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熊本大学/2012年度/前期

熊本大学 2012年 数学 第2問解答・解説

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1問題

熊本大学2012年度第2問

実数 cc に対して,行列 A=(1−cc1)A=\begin{pmatrix}1&-c\\c&1\end{pmatrix} で表される 1 次変換を TT とするとき,以下の問いに答えよ。

(問 1) xyxy 平面上の同一直線上にない 3 点 P,Q,RP,Q,R が TT によってそれぞれ P′,Q′,R′P',Q',R' に移るとする。三角形 P′Q′R′P'Q'R' の面積が三角形 PQRPQR の面積の kk 倍(k≧1k\geq 1)となる cc の値を求めよ。

(問 2) 楕円 E: x24+y2=1\displaystyle E:\ \dfrac{x^{2}}{4}+y^{2}=1 上の点が TT によって楕円 E′E' 上の点に移るとする。楕円 E′E' 上のすべての点が楕円 EE の周上または外部にあるための,cc の条件を求めよ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (問 1) c=±k−1c=\pm\sqrt{k-1}(k=1k=1 のとき c=0c=0) / (問 2) c=0 または ∣c∣≧32\displaystyle |c|\geq\frac32

3解答

解答を見る途中式つきの解答

(問1)変換を成分で表すと T(x,y)=(x−cy,cx+y)T(x,y)=(x-cy,cx+y) である。u=(x,y)\boldsymbol{u}=(x,y)、v=(p,q)\boldsymbol{v}=(p,q) とする。展開すると ∥T(u)∥2=(x−cy)2+(cx+y)2=(1+c2)(x2+y2),T(u)⋅T(v)=(x−cy)(p−cq)+(cx+y)(cp+q)=(1+c2)(xp+yq)=(1+c2)u⋅v.\begin{aligned} \lVert T(\boldsymbol{u})\rVert^2&=(x-cy)^2+(cx+y)^2=(1+c^2)(x^2+y^2),\\ T(\boldsymbol{u})\cdot T(\boldsymbol{v})&=(x-cy)(p-cq)+(cx+y)(cp+q)\\ &=(1+c^2)(xp+yq)=(1+c^2)\boldsymbol{u}\cdot\boldsymbol{v}. \end{aligned} したがって各辺の長さは 1+c2\sqrt{1+c^2} 倍になり、2辺のなす角は変わらない。三角形の面積は2辺の長さの積とその間の角の正弦との積の半分なので、面積比は 1+c21+c^2 である。よって 1+c2=k1+c^2=k から c=±k−1(k≧1)c=\pm\sqrt{k-1}\qquad(k\ge1) を得る。特に k=1k=1 のときは c=0c=0 である。

(問2)楕円 EE 上の点を (x,y)=(2u,v)(x,y)=(2u,v)、ただし u2+v2=1u^2+v^2=1 と表す。その像 (x′,y′)(x',y') は x′=2u−cv,y′=2cu+vx'=2u-cv,\qquad y'=2cu+v である。像が EE の周上または外部にあるための条件は x′2/4+y′2−1≧0x'^2/4+y'^2-1\ge0 である。u2+v2=1u^2+v^2=1 を用いて整理すると x′24+y′2−1=(u−c2v)2+(2cu+v)2−1=4c2u2+3cuv+c24v2.\displaystyle \begin{aligned} \frac{x'^2}{4}+y'^2-1 &=\left(u-\frac{c}{2}v\right)^2+(2cu+v)^2-1\\ &=4c^2u^2+3cuv+\frac{c^2}{4}v^2. \end{aligned} c=0c=0 なら像は EE 自身なので条件を満たす。c≠0c\ne0 のときは平方完成して 4c2u2+3cuv+c24v2=4c2(u+3v8c)2+4c2−916v2.\displaystyle 4c^2u^2+3cuv+\frac{c^2}{4}v^2 =4c^2\left(u+\frac{3v}{8c}\right)^2+\frac{4c^2-9}{16}v^2. したがって c2≧94\displaystyle c^2\ge\frac94 なら、右辺はすべての u,vu,v について0以上である。逆に 0<c2<94\displaystyle 0<c^2<\frac94 とする。このとき v=11+964c2,u=−3v8c\displaystyle v=\frac{1}{\sqrt{1+\frac{9}{64c^2}}},\qquad u=-\frac{3v}{8c} と選べば u2+v2=1u^2+v^2=1 であり、平方完成の右辺は 4c2−916v2<0\displaystyle \frac{4c^2-9}{16}v^2<0 となる。よってこの場合は条件を満たさない。以上から求める条件は c=0または∣c∣≧32\displaystyle c=0\qquad\text{または}\qquad |c|\ge\frac32 である。

(問1)変換後のベクトルの長さが一定比で伸び、内積も同じ係数で伸びるため角度が変わらず、面積比は1+c21+c^2。(問2)楕円上の点を単位円に正規化し、外部条件の二次式を平方完成する。c=0c=0とc≠0c\ne0を分けることで必要十分な条件を得る。

この問題で使う考え方

  • 成分計算による長さ・内積の比較
  • 二次式の平方完成
  • 境界条件と反例方向による必要十分性

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