=0n−1(Ak+Bk),S=lim⁡n→∞Sn\displaystyle S_{n}=\sum\limits _{k=0}^{n-1}(A_{k}+B_{k}),\qquad S=\lim\limits _{n\to\infty}S_{n} とおくと,S=∫tt+a(う) dx\displaystyle S=\int_{t}^{t+a}\boxed{\text{(う)}}\,dx と表すことができる。

(3) S1,SS_{1},S を tt の関数と考えたとき,S1S_{1} は t=(え)t=\boxed{\text{(え)}} で最小となり,SS は t=(お)t=\boxed{\text{(お)}} で最小となる。

(4) SnS_{n} を tt の関数と考えたとき,SnS_{n} は (お)<c<(お)+a2n\displaystyle \boxed{\text{(お)}}<c<\boxed{\text{(お)}}+\frac{a}{2n} をみたす cc で最小となることを示しなさい。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2考え方

考え方を見る解き方の方針だけを確かめる

座標差と直交射影で三角形の面積を計算する。リーマン和の極限と端点微分を使って連続極限の最小点を求め、離散和では導関数の符号を二点で比較する。

3答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1) あ=a2n(t+kan)2+b2,  \displaystyle =\frac{a}{2n}\sqrt{(t+\frac{ka}{n})^2+b^2},\;い=a2n(t+(k+1)an)2+2b2/\displaystyle =\frac{a}{2n}\sqrt{(t+\frac{(k+1)a}{n})^2+2b^2}\quad/\quad(2) う=12(x2+b2+x2+2b2)/\displaystyle =\frac12(\sqrt{x^2+b^2}+\sqrt{x^2+2b^2})\quad/\quad(3) え=a(1−2),  =a(1-\sqrt2),\;お=−a2/\displaystyle =-\frac a2\quad/\quad(4)  −a2<c<−a2+a2n\displaystyle \;-\frac a2<c<-\frac a2+\frac{a}{2n}

4解答

解答を見る途中式つきの解答

h=an\displaystyle h=\frac an,xk=t+khx_k=t+kh とおく。すると Pk=(xk,b,0),Qk=(xk,0,xk),Pk+1=(xk+h,b,0),Qk+1=(xk+h,0,xk+h)P_k=(x_k,b,0),\quad Q_k=(x_k,0,x_k),\quad P_{k+1}=(x_k+h,b,0),\quad Q_{k+1}=(x_k+h,0,x_k+h) である。線分 PkPk+1P_kP_{k+1} を底辺とすると,その長さは hh であり,QkQ_k から直線 PkPk+1P_kP_{k+1} までの距離は b2+xk2\sqrt{b^2+x_k^2} だから Ak=h2xk2+b2.\displaystyle A_k=\frac h2\sqrt{x_k^2+b^2}. また,線分 QkQk+1Q_kQ_{k+1} の長さは h2h\sqrt2 である。その方向の単位ベクトルを u=12(1,0,1)\displaystyle \boldsymbol{u}=\frac1{\sqrt2}(1,0,1) とすると,QkPk+1→=(h,b,−xk)\overrightarrow{Q_kP_{k+1}}=(h,b,-x_k) の u\boldsymbol{u} 方向への成分は h−xk2\displaystyle \frac{h-x_k}{\sqrt2} である。よって Pk+1P_{k+1} から直線 QkQk+1Q_kQ_{k+1} までの距離の二乗は h2+b2+xk2−(h−xk)22=(xk+h)2+2b22\displaystyle h^2+b^2+x_k^2-\frac{(h-x_k)^2}{2}=\frac{(x_k+h)^2+2b^2}{2} となるから Bk=h2(xk+h)2+2b2.\displaystyle B_k=\frac h2\sqrt{(x_k+h)^2+2b^2}. したがって,それぞれの空欄は (あ)=a2n(t+kan)2+b2,(い)=a2n(t+(k+1)an)2+2b2\displaystyle \text{(あ)}=\frac{a}{2n}\sqrt{\left(t+\frac{ka}{n}\right)^2+b^2},\qquad \text{(い)}=\frac{a}{2n}\sqrt{\left(t+\frac{(k+1)a}{n}\right)^2+2b^2} である。

