(1)
直線 ℓ:y=x+a の傾きは 1 である。曲線 C:y=2sinx (−π≦x≦π) 上の点 (t,2sint) における接線の傾きは y′=2cosx より 2cost であるから,接点では 2cost=1,cost=21. −π≦t≦π の範囲でこれを満たすのは t=3π, −3π の2つである。接線は接点 (t,2sint) を通るから,a は 2sint=t+a,すなわちa=2sint−t を満たす。
t=3π のとき a=2sin3π−3π=3−3π (>0).
t=−3π のとき a=2sin(−3π)−(−3π)=−3+3π=−(3−3π) (<0).
条件 a≧0 を満たすのは前者のみであるから a=3−3π である(このとき接点は t=3π,接点座標は (3π,3))。
(2)
以下 a=3−3π とし, h(x)=2sinx−(x+a) とおいて,曲線 C と直線 ℓ の位置関係を調べる。 h′(x)=2cosx−1,h′(x)=0すなわちx=±3π. h′(x)>0(−3π<x<3π),h′(x)<0(−π≦x<−3π,3π<x≦π)であるから,h は x=−3π で極小,x=3π で極大をとる。
(1)より h(3π)=0 であり,これが極大値であるから,x=3π の近くでは h(x)≦0(曲線は直線以下),すなわち直線は曲線に接している。
また h(−π)=0−(−π+a)=π−a>0,h(−3π)=−3+3π−a=−23+32π<0 であり,h は −π≦x≦−π/3 で単調減少なので,この区間にただ1つの解 x=x1 (−π<x1<−π/3) をもつ。h は −π/3≦x≦π/3 で単調増加で両端の値が負・0(x=π/3 で最大値 0)なので,この区間では x=π/3 でのみ h=0。さらに π/3<x≦π では h は単調減少で h(π/3)=0, h(π)=−π−a<0 だから,この区間に 0 の解はない。
したがって C と ℓ が囲む図形(h(x)≦0 すなわち曲線が直線以下になる部分)は x1≦x≦3π の範囲にでき,各 x について下端 y=2sinx,上端 y=x+a である(x1 の具体的な値は以下の体積計算には現れない)。
{ y≧0 の部分の特定}
直線 y=x+a は x=−a で y=0 になり,x>−a で y>0,x<−a で y<0 である。またx1≦x≦π/3 の範囲で曲線側が y≧0 になるのは x≧0(0≦x≦π で sinx≧0)のときである。x1<−a<0<3π であることに注意すると,
・ x1≦x<−a:2sinx≦y≦x+a で表される帯の上端 x+a<0 だから,この範囲の帯は全部 y<0。y≧0 の部分なし。
・ −a≦x≦0:2sinx≦0≦x+a なので,y≧0 の部分は 0≦y≦x+a。
・ 0≦x≦3π:0≦2sinx≦x+a なので,帯全体が y≧0:2sinx≦y≦x+a。
以上より,回転させる図形は −a≦x≦0: 0≦y≦x+a,0≦x≦3π: 2sinx≦y≦x+a である。この図形全体が y≧0 にあるので,x 軸のまわりの回転体の体積はどちらの区間でも π∫{(上端)2−(下端)2}dx で計算でき(−a≦x≦0 では下端が 0 の円板,0≦x≦π/3 では中身のくり抜かれた輪環),下端の式を x<0 で 0,x≧0 で 2sinx とまとめて V=π∫−aπ/3(x+a)2dx−π∫0π/3(2sinx)2dx と書ける。
第1項:u=x+a とおくと,x=−aよりu=0,x=π/3よりu=π/3+a=3((1)の a の値そのものから)。よって ∫−aπ/3(x+a)2dx=∫03u2du=[3u3]03=3(3)3=333=3.
第2項:半角(次数下げ)の公式 sin2x=21−cos2x より ∫0π/3(2sinx)2dx=4∫0π/3sin2xdx=2∫0π/3(1−cos2x)dx=2[x−2sin2x]0π/3=2(3π−2sin(2π/3)). sin(2π/3)=23 であるから =2(3π−43)=32π−23.
したがって V=π3−π(32π−23)=3π−32π2+23π=233π−32π2. 通分すれば V=233π−32π2=6π(93−4π) を得る。
{ 検算}
a=3−π/3≈0.6849>0 で条件 a≧0 を満たす。数値積分(区分求積法,分割数 2×105)により V≈1.58236 が得られ,上の閉じた形の値 233π−32π2≈1.58236 と一致することを確認した。また π/3+a=3 となることは (1) の結果 a=3−π/3 を代入すれば従い,計算の整合性を裏付けている。