h=an\displaystyle h=\frac an と書けば Sn=h2∑k=0n−1(xk2+b2+xk+12+2b2).\displaystyle S_n=\frac h2\sum\limits _{k=0}^{n-1}\left(\sqrt{x_k^2+b^2}+\sqrt{x_{k+1}^2+2b^2}\right). 第一項は幅 hh の左端リーマン和,第二項は右端リーマン和である。したがって S=12∫tt+a(x2+b2+x2+2b2) dx,\displaystyle S=\frac12\int_t^{t+a}\left(\sqrt{x^2+b^2}+\sqrt{x^2+2b^2}\right)\,dx, ゆえに (う)=12(x2+b2+x2+2b2).\displaystyle \text{(う)}=\frac12\left(\sqrt{x^2+b^2}+\sqrt{x^2+2b^2}\right).

n=1n=1 のとき S1(t)=a2(t2+b2+(t+a)2+2b2).\displaystyle S_1(t)=\frac a2\left(\sqrt{t^2+b^2}+\sqrt{(t+a)^2+2b^2}\right). b>0b>0 なので各平方根の二階導関数は正であり,S1S_1 は狭義凸である。最小となる点では tt2+b2+t+a(t+a)2+2b2=0.\displaystyle \frac{t}{\sqrt{t^2+b^2}}+\frac{t+a}{\sqrt{(t+a)^2+2b^2}}=0. このとき −a<t<0-a<t<0 である。u=−t>0, v=t+a>0u=-t>0,\ v=t+a>0 とおくと u+v=au+v=a であり,上の式は uu2+b2=vv2+2b2\displaystyle \frac{u}{\sqrt{u^2+b^2}}=\frac{v}{\sqrt{v^2+2b^2}} となる。両辺は正なので二乗して整理すると v2=2u2v^2=2u^2,すなわち v=2uv=\sqrt2u を得る。よって (え)=t=−a1+2=a(1−2).\displaystyle \text{(え)}=t=-\frac{a}{1+\sqrt2}=a(1-\sqrt2).

q(x)=12(x2+b2+x2+2b2)\displaystyle q(x)=\frac12(\sqrt{x^2+b^2}+\sqrt{x^2+2b^2}) とおくと,qq は偶関数であり,x>0x>0 で q′(x)=12(xx2+b2+xx2+2b2)>0\displaystyle q'(x)=\frac12\left(\frac{x}{\sqrt{x^2+b^2}}+\frac{x}{\sqrt{x^2+2b^2}}\right)>0 だから ∣x∣|x| が大きいほど q(x)q(x) は大きい。微積分の基本定理より S′(t)=q(t+a)−q(t).S'(t)=q(t+a)-q(t). t<−a2\displaystyle t<-\frac a2 なら ∣t+a∣<∣t∣|t+a|<|t| なので S′(t)<0S'(t)<0,t>−a2\displaystyle t>-\frac a2 なら ∣t+a∣>∣t∣|t+a|>|t| なので S′(t)>0S'(t)>0 である。したがって (お)=−a2.\displaystyle \text{(お)}=-\frac a2.

最後に,各 n≧1n\geq1 について SnS_n の最小点を調べる。F(x)=x2+b2F(x)=\sqrt{x^2+b^2},G(x)=x2+2b2G(x)=\sqrt{x^2+2b^2} とおき, ϕ(x)=F′(x)=xx2+b2,ψ(x)=G′(x)=xx2+2b2\displaystyle \phi(x)=F'(x)=\frac{x}{\sqrt{x^2+b^2}},\qquad \psi(x)=G'(x)=\frac{x}{\sqrt{x^2+2b^2}} とする。 ϕ′(x)=b2(x2+b2)3/2>0,ψ′(x)=2b2(x2+2b2)3/2>0\displaystyle \phi'(x)=\frac{b^2}{(x^2+b^2)^{3/2}}>0,\qquad \psi'(x)=\frac{2b^2}{(x^2+2b^2)^{3/2}}>0 だから ϕ,ψ\phi,\psi はともに奇関数で、x1<x2x_1<x_2 なら ϕ(x1)<ϕ(x2)\phi(x_1)<\phi(x_2)、ψ(x1)<ψ(x2)\psi(x_1)<\psi(x_2) が成り立つ。また x>0x>0 なら ϕ(x)>ψ(x)\phi(x)>\psi(x) である。微分すると 2hSn′(t)=∑k=0n−1(ϕ(t+kh)+ψ(t+(k+1)h)).\displaystyle \frac{2}{h}S_n'(t)=\sum\limits _{k=0}^{n-1}\bigl(\phi(t+kh)+\psi(t+(k+1)h)\bigr). 右辺は、t1<t2t_1<t_2 なら t1t_1 での値より t2t_2 での値の方が大きい。

まず t=−a2\displaystyle t=-\frac a2 とし,xk=−a2+kh\displaystyle x_k=-\frac a2+kh とおく。このとき xk+1=−xn−1−kx_{k+1}=-x_{n-1-k} なので,奇関数性から 2hSn′(−a2)=∑k=0n−1(ϕ(xk)−ψ(xk)).\displaystyle \frac{2}{h}S_n'\left(-\frac a2\right)=\sum\limits _{k=0}^{n-1}\bigl(\phi(x_k)-\psi(x_k)\bigr). 1≦k≦n−11\leq k\leq n-1 では xn−k=−xkx_{n-k}=-x_k であり,対応する和は打ち消し合う。したがって 2hSn′(−a2)=ϕ(−a2)−ψ(−a2)<0.\displaystyle \frac{2}{h}S_n'\left(-\frac a2\right)=\phi\left(-\frac a2\right)-\psi\left(-\frac a2\right)<0.

次に t=−a2+h2=−n−12h\displaystyle t=-\frac a2+\frac h2=-\frac{n-1}{2}h とする。uk=t+khu_k=t+kh は un−1−k=−uku_{n-1-k}=-u_k を満たすため ∑k=0n−1ϕ(uk)=0\displaystyle \sum\limits _{k=0}^{n-1}\phi(u_k)=0 である。また vk=t+(k+1)hv_k=t+(k+1)h とおけば vk+vn−1−k=2h>0v_k+v_{n-1-k}=2h>0。この性質をもつ奇関数 ψ\psi に対し,v+w>0v+w>0 なら ψ(v)+ψ(w)>0\psi(v)+\psi(w)>0 だから,組を作って足すと ∑k=0n−1ψ(vk)>0.\displaystyle \sum\limits _{k=0}^{n-1}\psi(v_k)>0. よって Sn′(−a2+h2)>0.\displaystyle S_n'\left(-\frac a2+\frac h2\right)>0. t1<t2t_1<t_2 なら Sn′(t1)<Sn′(t2)S_n'(t_1)<S_n'(t_2) であり,この二点で符号が負から正に変わる。従って,SnS_n は −a2<c<−a2+h2=−a2+a2n\displaystyle -\frac a2<c<-\frac a2+\frac h2=-\frac a2+\frac{a}{2n} を満たすただ一つの cc で最小となる。これは設問の主張である。

検算として n=1n=1 の最小点 a(1−2)a(1-\sqrt2) は −a2<a(1−2)<0\displaystyle -\frac a2<a(1-\sqrt2)<0 を満たし,(4) の範囲と一致する。また Ak,BkA_k,B_k はいずれも長さ hh と長さの平方根の積なので,面積の次元にも合う。

この問題で使う考え方

  • 空間座標と空間ベクトル
  • ベクトルの内積
  • ベクトルによる図形の考察
  • 数列の極限
  • 不定積分・定積分の性質
  • 合成関数の微分
  • 第二次導関数

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